「首尾一貫」は最初から最後まで矛盾が無いこと
「首尾一貫」は最初から最後まで矛盾が無いことという意味があります。読み方は「しゅびいっかん」です。辞書では、以下のように解説されています。
【首尾一貫】
方針や考え方などが始めから終わりまで変わらないで、筋が通っていること。
「首尾一貫」の「守備」は、始めと終わり・前と後といった意味があります。「一貫」は、始めから終わりまで主義や主張を通すという意味です。その言葉が1つになって、「首尾一貫」となりました。
「首尾一貫」の由来は明確にわかっていない
「首尾一貫」の由来は、明確にわかっていません。文献としては、小説家である徳富蘆花の『黒潮』に記載されていたことが確認されています。
また「首尾一貫」の「首」「尾」の漢字から、動物が関係しているという説も。さまざまな説がありますが、明確にはわかっていません。
「首尾一貫」の使い方と例文
「首尾一貫」は、最初から最後までブレずに言動や物事をやり通すときに使われます。そのため、論理的な一貫性がないときには使うのを避けたほうがいいでしょう。特に学術の論文や調査、研究で使われています。
以下の言葉をくっつけて使うことが多いです。
・〇〇して〜
・〇〇した〜
・〇〇で〜
例文を見ながらどのように使えばいいのか、見ていきましょう。
【例文】
・彼の研究は【首尾一貫】していて、論文にも反映されている。
・彼女の調査は、【首尾一貫】分析によるもので、プロジェクトを進める上で欠かせないものになっている。
・【首尾一貫】で自分を律するのは大変苦労する。
「首尾一貫」の類義語3つ
ここからは、「首尾一貫」の類義語を3つ解説します。
1.始まりから終わりまで同じ「終始一貫」
2.最初に決めたことを最後まで通す「初志貫徹」
3.最初から最後まで言動が一貫する「徹頭徹尾」
それぞれ微妙にニュアンスが違います。違いを知らないまま使ってしまうと、自分が伝えたいことと相手の解釈が食い違ってしまうことも。それぞれどのような意味かしっかり把握した上で使っていきましょう。
【類義語1】終始一貫(しゅうしいっかん)
始まりから終わりまで同じという意味がある「終始一貫」は、「首尾一貫」の類語とされています。読み方は「しゅうしいっかん」です。辞書では以下のように解説されています。
【終始一貫】
態度・状態などが、始めから終わりまでずっと変わらないこと。
「首尾一貫」は方針や考え方が一貫しているのに対して、「終始一貫」は態度や状態が変わらないことを指します。その部分のニュアンスが違うため、使うときには気をつけてください。以下の例文を参考にしてみましょう。
【例文】
他の社員は彼女の提案に反対しているのに、その上司は【終始一貫】して賛成していた。
【類義語2】初志貫徹(しょしかんてつ)
「初志貫徹」は、最初に決めたことを最後まで通すという意味があります。読み方は「しょしかんてつ」です。「初志貫徹」の「初志」は、最初に思い浮かんだ豊富や目標のことを指します。
「貫徹」は、最後まで貫き通すという意味があります。「初志貫徹」は感情的で、「首尾一貫」は論理的な考え方であることが特徴です。以下の例文を参考にしながら、使ってみましょう。
【例文】
彼は難関大学に、【初志貫徹】して合格した。
【類義語3】徹頭徹尾(てっとうてつび)
最初から最後まで言動が一貫するという意味がある「徹頭徹尾」も、「首尾一貫」の類義語です。読み方は「てっとうてつび」です。辞書では以下のように解説されています。
【徹頭徹尾】
最初から最後まで。あくまでも。終始。
(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「徹」は、貫き通すという意味があります。頭と尾の漢字が使われているため、始めから最後までという意味になっています。以下の例文を参考にしながら、使ってみましょう。
【例文】
彼女は【徹頭徹尾】、仕事へのこだわりを崩すことはなかった。
セルフケアに最適な「首尾一貫感覚」の特徴
「首尾一貫感覚」は、セルフケアに最適とされています。そもそも「首尾一貫感覚」とは、人の中にある現場の把握や決断に必要な芯がぶれないことです。別名「ストレス対処力」と呼ばれています。
ここからは「首尾一貫感覚」にある、3つの特徴を解説します。
・だいたいわかったという感覚「把握可能感」
・なんとかなると思える感覚「処理可能感」
・何でも意味があると考える感覚「有意味感」
それぞれどのような感覚なのか、見ていきましょう。
だいたいわかったという感覚「把握可能感」
1つ目の感覚は「把握可能感」です。だいたいわかったという感覚を表します。この感覚を持っていると、自分の置かれている状況を正しく理解し、未来を予測できます。
把握可能感がない場合、自分の置かれている状況を理解できないため、混乱しやすくなります。自分の未来の姿も描けないことも。「わかった感」を高められると、人生の壁にぶつかってもうまく対処できるでしょう。
なんとかなると思える感覚「処理可能感」
なんとかなると思える感覚は「処理可能感」と言います。処理可能感とは、問題に直面したとしても自分ならなんとかできると考えられる感覚のことです。
処理可能感が高い人は、周りにも味方がいると考えられます。「自分には助けてくれる存在がいるから、対処できる」と捉えられるため、ストレス耐性があるのです。対処可能感を高めるためにも、自分ですべて解決しようとせず周りに助けを求めるようにしましょう。
何でも意味があると考える感覚「有意味感」
「有意味感」は、何でも意味があると考えられる感覚です。この感覚を持っていると、ストレスとなるトラブルがあったとしても「これは、自分にとって意味があることだ」と考えられます。
この感覚が低い場合、トラブルが起こったら「なぜこんなにつらい思いをしなければいけないのだ」と感じ、すぐに諦めたくなってしまうでしょう。「有意味感」を高められれば、自分の置かれている状況も意味があると理解し、いいパフォーマンスができるようになります。
まとめ
「首尾一貫」は「最初から最後まで矛盾がないこと」を指します。由来は諸説ありますが、明確にはわかっていません。論文や研究などの論理的な一貫性を説明するときに使われます。
「首尾一貫」には、類義語が3つあります。それぞれニュアンスが違うため、正しく把握して使い分けられるようにしましょう。「首尾一貫感覚」はセルフケアに最適です。
ストレス耐性が低いと感じる場合は、「首尾一貫感覚」を高めてみましょう。
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