「大は小を兼ねる」の意味は?
「大は小を兼ねる」は「だいはしょうをかねる」と読みます。大きいものは小さいものの効用も併せ持っているという意味です。「兼ねる」は1つで2つ以上の使い道があるという意味で、何事も小さいよりは大きい方が使い道が多くて便利という意味合いがあります。
【大は小を兼ねる】
大きいものは、小さいものの役目もすることができる。
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
「大は小を兼ねる」は、中国の故事を由来とする言葉です。ここでは、「大は小を兼ねる」の由来などを見ていきましょう。
中国の故事が由来
「大は小を兼ねる」の由来は、中国の前漢時代に書かれた儒学者・董仲舒(とうちゅうじょ)の書物である『春秋繁露(しゅんじゅうはんろ)』の中にある一文です。
「夫それ已に大なる者あらば、又小なる者を兼ぬ」という文で、「賢者(大なる者)は愚者(小なる者)の振る舞いもすることができる。だから、天下で役に立てるのは賢者だけだ」という意味になります。
「大は小を叶える」とも言う
「大は小を兼ねる」は「大は小を叶える(だいはしょうをかなえる)」とも言い、どちらも意味は同じです。大きければ小さいものの役割も果たせるということを表します。
例えば、バッグを購入するとき、小さいものでは必要なものが入らない可能性がある場合、大きいものを購入しておけば失敗する恐れがありません。そのような場合に「大は小を兼ねる」、あるいは「大は小を叶える」という言葉が使われます。
「大は小を兼ねる」の例文
「大は小を兼ねる」の意味をより深く理解するため、例文をいくつかご紹介します。
・一人暮らしであるが、【大は小を兼ねる】と思ったので大きめの洗濯機を購入することにした
・スーツケースをどの大きさにするか迷ったが、【大は小を兼ねる】で大きい方を選んだ
・大きすぎるソファを購入して、部屋が狭くなってしまった。必ずしも【大は小を兼ねる】とは言えない
・欲しい服がひとつ上のサイズしかなかったが、【大は小を兼ねる】ということで購入することにした
・【大は小を兼ねる】というものの、状況によっては小さい方がいいときもある
「大は小を兼ねる」の類語
「大は小を兼ねる」には、よく似たことわざがいくつかあります。「大きな物は細う使われる」は、「大は小を兼ねる」とほぼ同じ意味の言葉です。「備えあれば憂いなし」や「転ばぬ先の杖」は、「大は小を兼ねる」が持つ「大きなものを持って入れば安心」という意味に通じるものがあります。
一緒に覚えておけば状況に応じて適宜使い分け、豊かな会話ができるでしょう。ここでは、「大は小を兼ねる」の類語をご紹介します。
大きな物は細う使われる(おおきなものはほそうつかわれる)
「大きな物は細う使われる」は大きなものは小さくしても使うことができるという意味です。「大は小を兼ねる」とほぼ同じ意味で使われますが、「大きな物は細う使われる」の方が、より具体的な状況を表しています。
【例文】
・【大きな物は細う使われる】と言うし、子ども服は大きめを買っておいてもいいと思う
備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし)
「備えあれば憂いなし」は、普段からいざというときの準備をしておけば、万が一の事態でも慌てることはないという意味です。中国の故事が由来とされています。
「大は小を兼ねる」は「大きいものは小さいものの役割もするため便利」という意味合いがあり「準備があれば心配がない」という意味の「備えあれば憂いなし」とは似たニュアンスがあるといえるでしょう。
【例文】
・【備えあれば憂いなし】で、食料の備蓄は常に確保している