「水母の行列」
「水母の行列」とは「整列されていない様子」「上手に並べないこと」を表すもの。「行列」は本来、順序良く並んでいる様子を表します。しかし「水母」は、海中をプカプカと自由奔放に浮かんでいますよね。そのことから、整列されていないこと、または集団行動ができていないことをたとえたものです。
例文:まだ幼稚園児なのだから、水母の行列になるのは仕方ない
「水母の風向かい」
「いくら抵抗してあがいても、どうしようもないこと」「やってみたところで無駄に終わること」を意味します。海の中をふわりと浮かんでいて、泳ぐ力のない「水母」が風上に向かって進んでいくのは非常に困難。そのことから、「難敵や運命に逆らっても無駄だ」ということを表すことわざです。
例文:素人がオリンピックチャンピオンに挑もうなんて、水母の風向かいだ
「水母の骨」
「水母の骨」の意味を辞書で調べてみると以下のようにあります。
水母には骨がないことから、ありえないことのたとえ。また、非常に珍しい物事のたとえ。引用:小学館 デジタル大辞泉
例文:こんなところでダイヤモンドが採れる訳がない、水母の骨でもあるまいし
「命あれば水母も骨に会う」
「命あれば水母も骨に会う」とは「長生きしていれば、稀にみる幸運に出会うことがある」という意味のことわざ。骨がない「水母」も、長く生きているうちに骨ができるかもしれない、ということから由来します。また、「命を大切にして長生きするよう努めよう」といったものです。
例文:孫が世界中から称賛の声を浴びるなんて、命あれば水母も骨に会うとは、このことだ
【目次】
日本近海にいる「水母」の種類は?
「水母」といっても、様々な種類の「水母」が存在します。刺されても無害なものから、非常に危険なものまで。日本近海に生息する「水母」の種類をみていきましょう。
「水水母」
日本周辺の海に多くみられるのが、「水水母(ミズクラゲ)」。傘の大きさは、15~30cm。透明な傘の中に4つの模様(胃腔と生殖腺)がみえることから「ヨツメクラゲ」とも呼ばれます。透き通った、綺麗かつ可愛らしい外見で、水族館や自宅で飼われるのにも人気です。少量の毒は持っているとされていますが、刺された箇所にほとんど影響はありません。刺されてもほぼ痛みを感じないのが特徴です。
「行灯水母」
「行灯水母(アンドンクラゲ)」は、別名「電気クラゲ」とも呼ばれる小型の「水母」です。傘の直径は2~3cmに対して、4本の触手は20cm。主にお盆以降に多く発生します。よく「お盆過ぎて海に入ると水母に刺される」というのは、この「行灯水母」のこと。刺されると、激痛が走り、刺された箇所がミミズ腫れになって数週間残ることもあります。
「鉤手水母」
「鉤手水母(カギノテクラゲ)」は、強い神経毒をもつもの。傘の直径は約2cm。90本以上ある触手の先端が、カギのように折れ曲がっているのが特徴です。主な発生時期は3~9月初めにかけて。海藻が茂るような浅瀬の岩場に多くみられます。刺されると、激痛が走り、時間が経過してから全身症状が現れるのが特徴。関節痛や筋肉痛、呼吸困難、痙攣や吐き気などを引き起こすこともあります。
「赤水母」
「赤水母(アカクラゲ)」は、別名「ハクションクラゲ」ともいわれます。それは、2mほどある触手はちぎれやすく、乾燥した刺糸が空中に舞い、吸い込むとくしゃみが出ることからそう呼ばれるようになりました。傘に赤い縞模様があるのが特徴。低い温度を好むため、秋から春にかけて日本周辺の海、特に太平洋側に多く発生します。
刺されると、火傷のような強い痛みを伴い、水疱やミミズ腫れになるでしょう。ひどい場合は、呼吸困難になることも。また「赤水母」は死んでからも毒性がなくならないため、打ち上げられたものも触らないようにしましょう。
そのほかにも、「鰹の烏帽子(カツオノエボシ)」、沖縄や奄美の海に生息し猛毒を持つ「波布水母(ハブクラゲ)」などが、日本近海でみられる「水母」です。
メイン・アイキャッチ画像:(C)AdobeStock
▼あわせて読みたい