「背に腹は代えられない」の意味とは?
「背に腹は代えられない」の意味を、会話の内容から何となく想像できても、説明するとなると難しいという人は少なくないでしょう。
まずは「背に腹は代えられない」の意味と、言葉の由来について解説します。
切羽詰まった状況での選択を表すことわざ
「背に腹は代えられない」とは、「切羽詰まった状況を突破するために、仕方なく物事を選択をする」という意味のことわざです。
また、「大きな犠牲を避けるために、多少の犠牲はやむなく受け入れる」という意味や、「大切なものを守るために覚悟する」という意味でも使われます。それぞれ意味合いは少しずつ違いますが、「差し迫った中でも、最も大事なものは守る」という点で共通しています。
剣を使った戦いに由来する
「背に腹は代えられない」をそのまま現代の日本語に訳すと、「背中には腹の代わりは務まらない」となります。
その昔、剣を使った戦いでは「臓器が詰まったお腹を切られるくらいなら、背中を切られた方がマシだ」と、お腹を守っていたそうです。これが転じて「大事なものを守るためには、ほかの犠牲は仕方なく受け入れる」という意味で使われるようになりました。
また、江戸時代後期に誕生したとされるかるたの一種「江戸いろはかるた」の中で、「背に腹は代えられぬ」が用いられています。
「背に腹は代えられない」の使い方と例文
「背に腹は代えられない」はどのように使うのか、例文を見ていきましょう。また、言い間違いや漢字間違いについても解説します。
物事が差し迫ってどうしようもないときに使う
「背に腹は代えられない」を使えるシーンは、重大な決断をするときや金銭問題に関わる場面などさまざまにあります。
「差し迫った状況で仕方なく選択する」「何かを犠牲にする覚悟を持って選択する」という状況で使用されることがほとんどです。
【例文】
・娘が通う塾の夏期講習が高額で驚いた。出費はかさむが、志望校合格のためなら「背に腹は代えられない」
・システムトラブルが多く、顧客からのクレームが絶えない。「背に腹は代えられない」から、A社との契約はこれで終わりにする
・転勤を拒否できないなら、会社を辞めるつもりだ。マイホームを建てたばかりで子どもたちもまだ小さいから、「背に腹は代えられない」よ
「背を腹には代えられない」は間違い
「背に腹は代えられない」を、「背を腹には代えられない」と誤って使ってしまっている人もいることでしょう。しかし、「背を腹には代えられない」だと、「背中をお腹とは交換できない」という意味になってしまいます。
「背に腹は代えられない」は、「背中にお腹の代わりは務まらない」という意味のため、間違えないよう注意しましょう。
また、漢字についても「代える」と「変える」で間違えやすいよう。漢字の「代」には、「代わりとなるもの」「代用」という意味があります。
一方、「変」には「別のものに変わる」「変化する」という意味があるため、「背に腹は変えられない」は間違った表記です。どの漢字を使うか迷ったら、漢字の意味を考えてみると正しく使えるでしょう。
「背に腹は代えられない」の類語は?
「背に腹は代えられない」の類語を三つ紹介します。意味とともに例文も紹介するので、使い方の参考にしましょう。