「飛礫」の読み方や意味とは?
「飛礫」という言葉を目にしたことはありますか? 有名なミュージシャンが曲名に用いているため、知っている人もいるかもしれません。「礫」という漢字は画数も多く、一見難しい印象を与えますね。今回は「飛礫」について、意味やことわざなど幅広く確認していきます。
読み方
「飛礫」は「つぶて」と読みます。「礫」と一文字で表すことも可能。また、あまり一般的ではないようですが「ひれき」と読むことも可能です。
「飛」も「礫」も、単体では「つぶ」あるいは「て」とは読みません。「昨日(きのう)」「大人(おとな)」などの言葉同様、読み方を知っていないと、絶対に読めない漢字です。このように、漢字二字以上からなる言葉を熟字といい、それを訓読みすることを「熟字訓」といいます。
意味
「飛礫」は小石や、小石を投げることを意味する言葉。共通の意味を持つ言葉として「印字」があります。印字は戦闘の手段として石を投げるという意味合いや、行事の一環として石を投げるという意味合いが強い点が特徴です。昔は印字を職業とする「印字の党」という集団も存在したのだとか。
「飛礫」という行為の歴史
実は「飛礫」の意味する「小石を投げる」という行為の歴史は古く、人類の発生とほぼ同時に、広く世界の民族にみられました。そのため「石を投げる」という行為自体も、歴史を経て様々な意味合いを持つように。何気ない石を投げるという行為が、歴史の中でどのように変化していったのでしょうか。
神仏の意思である「飛礫」
もともと、戦闘行為として始まった「飛礫」。日本でも弥生時代には弓矢とともに石弾の痕跡が残っているそうです。しかし10世紀以降、「飛礫」の行為は神格化されます。1012年頃、藤原道長の一行に激しく「飛礫」を投げ、馬から下ろさせた山法師たちがいたそう。その事件のあと、「飛礫」は禁止されました。
ところがその後に起こった大飢饉の際、「飢饉が起こったのは飛礫を禁止したからだ」という声がどこからともなく湧き上がり、次第に無視できないほど大きくなっていきました。ついに禁止は撤廃。平安時代後期から鎌倉時代にかけて、「飛礫」は「神仏の意思」であると考えられるようになったのです。
それから「飛礫には、邪気や穢れを祓う力がある」とされ、正月や節句の時期に行われるようになりました。京都の賀茂や祇園の神社や石清水八幡宮の祭りで、神輿や神主、群衆などが衝突した際にも、頻繁に投げられるようになったそうです。
「飛礫」にまつわる言葉
「飛礫」の意味する「小石」は、人々の生活に非常に身近な存在。身近な物事を表現するために、「飛礫」という言葉は色々な意味を表す言葉に使われています。
・飛礫文字
「飛礫文字(つぶてもじ)」とは、続けて書かず、一文字一文字離して書いた文字のこと。現代では一文字ずつ離して書くのが一般的ですが、昔は英語の筆記体のように、文字をつなげて書いていました。現在でも、俳句などを読む際や、年配の方が手紙を書く際に、文字をつなげて書くことも。
・飛礫石
「飛礫石(つぶていし)」とは、神か力持ちの者が投げたとされる伝説を持つ巨大な岩のこと。このような岩や伝説は各地にあります。例えば山形県の最上川沿いにある巨大な石には、「怪力の朝比奈三郎という男が、朝日岳の頂上から投げた石」という伝説が。
「飛礫」を使ったことわざ
漢字が難しいため、しばしばひらがなで書き表すことも多いですが、実は「飛礫」を使った身近なことわざはいくつか存在します。代表的なものとして「梨の飛礫」という言葉を聞いたことがある人も多いかもしれません。「飛礫」を使ったことわざについても、確認していきましょう。
梨の飛礫
「梨の飛礫(なしのつぶて)」とは、投げられた小石のように、連絡をしても何の返事もないことです。なお、「梨」は「無し」と掛けるために使われています。果物としての梨に特別な意味があるわけではなく、投げるだけであればりんごでもみかんでもよかったということでしょう。
《例文》
・親は頻繁に弟にLINEを送っているが、「梨の飛礫」だ
・1週間前に取引先にメールで用件を伝えたが、「梨の飛礫」だ