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LIFESTYLE雑学

2021.12.25

【網代】とはどんな意味?由来を知って日本の文化を伝えよう

「網代」とは、いつも魚群が集まってくる場所、定置網の漁場という意味です。この他にも湖や川で使用する魚を誘い込む仕掛けや、杉・檜・竹を編んだ道具のことも表しています。本記事では「網代」という言葉の読み方や由来、この言葉を含む語句の意味などを紹介します。

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「網代」とは魚群が集まってくる場所という意味

「網代」は定置網の漁場、またはよく魚群が集まってくる場所という意味があります。

【網代:あじろ】定置網の漁場。また、いつも魚群が集まってくる場所。
湖や川に柴(しば)や竹を細かく立て並べ、魚を簀(す)の中へ誘い込んでとる仕掛け。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

網代

この他にも「網代」には、いくつかの意味があります。川や湖で使われる、竹や柴や草を杭のように細かく並べて使って作った魚を獲る仕掛けの名前、檜や杉や竹を細くて薄い板状にしたものを互い違いに編んでいく工芸品の手法の名前などです。

なお魚を獲る仕掛けとしての「網代」は、古来より京都の宇治川で鮎の稚魚を捕獲するために用いられていました。

「網代」の読み方は「あじろ」

「網代」の読み方は「あみしろ」ではなくて「あじろ」です。「網」の代わりに「綱」という文字を使って「綱代」と書き、「つなしろ」と読んでしまう間違いも少なくありません。

「網代」と書いて「あみしろ」と読む場合は、異なる意味になります。「網代(あみしろ)」は漁業経営における漁獲高の漁網に対する配分を表す言葉として、明治時代の見積り表などで使われています。

「網代」の由来

網代」という名前は、竹や木を細かく組んで網状の仕掛けを作ったことから「網の代わり」ということに由来してつけられました。「網代」という名前がいつ頃に広まったのかは、定かではありません。

しかし「網代」の技術はすでに縄文時代からあったとされています。縄文土器の底部に、土器を作った時に敷物として使われていたと思われる「網代」の編み目の跡がついているものがあるからです。

百人一首でも詠まれた「網代」

網代」は万葉集などの平安時代の文学でも登場する言葉で、百人一首でも詠まれています。「朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木」という句です。作者は権中納言定頼(藤原定頼)、句の舞台となっているのは京都の宇治川です。

「明け方になってあたりが明るくなるに従って、宇治川に立ち込めていた霧が途切れ途切れになり、網代がはっきり見えるようになってきた」という風景が描写されています。この句が詠まれた平安時代には、すでに「網代」が一般的なものになっていたということでしょう。

「網代」の使い方と例文

「網代」という言葉が魚を獲る仕掛けという意味で日常会話で使われることは、それほど多くはないでしょう。杉・檜・竹を編んだ形のデザインを表す言葉として、耳にすることがあるかもしれません。

網代

【例文】
この布の柄は【網代ふじ】と呼ばれるもので、網をモチーフにした紫色の和風のデザインが特徴になっています
・モデルが着ている和服のポイントは【網代】模様です

「網代」という言葉を使った語句

「網代」という言葉が使われている語句は、さまざまなジャンルで登場します。その多くには、木や草を編む技術が使われている物という共通点があります。「網代」は歴史のあるものであり、日本の文化や生活に密着したものであることを示しているといえるでしょう。

網代

ここでは建築用語で使われる「網代垣」「網代天井」や歴史物で登場する「網代笠」「網代車」、工芸で使われる「網代編み」「網代団扇」について、それぞれ詳しく紹介します。

建築用語で使われる「網代垣」「網代天井」

「網代」という言葉は、建設用語や不動産用語としてもよく登場します。代表的なものは、「網代垣」と「網代天井」です。「網代垣」は割った竹を「網代形」に組んだ垣根のことです。薄く割った竹を交互に組んでいくのが基本的な作り方となっています。

「網代天井」は竹や草などの植物を薄く加工したものを材料として平面状に編んで、天井の素材として使用したものです。材料や編み方によってさまざまな種類があります。杉を矢羽根という模様に編んだ「杉柾矢羽根網代(すぎまさやばねあじろ)」が有名です。

歴史物で登場する「網代笠」「網代車」「網代輿」

「網代」という言葉は、歴史物や時代劇などでもよく登場します。代表的なのは「網代笠」と「網代車」です。

「網代笠」は、竹を薄く細く割ったものを「網代型」に編んだ笠のことで、托鉢僧やお遍路参りをする人が使用します。托鉢僧が「網代笠」をかぶるのは、雨よけや日よけの他に修行中であるために顔を隠して外界から遮断するという意味があります。

網代車」は「あじろぐるま」と読み、「網代」とも呼ばれています。平安・鎌倉時代の公家が利用した牛車のことです。車の屋形部分に竹か檜で作られた網代が張られているため、この名前がついたとされています。大臣や納言など、身分の高い公家が利用するものです。

網代輿」は「あじろごし」と読みます。竹や檜でできた網代を屋根や横に張って、黒塗りの押し縁をつけた輿のことです。近世において、親王や身分の高い公家が常用していました。

工芸で使われる「網代編み」「網代団扇」

工芸品でも「網代」という言葉がよく登場します。主なものは「網代編み」と「網代団扇」の2つです。

「網代編み」には2つの意味があります。1つ目は「網代」を編むこと、もしくは「網代」のような形に編むことという意味です。2つ目は「網代形」に交差させる編み物の編み方や、模様そのもののことを表しています。「網代編み」の手法で作られる製品の主なものは、カゴやトレイです。軽いうえに風通しが良く、湿気がたまらないという利点があります。

「網代団扇」とは、檳榔(びろう)と呼ばれるやし科の亜熱帯常緑高木の葉や檜の経木、竹を薄く割ったものなどを「網代形」に編んだ団扇のことです。戦国時代には、表面に漆を塗った「網代団扇」が「軍の指揮をとる」「家紋を示す」以外にも「敵の矢を防ぐ」という用途で使われていました。

「網代」のさまざまな意味を知って正しく使おう

「網代」にはいくつかの意味があります。定置網の漁場やよく魚群が集まってくる場所、竹や草を編んで作った魚を獲る仕掛けなどです。また、竹を互い違いに編む手法によって作られたさまざまなものにも「網代」という名前がついています。

網代

網代天井・網代垣・網代笠・網代車・網代編み・網代団扇…などのように網代は日本の文化や暮らしと密接に関わっている言葉です。「網代」のさまざまな意味と使われているものについての知識を深めて、正しい使い方を押さえましょう。

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