このように「超える」には上回る、抜きんでるという意味があります。
Summary
- 「超える」には「上回る」という意味があり、数量や限度などを数字で表すことができる場合に使う
- 「越える」には「ある地点や場所、時間などを通過する、経過する」という意味がある
- どちらも「抜きんでる」という意味を持ち、2つが合わさった「超越」は「ずば抜けている」ことを意味する
Contents
説明できる?「超える」と「越える」の使い分け
普段、何気なく使っている「こえる」という言葉。文字で書く場合に、どちらの漢字を使うべきか迷ってしまうことはありませんか? いつでも正しく使い分けられるように、一緒に確認してみましょう。

「超える」の意味
「超える」には「上回る」という意味があり、特に数量や基準・限度などを数字で表すことができる場合に使います。年齢や体重、気温や速度などを表現する場合は、数字で表せるため「超える」が適切です。ちなみに、「気温が40度を超えた」といった使い方の場合、その数字を上回っていることを表現していますので40度は含まれません。注意しましょう。
そしてもう一つ、「抜きんでる」という意味もあります。たとえば、会話の中で「超面白い」「超カッコイイ」と言ったことはありませんか? これは、一般的な面白さやカッコよさよりも抜きんでていることを指す、「すごく〇〇」という表現なのです。

「越える」の意味
「越える」には、「ある地点や場所、時間、境界などを通り過ぎて向こう側にいく。通過する、経過する」という意味があります。電車に乗っていて「〇〇駅を越えた」という場合、その駅を通り過ぎたことを指します。また、困難を乗り越えたときも、今の状況の向こう側に行くという意味で「越える」を使います。
そのほか「超える」と同様に、「抜きんでて優れている」という意味もあります。これは優秀な人が、普通はやるべき順序を通過して(飛び越して)向こう側に行ったように感じる、というところからきています。「優越」「卓越」など、熟語で考えてみるとわかりやすいですね。

「越える」には、通り過ぎて向こう側にいく、通過する、経過するという意味があります。
「超える」と「越える」の違いは?
前述のように、「超える」は上回る、「越える」は通り過ぎる・通過する、という意味の違いがあります。「超える」は上回るから上にいく、「越える」は通過するから横にいくとイメージすると覚えやすいかもしれません。
また、どちらも「抜きんでる」という意味を持っています。「超越」という熟語は、ふたつの漢字を組み合わせて「ずば抜けている」様子を表したものです。どちらを使えばいいのか迷ったときは、「超能力」「超合金」「越境」「越権」のように、熟語で考えてみましょう。
【Domani編集部の体験談】ビジネス等で使う時の注意点
実際のビジネスシーンで「超える」「越える」を使用する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。Domaniの編集部メンバーの「超える・越える」にまつわる体験談を踏まえつつ、使用法を見ていきましょう。
【episode1】状況に合った「越える」の使い方を指導
Domani編集部 T氏(41)
管理職になってから、部下がプレゼン資料で「ライバルを超えるために」と書いてきたことがありました。私は「『超える』でもいいけど、この場合は『越える』のほうが合うかもね」と伝えました。競合という壁やハードルを乗り越えるという意味では「越える」がふさわしいためです。単に上回るだけでなく、乗り越えるべき対象がある場合は「越える」を使うと、より力強いメッセージになると指導しました。
「超える」の使い方と例文
「超える」は、物事が特定の基準や限界を上回る様子を表す日本語の動詞です。単に物理的な距離や数量だけでなく、時間、能力、期待など、さまざまな概念に対して幅広く使われます。ここからは、「超える」の主な使い方を、具体的な例文を通してチェックしましょう。
例)数値(年齢・点数・金額・人数など)の場合
例文
・あの商品を買うためならば、3時間を超えてでも並ぶつもりだ
・私の時給が彼の時給を超えた
・コンサートへの応募者数が30万人を超える人気ぶりだ
・彼は年齢が50歳を超えているにもかかわらず、とても若々しい
例)気温や温度・体温の場合
例文
・夏の最高気温が40度を超える地域も増えてきた
・昨晩は最低気温が30度を超える熱帯夜で、ひたすら寝苦しかった
・今日の体感温度は、実際の気温を5度ほど超える見込みだ
例)記録・限界・壁を「超える」
例文
・彼女はTOEICで900点を超えるスコアを持っている
・このプロジェクトの費用が、当初予算の20万円を超えた
・この冬はとんでもない寒さで、厳冬の域を超えるかもしれない
例)抽象的な基準を上回る
例文
・彼は入社1年目にもかかわらず、上司の期待を超える成果を出した
・その映画の結末は、観客の想像を超えるものだった
・彼の奇抜な発想は、まさに常識を超えている
「越える」の使い方と例文
「越える」は、物理的な場所や障害、時間などを通り過ぎて向こう側に行く様子を表す動詞です。「超える」と似ていますが、「越える」は主に〝空間的・時間的な隔たりを乗り越える〟という具体的な動きを伴う場面で使われます。ここからは「越える」の具体的な使い方を、例文を交えながら見ていきましょう。
例)物理的な距離・障害物(山・壁・国境など)の場合
例文
・彼はライブ会場の人垣を越えて、私の元にやってきた
・電車を乗り継ぎ、いくつもの県境を越えて故郷に帰省した
・この山道を越えれば、もうすぐ目的地だ


