ハンドケアは手指を清潔に保つためにも重要?
手洗い・消毒など、引き続き基本的な感染対策が欠かせない昨今。そんな中ユースキン製薬株式会社は、手荒れの傷が手指衛生に及ぼす影響についてモニター試験を実施。その結果、手荒れの傷の部分には汚れの洗い残しが存在し、手荒れが改善すると汚れの洗い残しが減少することが判明しました。
「ちょっとした手荒れでも、手荒れは細かな傷です。実験結果から、手指を衛生的に保つには、手荒れの傷をつくらないようにハンドケアを行うことがとても重要です」と語るのは、モニター試験の監修に携わった皮膚科医の野村有子先生。今回はそのモニター試験の結果を参考に、手指を清潔に保つ上で大切なハンドケアのポイントをご紹介します。
【モニター試験】手荒れの傷と洗い残しの関係とは
試験結果1:目立たないささくれ部分にも汚れは残る
モニター試験では、手荒れに悩んでいる方17名(男性5名、女性12名/20~59歳/軽度5名、中程度7名、重度5名) を対象に、手洗い後の汚れの洗い残しについて検証されました。
【試験方法】
汚れに見立てた蛍光塗料入りの専用ローションを手全体に塗布し、その後念入りな手洗いを実施し、手洗い実施後にブラックライトを照射し汚れの洗い残し部分を確認する方法。確認のタイミングは、試験開始前 (0日目) と7日間のハンドケア実施後 (7日目) の2回。ハンドケアの方法は、指定医薬部外品のビタミン系クリームを使用。手荒れ軽度の方は、指先と爪周りを中心にケアするピンポイントケアを実施し、手荒れ中程度および重度の方は、ピンポイントケアに加え、就寝前にハンドマッサージを実施し、就寝時は布手袋を装着。2021年2月実施。
その結果、手荒れが軽度のモニター (40代女性) の0日目の状態は、爪の生え際部分のささくれに洗い残しが確認されました。普段はそれほど気にならないささくれ程度のわずかな傷でも、汚れの洗い残しがあることがわかります。一方、ハンドケア後の7日目には、ささくれやひび割れが改善し、汚れの洗い残しがほとんどなくなったことがわかりました。
試験結果2:中程度以上のあかぎれの傷部分は要注意
手荒れが中程度のモニター (40代女性) は、0日目には傷の深いあかぎれがあり、その部分にはくっきりと洗い残しが確認されました。
さらに重度のモニター (50代女性) の0日目では、汚れの洗い残しが深い傷口に入り込むような状態で確認されています。このように中程度も重度もともに0日目はくっきりと指の傷に洗い残しが見られましたが、7日間のハンドケアを行った結果、傷が改善されて洗い残しもなくなったことがわかりました。
「手指の傷口についた汚れの中には、菌やウイルスがいるかもしれません。ご存じのことと思いますが、菌やウイルスは指の傷に比べてはるかに小さな存在です。例えば、新型コロナウイルスの大きさは約0.1μm (0.0001mm) とされており、指の傷が1mmであったら、傷に比べて約1万分の1の大きさになります。大きさを比べただけでも、指の傷についた汚れが感染のリスクになることは容易にわかります」 (野村先生・以下同)
手洗い・消毒・ハンドケアまでが手指衛生
コロナ禍において、手荒れが重症化して皮膚科へ通院する人が増加しているそう。最初は軽いひびの状態でも、手洗いやアルコール消毒の回数が多くなると重度のあかぎれとなります。ひびは角層に亀裂が入った状態ですが、あかぎれは真皮まで亀裂が入って出血を伴い、手指についた汚れも手洗いでは落ちにくい状態に。
「手荒れによる傷に入り込んだ汚れは、しっかり手洗いを行っても残りやすくなっています。洗い残しがあると、汚れだけでなく菌やウイルスがついている可能性があります。手洗いは感染対策として有効であることは間違いありませんが、手荒れを予防するということも感染対策として取り入れましょう」
「手洗いやアルコール消毒が日常化する中、ハンドケアも日常の感染対策として取り入れることの重要性が明らかにされました。効果的なハンドケアを行い、手荒れを改善し、手指を衛生的に保てるようにしましょう」
ということで、ここではこれから習慣化したいハンドケアのポイントを3つご紹介します。
POINT1:効果的なハンドケアで洗い残しを減らす
手荒れを改善・予防するには効果的なハンドケアを行うことが大切。ハンドクリームは、通常は第一関節1つ分、手荒れがひどいときは2つ分の量を取り、マッサージしながら手指になじませます。特に手荒れがひどい場合は就寝前に綿手袋をするのもおすすめ。
ユースキン製薬株式会社提供
POINT2:ハンドケア剤を複数人で使うときはポンプタイプがおすすめ
ハンドケア剤はチューブタイプやボトルタイプなど様々なものが発売されており、シーンに合わせて使い分けると便利。外出時はチューブタイプが便利ですが、室内で複数人で使用する場合はポンプタイプが衛生的です。
POINT3:ハンドケア剤は区分を意識して選ぶ
ハンドケア剤を選ぶとき、その区分や成分を意識していますか? 一般的に薬局・ドラッグストアなどで販売されている肌トラブル対策製品は4つの区分 (化粧品・医薬部外品・指定医薬部外品・一般用医薬品) にわかれており、簡単に言うとそれぞれ以下のような働きがあります。
【肌トラブル対策製品の4つの区分と働き】
・化粧品…肌を健やかに保つ
・医薬部外品…有効成分が配合され、予防する
・指定医薬部外品/一般用医薬品…有効成分が配合され、治療効果がある
特に指定医薬部外品は医薬品と変わらない治療効果がありながら、比較的安全性が高いと厚生労働省に判断され、スーパーやコンビニエンスストアなど一般のお店でも買えるようになった製品のことを指します。
また、医薬部外品・指定医薬部外品・一般用医薬品に配合されている有効成分には、以下のようなものがあります。区分と有効成分の働きを理解してハンドケア剤を選ぶと、より自分に合った手荒れ対策ができるはず。
【ひび・あかぎれに有効な成分】
・血行を促進する成分…ビタミンE、ヘパリン類似物質など
・炎症を鎮める成分…dl-カンフル、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウムなど
・保湿する成分…グリセリン、ヒアルロン酸、セラミドなど
手指を清潔に保つためにも大切なハンドケア。ちょっとしたささくれ程度だと放置しがちですが、手荒れの症状を感じたら細かな傷を治すことが重症化を防ぎます。今回紹介したハンドケア方法をぜひ参考にしてみてくださいね。
教えてくれたのは…
野村有子先生
野村皮膚科医院院長・医学博士、日本皮膚科学会認定専門医。
1986年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部皮膚科教室に入局。同大学助手、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科勤務を経て、98年、横浜市に野村皮膚科医院を開業。
「一人ひとりの患者を大切にし、最高の医療を提供する」という医療理念のもとに、あらゆる皮膚疾患についてていねいに説明をし、治療からスキンケアにいたるまできめ細かな指導を行っている。
情報提供:ユースキン製薬