子供の英語の習い事、そのメリットとは⁉︎
「英語は大人になってからでもマスターできる」と考えている人もいるかもしれません。たしかに、英会話スクールやオンラインレッスンなど大人向けの学習ツールは数多く存在するため、英語を学ぶ機会はいくらでもあります。しかし、やる気スイッチグループの子ども向け英語・英会話スクール「WinBe(ウィンビー)」教務研修部門責任者の増田珠己さんによると、子供の間に学習しないと得られないメリットもたくさんあるようです。
メリット1.きれいに発音できるようになる
「英語をきれいに発音するには、前提として正しく発音を聞き分けられる能力がなければいけません。しかし、英語の発音を正しく聞き分けることができる力(英語耳)は、ある程度成長した後になってから育てるのは至難の業。反対に、幼いころから英語に触れておけば、容易に英語耳を鍛えることができます。なぜこのような違いが表れるのかというと、脳の成長に理由があります。言語の習得には、脳の『臨界期』という吸収力の高い時期が大きく関係しているのです。
臨界期とは、聴覚や視覚など外部の刺激により、脳内における神経回路の生成・組み換えが盛んに行われる時期のこと。言語分野での臨界期は9歳ぐらいまでとされていて、この期間にたくさんの英語に触れると、子どもはネイティブの発音を簡単に理解することができるといわれています。一方で、この臨界期を過ぎてしまうと、これまで馴染んできた言語(日本人の場合は日本語)以外の発音を聞き分けることが難しくなるとされています。たとえば、多くの日本人は、英語の『L』と『R』の違いを聞き分けられません。しかし、幼い頃の臨界期に英語を学べば簡単に聞き分けることができ、大きくなってから学習を始めるよりも習得が容易になります」(増田珠己さん 以下同)
メリット2.英語脳が身につく
「多くの日本人は、英語を聞いたとき、頭の中で日本語に変換しようとします。そして、返事をする際には、日本語から英語に訳してから発する人がほとんど。しかし、これでは速い会話スピードにはついていくことができず、内容を正しく理解したり円滑にコミュニケーションをとったりすることは難しくなるでしょう。そこで役立つスキルが『英語脳』です。英語脳とは、英語を日本語に変換することなく、英語のまま理解できる能力のこと。子供のころに英語学習を始めると、この英語脳を鍛えやすいのです。英語脳が身につけば、頭の中でいったん日本語に訳す作業が必要ないため、スムーズに英語を理解し、話すことができます。
特に、ビジネスの現場では、矢継ぎ早に英語が飛び交います。もし聞き逃したり聞き間違いがあったりした場合には、大きなトラブルにつながる可能性もあります。大人になってから英語脳を身につけようとしても、なかなか上手くはいきませんが、幼いうちから英語学習を始めておけば、英語脳を身につけられる可能性が高くなります」
メリット3.異文化交流ができる
「子供のころから英会話スクールなどで英語を学ぶと、ネイティブの講師と触れ合う時間が増えます。ネイティブ講師から教われば、彼らのジェスチャーや習慣から、異文化を学ぶことができるでしょう。早い時期から異文化に触れる機会を増やすことで、多様性を受け入れ、寛容なものの見方ができるようになります。
日本において国際化が進みつつあるとはいっても、多くの人にとって外国人と触れ合うことはまだまだ少ないのが実状でしょう。日本人ばかりと交流していると、日本人としての常識や習慣が当たり前になり、異文化を素直に受け入れることが難しくなってしまいます。今後日本ではさらなる国際化が進み、外国人と接したり一緒に仕事をしたりする機会が増える可能性があることを考えると、異文化交流ができるのは子どもの将来にとって非常に有益です」
メリット4.英語に対する抵抗がなくなる
「臨界期に英語を学習すると、抵抗を感じることなく英語を話したり聞いたりすることができます。臨界期における子供の脳は、大人とは比較にならないほど驚異的なスピードで成長します。この期間に英語を学習すると、子供は日本語を覚えるのと同じように英語を吸収するのです。そして、英語脳や英語耳が形成されれば、母国語と変わらないレベルで英語を理解できるようになるため、まったく抵抗を感じることはないでしょう。
大人になってから英語を学ぶと、どうしても発音や表現などに違和感を覚えてしまいます。そして、その違和感を受け入れられず、英語に対して苦手意識を持つ人が少なくありません。英語に対して苦手意識を持つ前に、自然に英語を受け入れられるようになるのも、子供のうちから習い事をさせる大きなメリットのひとつです」
メリット5.学校の授業についていける
「2020年度より小学3年生から英語の授業が導入されています。子どもの英語の習い事を考えている親御さんの中には、小学校から始まる英語教育に子どもがついていけるか不安を感じているからという人もいるでしょう。
英語の習い事をしていれば、学校での授業にも抵抗がなくなり、自信を持って臨めます。さらに、2021年度からは中学校で、2022年度からは高校で『オールイングリッシュ』の授業が開始されます。子どものうちから本物の英語に数多く触れさせておけば、中学校から始まるオールイングリッシュの授業でも大きなアドバンテージになるでしょう」
子供の年齢別!英語の効果的な学習法
子供のころから英語に触れさせるメリットについて理解したところで、ここからは、子供の年齢別に、効果的な英語の学習法について教えていただきます。
3歳までの勉強法
「3歳までは、自宅で英語を学べるおもちゃやCD、DVDなどを使うといいでしょう。この時期の子どもは聴覚がとても優れているため、ネイティブ英語の音声や歌などを繰り返し聞かせるのがおすすめ。このとき、あまり一方通行の学習にならないように注意しましょう。適度に親がリアクションを取ってあげるなど『双方向性』を意識することで、子どもは英語に対する興味を強く持ち続けることができます。なお、この年齢は日本語を学習するうえでも重要な時期なので、あまり英語に偏りすぎない工夫も必要です」
3歳から6歳までの勉強法
「3歳ぐらいからは、英語の習い事を始めるいいタイミング。英会話スクールなどが、家で学んできた英語をアウトプットする絶好の場になるからです。英語の塗り絵やダンス、歌などを取り入れ、楽しみながら学べるようにするといいですね。また、この年齢は個性が出てくるころなので、子どもの好みに合ったテーマの教材を使うとさらに効果が高くなります。たとえば、電車が好きな子どもなら電車が登場する教材を、スポーツに興味があるならスポーツを題材にした教材を使うといった具合です」
6歳からの勉強法
「小学校に通い始める6歳以降では、日常会話の学習を始めましょう。友人とのコミュニケーションが盛んになって仲間意識が芽生えてくるころなので、友だちと英語のゲームを楽しみながら学ぶこともできます。特に、低学年のときは聴覚が敏感なだけでなく、学習意欲も高い時期なので、英語を効果的に学習させるチャンスです。英会話スクールで友だちができたり、ネイティブ講師と触れ合う機会が増えたりすれば、子どもにとっていい刺激になることでしょう。
さらに、英語を学ぶ目的に合わせて習い事を選ぶようにするのも重要なポイントです。親御さんによっては『本格的に英語を喋れるようになってほしい』と考える人もいれば、『受験に備えて学校の成績をアップさせたい』という人もいるでしょう。また、親の考えだけでなく、子どもが何をしたいのかを考慮してあげることも大切です。本来の目的とは違った習い事をさせてもあまり意味はありませんので、慎重に検討するようにしてください」
年齢と目的に合わせた勉強法が子供の語学習得には大切なんですね。次回は、隙間時間にも英語の勉強ができると人気の、英語学習アプリと、その上手なつきあい方についてうかがいます!