■経費に計上するための注意点
役員報酬を経費に計上するためには、以下の点が遵守されなければなりません。
・報酬額は決められた期限内に決定する
・一度決定した金額を年度内に変更しない
報酬の決定には期限があり、定期同額給与は会社設立日か事業年度の開始日から3ヵ月以内です。金額の変更は決算後3ヵ月以内となります。一度決定した金額は、会社の業績が非常に悪化したなど例外的な事情がない限り増額も減額もできません。期限を過ぎたり金額を変更したりした役員報酬は経費に計上できないことになります。
役員報酬を決める3つのポイント
役員報酬は自由に決められるわけではなく、あくまで役員の仕事への対価として決定します。そのため、以下の観点から妥当な金額を決定することが大切です。
・役員の職務内容
・会社の業績
・他社の役員報酬とのバランス
これらの観点から見て税務署から不当な額と判断された場合、経費に計上できなくなります。それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
1.役員の職務に対応する金額か
役員報酬は役員の仕事の対価であり、職務内容に対応する金額でなければなりません。たとえば、家族経営の会社で実際は仕事をしていないのに役員報酬を支給するといった不当な決定が行われないよう、職務内容に対応する額かどうかの確認が求められます。
職務内容から見て不当に高いと判断された場合、経費への参入は認められません。
2.会社の業績に対し妥当性はあるか
会社の業績と比較して妥当性があるかどうかも、報酬額を決める上で重要なポイントです。業績がよくないのに高額な役員報酬を支給するのは、税務署から不当な金額と判断されやすいでしょう。
高すぎる役員報酬は、経営を悪化させる原因にもなります。金額の決定は前年度の経営状況や今後の予測も含め、慎重に行わなければなりません。
3.他社の役員報酬とバランスは取れているか
同業で同規模の他社より明らかに高額な役員報酬は、経費計上が認められない可能性が高くなります。バランスが取れているかのチェックも必要です。
また、従業員の給与支払状況も基準になります。従業員が役員と同等の業務を行った場合に支払う給与と比較して金額がかけ離れている場合、妥当性がないと判断される場合もあるでしょう。
役員報酬のルールを理解しよう
役員報酬は従業員の給与と異なり、金額の決定や変更にルールが設けられています。経費に計上するためには、毎月支給する金額を事前に決めなければなりません。節税のために不当に高額な金額を設定するなどの不正を防ぐためです。
報酬決定は事業開始日から3ヵ月以内に行うなどのルールに沿って行い、報酬の額も役員の職務内容や同業他社の役員報酬とのバランスなど、妥当性を考慮することが大切です。
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