離乳食の「三回食」とは
離乳食における「三回食」とは、一日に離乳食を与える回数が3回になること。
食べ物に興味を示し始める生後5〜6か月頃から離乳を開始します。離乳初期には、離乳食を一日一回与えます。この時、母乳または育児用のミルクは赤ちゃんが欲しがる量をあげるのがよいでしょう。
離乳中期となる生後7〜8か月頃には、離乳食を一日二回に。生活リズムを確立することが目的です。そして、離乳後期となる生後9〜11か月頃には、一日三回の三回食となっていきます。
目的は?
三回食では、「手づかみ食べ」をします。食べ物を触ったり、握ったりすることで、触感を体験。この経験によって、食べ物への関心が高まり、「自分で食べよう!」と思えるのです。
手づかみ食べの実践は、親が食べさせるよりも時間がかかるし、周囲も汚れるので後ろ向きに感じるかもしれません。しかし、この経験は赤ちゃんの発育や発達に必要なものなので、体験させてあげることをおすすめします。
汚れが気になる場合は、赤ちゃんの椅子の下に新聞紙やビニールを敷いておきましょう。
母乳や育児用ミルクはどうしたらいい?
三回食になっても必要なエネルギー全てを離乳食からとるのはまだ難しいので、離乳食の後に母乳や育児用ミルクを与えましょう。母乳の場合は、赤ちゃんが欲しがるだけあげます。育児用ミルクの場合は一日二回を目安にしてみてください。
三回食を始める目安は?
離乳食を三回食にするのは、いつからがよいのでしょうか。始める目安について紹介します。
1:生後9か月になった時
何事も赤ちゃんの成長に合わせるのが一番ですが、時間を軸にするなら、生後9か月を過ぎたあたりを目安にしてみてはいかがでしょうか。とはいえ、離乳食の進度には個人差があります。月齢にとらわれ過ぎず、赤ちゃんの様子を観察しながら進めてください。
2:歯ぐきでつぶせる固さのものが食べられるようになった時
赤ちゃんが舌で食べ物を歯ぐきの上にのせられるようになると、歯や歯ぐきで食べ物を潰せるようになります。それができるようになったら、三回食にステップアップを考えてみてはいかがでしょうか。
3:二回食に慣れて、食事や生活のリズムがついてきた時
二回食で赤ちゃんが食べることのできる食品の数が増えてきたら、検討を。食べる量・食欲が安定していれば、三回食を始めるタイミングです。
また、二回食を続けているうちに、赤ちゃんの食べる量が増えて、母乳やミルクを飲む量が減ってきたと感じることもあるでしょう。このことも一つの目安になりますね。
三回食のポイントは?
三回食を進めるための、5つのポイントを紹介します。
1:朝・昼・晩の三回に
一日二回だった食事を、朝・昼・晩の一日三回に。食事リズムを大切にすれば、生活リズムも整います。結果、ママやパパも楽になるでしょう。睡眠のことを考えると、三回目の離乳食の時間は遅くならない方がベターです。
2:食べ物の固さの目安
かたさは歯ぐきでつぶせるくらいに。バナナの薄切りなど、歯ぐきでつぶせる固さを目安にしてみてください。
3:一日に必要な食事量の目安
厚生労働省によると、二回食以降は、穀類(主食)、野菜(副菜)・果物、たんぱく質性食品(主菜)を組み合わせた食事がよいと書かれています。家族の食事を料理する際には、味付けの前に取り分けて、赤ちゃんに出すものは薄味にしたり、調理方法を変えてあげましょう。
一回の食事でとる目安量は、米は全がゆ90g~軟飯80g、野菜・果物は30~40g、たんぱく源となるものは魚15g、または肉15g、または豆腐45g、または全卵1/2個、または乳製品80gのいずれかから摂取するようにしましょう。
これらは、一回あたりの食事の目安量なので、三回食ならこの量を一日三回与えることになります。
4:手づかみで食べられる工夫
先述した通り、手づかみ食べは、赤ちゃんの発達や発育をうながします。そのため、手づかみ食べがしやすいように、赤ちゃんが手で持って食べやすいサイズに食事をカットして、出してあげましょう。食べ物への関心を高めることに期待ができます。
5:家族と一緒に食事を
三回食は、できれば家族とともに行えるとベター。赤ちゃんは大人が食べる姿を見て、多くのことを学びます。忙しい中、大人の食事と赤ちゃんの離乳食を同時に準備するのは大変ですし、時間を合わせるのも難しいかもしれません。
しかし、赤ちゃんにとっては、家族でごはんを食べることは大切な経験。できるだけ、時間を合わせて一緒に食べたいですね。
参考:厚生労働省ホームページ「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版) 」
「三回食」にまつわる悩みは?
三回食に進むと、悩みも出てくるものです。多くの人が悩んでいるお悩みとそのお悩みを解決するコツを紹介します。
1:離乳食の進みが遅い
一歳になるまでは、離乳食の進みが遅くても問題ないだといわれています。なぜなら、ミルクや母乳で基本的な栄養面がカバーされているから。あまり神経質にならず、赤ちゃんのペースに合わせて進めましょう。ただし、栄養・発達のことを考えると、一歳からは幼児食に切り替えていくことをおすすめします。
2:食べる量が少ない
どの赤ちゃんも規則正しくは食べてくれません。「赤ちゃんには、食べむらがある」と心得ておきましょう。「今日一日、全然食べてくれなかった…」「必要な栄養が全然取れていない」という日も出てくるでしょう。そんな日もあります。一日単位で考えずに、一週間くらいの長いスパンで考えて、バランスが取れればOKです。
3:外出やお昼寝で不規則になる
外出をしなければならなかったり、赤ちゃんのお昼寝時間が長かったり…。三回食を時間通りに行えない日も出てくるもの。そんなとき、自分を責める必要はありません。外出をしなければならないときなどは、ベビーフードなどを活用したりするのも一つの方法です。
最後に
三回食をはじめるタイミングや基本的な進め方を説明してきました。スタートするタイミングはあくまでも目安で、赤ちゃんのペースに合わせることが一番です。食べることは、生きていく上での基本。食べることへの意欲や好奇心を、すこやかに育ててあげたいところです。