「当座」とは?
当座とは、ものごとに直面した場面を指して使われるほか、しばらくの間という意味もあります。デジタル大辞泉での解説を確認しておきましょう。
【当座】とうざ
1 物事に直面した、すぐその場。即座。「当座の知恵」
2 さしあたっての、その場。目下のところ。「借金で当座をしのぐ」「当座の間に合わせ」
3 しばらくの間。一時。「上京した当座は苦しかった」
4 「当座預金」の略。
5 歌会・句会などで、その席上で出される題。また、その題で即席に詠まれる和歌・俳句。席題。即題。⇔兼日けんじつ。
6 居合わせている、その場、その席。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
数ある意味のなかから、今回メインでご紹介するのは当座預金の略語としての当座です。実際に利用した経験がないと、なかなか理解しにくい当座と普通預金との違いをマスターしましょう。
「当座」と普通預金の“7つの違い”
当座預金と普通預金には、事前に知っておきたいいくつかの違いが存在します。当座預金の開設が必要になった際には、特徴をしっかりと押さえて両者を比べることが必須です。
普段普通預金を利用している時にはあまり気にすることのない、当座預金ならではの特徴を解説します。
1.開設における審査の有無
誰でも気軽に口座を開設できる普通預金と違って、当座預金の開設には審査に通過する必要があります。銀行からは会社の登記事項証明書や印鑑証明書などの必要書類を求められ、提出してその場ですぐに口座開設はできません。
銀行側で書類に問題がないかの審査が行われ、後日審査を通過すれば無事に当座預金口座が開設される流れです。当座預金開設の後も、銀行と「銀行取引約定書」を交わす必要があり、一般の普通預金よりも複雑な手続きをする必要があります。
2.元本の保証がされているか
金融機関の資金繰りが悪くなり、破綻に追い込まれるような事態に陥った場合に、預金を守ってくれるのが預金保護制度です。当座預金の場合は、預けている金額全てが保護されます。
一方で、普通預金の場合は1,000万円までの元本と利息しか保証されないため、リスクが高いといえるでしょう。
3.利息がつくかどうか
銀行口座にお金を預けておけば、利息がついてお金が増えるイメージを持っている方が多いでしょう。しかし当座預金については、利息がつかない点はしっかりと理解しておく必要があります。
臨時金利調整法などによって、当座預金に利息をつけることが制限されているのです。大きな額のお金を預けて利息での増額を期待している場合には、普通預金の利用が適しています。
4.通帳の有無
取引内容の確認ができる口座通帳は、当座預金では発行されません。代わりに銀行から発行されるのが、金融機関が当座預金を保有している企業に送付する当座預金取引照合表です。
当座預金は企業の決済口座として利用されることが一般的で、取引量が個人保有の普通預金と比べて多くなります。ページ数が多くなり口座通帳で管理するのが難しいため、当座預金取引照合表の形で通達されています。
また、近年は環境保護の観点から改革が進み、当座預金取引照合表のペーパーレス化も進んでいるのが特徴的です。
5.ATMで引き出しができるか
普通預金は気軽にATMでの入出金が可能ですが、当座預金の場合は原則取引店での窓口で手続きが行われます。一部の金融機関では、当座預金であってもATMの利用が可能なケースがあるようです。
当座預金の払い出しは、主に小切手・手形・口座振替で行われるため、普通預金のように気軽に預金を出し入れするのは難しいでしょう。
6.現金の引き出し限度額
普通預金は、ATMを使って便利に出金ができる一方で、現金の引き出し限度額が設定されているのが一般的です。金融機関の条件にもよりますが、ATMでは100万円程度が限度額である場合が多いでしょう。
多額の現金が必要な場合は窓口を利用しますが、事前の申し込みが求められることもあり、当日中に現金を受け取れない可能性も否めません。
対して当座預金では、現金の引き出し限度額や制限がないのが特徴的です。