「ご覧いただき」の基礎知識
「ご覧いただき」の読み方は〈ごらんいただき〉で、「見てもらう」という意味の丁寧な敬語表現です。「見る」の尊敬語と「もらう」の謙譲語を組み合わせた言葉であり、立場が上の人に対して自分の立場をへり下って伝えられます。
はじめに、ご覧いただきという言葉の詳しい意味やご覧くださりとの違い、使い方、例文についてそれぞれ詳しくチェックしていきましょう。
■「見てもらう」という意味の丁寧な敬語表現
【(ご‐らん)御覧】
(一)「見ること」の尊敬語。「―のとおりです」
(二)「御覧なさい」の略。
(1)「御覧なさい」に同じ。「―、あの山を」
(2)(動詞の連用形に接続助詞「て」を添えた形に付いて、補助動詞的に用いる)「御覧なさい」に同じ。「おいしいから食べて―」
御覧に入れる
御覧になる
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
ご覧いただきとは、見てもらうを丁寧に表現した言葉です。相手の行為に向けた「見る」という言葉を尊敬語にして、自分の行為に対する謙譲語である「もらう」と組み合わせています。
ご覧いただきという言葉を二重敬語ではないかと思っている人もいますが、これは正しく使える表現です。異なる種類の敬語の組み合わせであり、使い方として間違っていません。
■「ご覧くださり」との違い
「ご覧くださり」とご覧いただきは、同じようなシーンで使えます。ただし、これらの言葉には違いがあることに注意しましょう。
ご覧いただくとは、「(自分が相手に)見てもらう」という意味で使う表現です。一方で、「ご覧くださり」の「くださる」とは「くれ」の尊敬語表現であり、「(相手が)見てくれる」という意味で使うものです。
つまり、自分の動作や状態について伝えるのか、相手の動作や状態を表現するのかという違いがあります。「くださる」が「くれ」という命令形の尊敬語表現のため、より丁寧に伝えたいシーンではご覧いただくを使うようにするといいでしょう。
■ご覧いただきなどの使い方・例文
ご覧いただきという言葉は、相手になにかを見てもらいたいときの表現であり、ビジネスシーンでも使えます。たとえば、目上の人に対して会議資料を確認してほしい場合などに使える言葉です。
ご覧いただきを使ったものには、以下のような表現があります。
・ご覧いただきありがとうございます
・ご覧いただきますよう
・ご覧いただければ
このほか、「ご覧いただきたく存じます」や「ご覧いただけますか?」なども使われています。
それでは、ご覧いただきを使った例文をチェックしていきましょう。
ご覧いただきありがとうございます
「ご覧いただきありがとうございます」とは、見てもらえたことに対する感謝の気持ちを伝える表現です。この言葉を使った例文は、以下のとおりです。
・この度は見積書をご覧いただき、ありがとうございます。
「お忙しいところ」「ご多用の中」「ご多忙の折」などのクッション言葉と組み合わせて使うと、さらに丁寧な表現ができます。また、「ありがとうございます」の部分を「感謝申し上げます」や「お礼申し上げます」などに変えると、より丁寧な表現が可能です。
ご覧いただきますよう・ご覧いただければ
「ご覧いただきますよう」は、お願いいたしますなどの依頼する表現と組み合わせることで、相手になにかを見てもらうようお願いするときに使います。ご覧いただきますようの例文は、以下のとおりです。
・会議に関する資料をお送りいたしました。一度、ご覧いただきますようお願い申し上げます。
「ご覧いただければ」は、「見てもらえると」を意味する表現です。「幸いです」などと組み合わせて、見てもらいたいことを柔らかいニュアンスで表現できます。ご覧いただければの例文は、以下のとおりです。
・先日のミーティングでの内容をまとめた資料を送付いたします。ご覧いただければ幸いです。
ご覧いただきの類語・言い換え表現3つ
最後に、ご覧いただきの類語・言い換えできる表現を3つご紹介します。ご覧いただきの言い換え表現は、以下のとおりです。
・ご高覧いただき
・ご確認いただき
・ご参照いただき
また、「ご一読いただき」「ご査収いただき」「ご賢覧いただき」なども、ご覧いただきとの言い換えができます。
それでは、類語・言い換え表現をチェックしていきましょう。
1.ご高覧いただき
「ご高覧<こうらん>いただき」とは、見てもらうという意味を謙譲表現にした言葉です。ご覧いただくと同じように使えます。
「ご高覧」の「高」とは相手への敬意を表すものであり、尊敬の接頭語の「ご」をつけることで、相手への敬意をより丁寧に表現できる言葉です。資料や書類などを目上の人に見てほしい場合に使えます。