結婚6年で離婚。理由は「義母」
繭さん(仮名)は、40代前半で6年間連れ添った夫と離婚しました。いわゆる「格差婚」で、繭さんの年収は結婚当初でも夫の1.5倍ほど。結婚してからは夫の年収の2倍まで稼ぐようになっていたそうです。
「友人たちからも“格差婚は大変そう、大丈夫?”と心配されながらの結婚でしたが、結婚を決めた当時の私は『愛があれば平気』と思っていたのもあるし、私みたいなバリキャリタイプの男性と結婚すると、仕事のことで衝突しそうなのも不安だったので、かえって私より仕事への意欲が低い人のほうが上手くいくんじゃないか…という期待もあったんです」
こう話す繭さんが離婚した理由は、夫婦の問題というよりも「義母」にあったとのこと。そのワケとは…
「息子に贅沢をさせてあげて当たり前」と考える義母と不協和音
「義母は地方に暮らしていて、考え方は保守的。けれど、自分では先進的な価値観だと人に思ってもらいたいようで、口では『今は、女性のほうが稼ぐのも珍しくない時代だから』と言うんですが、結婚当初から端々で、私に対する劣等感みたいなものをイヤミのように伝えてくる人でしたね。
我が家はもともと夫婦ともに“格差婚”であることを納得して結婚していたので、生活水準は夫の収入に合わせてきていました。具体的には、夫の収入から出すのに無理がない範囲で生活費を設定し、その生活費をお互いに折半して負担するスタイル。それ以外の収入は、お互いが自由に使ってそれぞれで管理しようと決めていたんです。
ところが義母が『あなたのほうが稼ぐんだから、息子にもっと贅沢させてあげて当たり前。それをしないあなたはケチ』と言い出したあたりから、私と義母の間に不協和音が…。私はその理屈が到底理解できなかったし、そもそも夫婦で決めているお金のルールに口出しされるのも嫌でした」
義母の影響で夫の価値観まで変わってしまい…
義母が息子である夫に入れ知恵をし出したのか、ある時に夫が繭さんに相談もなく転職を決めてしまい、その結果として勤務時間は以前の会社より少なくなったものの、年収が大幅にダウンする事態に…。
「夫の年収が下がったので、我が家のルールだと生活水準をさらに下げて夫婦でつつましく暮らしていくってことになると思うのですが、なんと夫が『俺より稼ぐんだから、もうちょっと生活費を出してよ。年収は2倍なんだから生活費も2倍払えるでしょ』と言い出し、これをきっかけに夫婦仲もおかしくなっていったんです」
結婚当初からうまくやってきていたはずの“我が家ルール”を一方的に崩した夫に対して、怒りが沸いて仕方がなかったと話す繭さん。繭さんは夫の主張を受け入れることができず、さらには夫が生活費の口座にお金を入れなくなったので、繭さんも同じように生活費の負担をやめ、それぞれが自分の収入で自由に食事をし、自由に遊びに行くというおかしな関係になっていったそうです。
「本当は夫と以前のように、折半ルールを復活させたかったんです。だけど、夫が生活費を入れなくなってしまった以上、私がすべてを負担するのも違うと思って。そんなふうにしているうちに致命的に夫婦仲が悪くなって、離婚という選択に至りました。子どもがいたら結果は違ったかもしれませんが、子どもがいなかった私たちにとっては、お金の問題が夫婦継続の危機に直結しましたね。でも、離婚した今でも、原因は義母にあると思っています。だって、夫は義母の干渉がエスカレートする前は、しっかりと生活費を払ってくれていたし、勝手に転職するような人でもありませんでしたから。
それに、後から人づてに聞いた話ですけど『稼ぐくせにケチな嫁とは、離婚して正解』って義母が周囲に話していたとも聞きました。夫がそんな母親に影響されて、私のお金をあてにし始めたのが本当に悲しかったです」
一般的に「格差婚は難しい」と聞きますが、その理由は夫婦間だけでなく、義母など身近な親族が介入してくることも関係しているのかもしれません。“お金”によって関係が崩れるのはなんとも残念な話ではありますが、結婚は生活そのものですから、綺麗事だけでは続けていけないのもまた現実と言えるのではないでしょうか。
取材・文/並木まき