「京ことば」とは
「京ことば」とは。京都で使われている言葉をいいます。「京都弁」ともいいますが、京都では「京ことば」の方が好んで使われることが多いようです。
「京ことば」には種類がある
「京ことば」には大きく分けて「御所(ごしょ)ことば」と「町方(まちかた)ことば」に分けることができます。
「御所ことば」
「御所ことば」とは、天皇の住まいが京都にあった頃、宮中に仕えた女官たちが使っていた話し言葉。時代が変わり、武家の奥方にも使われていたため「女房詞(にょうぼことば)」ともいいます。「御所ことば」の特徴の1つは、言葉の頭に「お」をつけること。
例えば、「おでん」「おこわ」「おかか」、これも実は「御所ことば」に由来します。また語尾に「もじ」「もの」をつけるものも。「しゃもじ」や「青もの」も、「御所ことば」が語源になっています。このように「御所ことば」には、現在でも定着して使われている言葉が多くあるのです。
「町方ことば」
宮中で使われていた「御所ことば」に対して、一般的に街中で使われていた言葉が「町方ことば」です。「町方ことば」は、さらに「中京ことば」「職人ことば」「花街(かがい)ことば」「農家ことば」に分けることができます。「中京ことば」は、主に呉服問屋が多くあった室町界隈や商家で使われていた言葉。「職人ことば」は、西陣の織屋などで使われていたものをいいます。
また「花街ことば」は、祇園や宮川町をはじめとする、花街で用いられることばのこと。舞妓さんが使う言葉は、この「花街ことば」です。そして「農家ことば」は、京都の農家の人たちが使う言葉で、主に京都の上賀茂や大原、八瀬などで使われています。
このように「京ことば」は、住む地域や職業などによっても特有の言い回しや表現があるのです。
「京ことば」と「大阪ことば」の違いは?
京都のお隣である大阪で使われている言葉を「大阪弁」または「大阪ことば」といいます。「京都ことば」と「大阪ことば」は似ていますが、微妙に異なるポイントがあります。まず、イントネーションです。「京都ことば」のイントネーションには抑揚があり、語尾を上げるようにいうため、柔らかい印象を与えます。
一方で、「大阪ことば」のイントネーションは、どちらかというと平坦。また語尾に「やん」・「ねん」など「ん」で終わる話し方が多く、直接的な話し方が特徴であるといえるでしょう。
「京ことば」の特徴とは?
「京都ことば」をより知るために、その特徴をチェックしていきましょう。
1:語尾に特徴がある
「~はる」
「京ことば」では、語尾に「~はる」がつくと丁寧な表現になります。「~する」の敬語は「~される」。「京ことば」では「~しはる」と表現されます。
例えば、「引越しされるんですか?」を「京ことば」に変換すると、「引越ししはるんですか?」。また「朝食を食べますか?」なら「朝食を食べはりますか?」となります。
このように「京ことば」は丁寧な言い回しをしたい場合、語尾に「~はる」がつきますが、ビジネスシーンなど、フォーマルな場面では標準語の敬語表現を用いることが多いようです。
「~へん」
例えば、「行かへん」は「行かない」ということ。動詞の後に「へん」がついた場合は、否定の表現であることが多いです。また、「行かない?」という意味で「行かへん?」ということもあります。
「~かぁ」
「今、ご飯食べてたんやんかぁ」「行くねんかぁ」など、語尾に「かぁ」をつけるのも特徴的。標準語だと「~だよ」が近いでしょう。
2:直接的な表現をしない
京都の人は、直接的な表現をしないことが多いでしょう。これは「京ことば」の特徴というより、京都の人の性質の話になりますが、京都の人は、自分の感情をはっきりと伝えないという特徴があります。そのため京都の人は「裏がある」「腹黒い」というイメージを持たれることも。
しかしこの性質は、意地悪なのではなく、相手を思いやる気持ちからなのです。物事をダイレクトに言うことで、相手を傷つけたり、恥をかかせてしまうことを避けるため、遠回しな言い方をすることがあります。
例えば、「賑やかでよろしいなぁ」といわれたら、うるさくしていなかったか確認をした方がよいかもしれません。「賑やか」というのは、「音や話し声が聞こえていましたよ」ということをさりげなく伝えている場合が考えられます。