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2023.09.20

「布石」とは?意味や由来、類似する表現、使い方をご紹介

布石とは、将来のための備えを意味する言葉です。「布石を打つ」「布石を置く」などのように使います。どのような意味で使われる言葉か、シーン別にまとめました。また、由来や類似する表現もご紹介します。

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「布石」とは?意味と読み方

布石(ふせき)とは、将来のための備えを意味する言葉です。たとえば、将来的にある法案を成立させるために、何年も前から新聞や雑誌に寄稿するなどの世論を動かすような行動をしているとしましょう。このような行為は、「法案成立のための布石」です。

碁盤と碁石

「ふせき」ではなく「ぬのいし」と読むこともあります。布石(ぬのいし)とは、道などに沿って据え付けた敷石のことで、布敷石(ぬのしきいし)とも呼ばれます。

【布石】ふせき
1 囲碁で、序盤戦での要所要所への石の配置。
2 将来のために配置しておく備え。「新党結成への—を打つ」

【布石】ぬのいし
道に沿うなどして、長くすえつけた敷石。ぬのしきいし。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

■囲碁に由来する言葉

布石(ふせき)とは、元々囲碁に由来する言葉です。囲碁では戦いの構想に沿って、序盤に要所要所に石を並べておきますが、この行為を「布石」と呼びます

布石をしておくことで、自分の構想どおりに戦いを進められ、相手が思うように動いてくれたときには勝ちにつながります。囲碁以外の場面でも、布石を打つことは少なくありません。とりわけビジネスや政治の世界では、用意周到に布石を打つことが必要になります。

■「布石」の使い方を例文でご紹介

布石(ふせき)は、次のように使います。

・就職なんてまだまだと思わずに、早めに社会人としてのマナーや英語力を身につけて布石とするほうがよい。

・余裕のある老後生活のための布石として、アパート経営を始めた。

・この合意は、将来的に協力関係を築くための布石となると考えられる。

 

布石(ふせき)は、「布石を打つ」や「布石を置く」という形で使うことも多いです。ビジネスシーンや日常会話での使い方を見ていきましょう。

ビジネスで「布石を打つ」

先々を見越して計画的にビジネスを進めていくときに、「布石(ふせき)を打つ」と表現することがあります。たとえば、次のように使います。

・彼女は、早く管理職に昇進するための布石を打っているようだ。

・事業拡大のための布石を打ち続けることで、企業の安定した成長が実現できる。

・課長「A社への営業だが……」部下「安心してください。もう布石は打ってあります」

 

日常会話で「布石を打つ」

日常会話でも、計画的かつ意図的に行動するときに「布石(ふせき)を打つ」と表現することがあります。たとえば、次のように使います。

・一人暮らしを認めてもらうために、時間をかけて布石を打ってきた。あとは志望大学に合格するだけだ。

・彼女は丁寧に布石を打ってから行動を起こすため、スムーズにことが進む。

・目標を決めたのなら、実現のための布石を打つほうがよいだろう。

 

■「布石」の間違った使い方とは?

布石(ふせき)は元々囲碁用語のため、「布石を打つ」や「布石を置く」が正しい使い方です。しかし、しばしば間違って使われることがあります。

たとえば、「布石を張る」は間違った使い方です。布石は碁石のため、置いたり打ったりできますが、張ることはできません。おそらく、後々の展開につながるときに用いる「伏線(ふくせん)を張る」などの表現と混同したと思われます。

また、「布石(ふせき)を敷く」も間違った使い方です。「布石(ぬのいし)を敷く」という表現は可能ですが、布石(ふせき)は碁盤上の石のため「敷く」という使い方は適当ではありません。

「布石」と類似する表現

布石(ふせき)と類似する表現としては、次のものが挙げられます。それぞれの使い方やニュアンスの違いを、例文をとおしてご紹介します。

何か考えている様子の男性 イメージ

「伏線(ふくせん)」

伏線(ふくせん)とは、小説などにおいて、後々の展開につながる事柄を事前にほのめかす言葉です。たとえば、爽やかな青年の残酷な一面を伏線として部分的に紹介することで、実際は連続殺人犯だったという結末につなげることがあります。

伏線は、次のような使い方をすることがあります。

・伏線を張る:結末につながる出来事を事前にちりばめておくこと

・伏線を回収する:事前にちりばめた要素を、最後にうまくまとめてつなげること

 

また、現実社会でも伏線を使うことは少なくありません。たとえば、後々の展開に備えて、それとなく用意しておくことを「伏線」と呼ぶこともあります。この場合の「伏線」は、「布石(ふせき)」に近いと考えられます。いくつか例文を見ていきましょう。

・あのセリフが伏線だったとは気付かなかった。

・伏線が多すぎて、すべてを回収できていないようだ。

・離婚に至る伏線として、少しずつ荷物を個人所有のマンションに移している。

 

「お膳立て(おぜんだて)」

お膳立て(おぜんだて)とは、特定の事柄に備えて準備することを指す言葉です。なお、布石(ふせき)は目的に向かって行動する本人が準備しますが、お膳立ては行動する本人ではなく周囲の人物が準備します。たとえば、次のように使います。

・彼女が話す言葉も記者が尋ねる質問も、すべて最初から決まっている。完璧にお膳立てされた会見だ。

・お膳立てしてもらったのに、お見合いに失敗するってどういうこと?

 

なお、お膳立てとは「膳立て」に由来する言葉です。膳立てとは、お膳に食器や料理を並べることで、転じて「準備すること」の意味で使われるようになりました。お膳の準備をするのは食べる人とは別の人のため、お膳立てするのも、行動する本人ではなく周囲の人や裏方の人となります。

「布石」を正しい使い方で使用しよう

虎と猫が囲碁を楽しんでいる様子 イメージイラスト

布石(ふせき)は日常会話でもよく使う言葉のため、意味を正確に理解しておきましょう。とりわけ使い方には注意が必要です。「布石を打つ」や「布石を置く」という使い方は正しいですが、「布石を敷く」や「布石を張る」は間違っています。布石が囲碁の石であるという語源を理解していれば、間違った表現も回避しやすいでしょう。

また、布石(ぬのいし)と読むときは、道に沿って据え付けられた敷石を示す建築用語です。この場合は「布石を敷く」と表現しても間違いではありません。正しく読むのはもちろんのこと、使い方も正確に理解しておきましょう。

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