「催促」の意味とは?簡単に基礎知識を解説
催促とは、相手に物事の実行を早めるようにとせかすことを指す言葉です。督促にも似たような意味があるものの、表現する内容には違いもあります。言い換えたいときには意味の違いに注意して、正しく使えるようになりましょう。
はじめに、催促の詳しい意味や督促との違い、使い分け方、類語表現をそれぞれ確認していきます。
■催促とは物事を早めるようにせかすこと
【さい‐そく催促】
(名)スル
物事を早くするようにうながすこと。督促。「矢の―」「返事を―する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
催促とは、相手に対して物事の進行を早めるようにせかすことです。せかすとはいっても、催促という言葉の強制力はそれほど強くありません。せき立てるほどのことではなく、ねだったりうながしたりするような、日常的な使い方をする言葉です。
物事をせかすことへの深刻度合いが低いとき、または約束の期限を決めていないときなどに使います。
■「催促」と「督促」の違い
一般的に、「催促」とは約束した期限までに進められていない事柄に関して、素早く履行するようにと相手にうながすことです。「督促」のほうが催促よりも事柄の素早い履行を求める強制力が強いという点が大きく異なります。例えば、税金を納付の期限内に支払わなかった人に対して、早めに納付するように伝える場合などによく使われているのが、督促という言葉です。
相手をせかすときに使う言葉だということ自体はどちらも同じであるものの、催促のほうが日常的に使いやすい強制力の弱い言葉で、督促のほうが素早い履行を求める強制力が強い言葉だと覚えておきましょう。
■催促と督促の使い分け方を例文でチェック
それでは、催促と督促との意味の違いによってどのような使い分けをするのか、例文でチェックします。
[催促]
・前に送ったメールの返事をするようにと催促した。
[督促]
・公共料金の支払いが滞っている人に対して、催促状を送った。
なお、「借金の返済をするように〜した」という場合には、催促と督促どちらであっても使えます。督促は、役所や公的機関などが金銭関係の処理を求めるシーンで使うことが多いです。催促も督促も要求への法的拘束力はないものの、督促は強制力を感じさせる強い表現だといえます。
■催促の類義語
催促の類義語の例は、以下のとおりです。
・督促・要求・要望・強要・要請・督する
・注文・求める・詰め寄る・談じ込む・うながす
・迫る・説きすすめる・請求・かり立てる など
このように、催促にはさまざまな類義語があります。また、「言葉による依頼」という意味に関する催促の類義語は、以下のとおりです。
・申し出・申し込み・申請・依頼 など
類義語とはいっても、多少意味の異なる表現があります。そのまま言い換えるのではなく、表したい意味にあったものを選んで使いましょう。
相手に催促する書類の「督促状」とは?
「督促状」と呼ばれる、相手に支払いなどを催促する書類があります。ここからは、その督促状とはどのような書類なのか、催告書や支払督促との違いを確認しましょう。
もしも公共料金の支払いが滞ってしまった場合、自分に対する督促状などが届くことがあります。督促状などが届いたときの対応も、あわせてチェックしておきましょう。
■督促状とは支払いの要求などをおこなう書類
督促状とは、支払いの要求などをおこなう必要があるときに送付される書類のことを指します。督促状が送付されるときに多い内容は、税金の納付などといった支払いの要求です。しかし、金銭的なことだけではなく、さまざまなシーンで用いられることがあります。
基本的に、督促状は郵便やメールなどを利用して渡すことを前提に作成される書類です。多くの場合、督促状の文章は段階的に要求の仕方を変えます。はじめに送るものは穏やかな表現を使い、その後支払いなどの要求を無視しているとより強制力の強い表現の督促状が送付されるのです。
■催告書との違い
支払いなどの催促をおこなうために発行されるものには、督促状のほかにも「催告書」や「支払督促」といった書類があります。催告書は、支払いなどを要求する強制力が、督促状よりも強いのが特徴です。
催告書とは、督促状を送付しても連絡がつかず、要求に応えてもらえないままの場合に送られる書類です。郵便局に記録の残る「内容証明郵便」を用いることで、債務返済請求の時効を一旦遅らせる法的な効力があります。
■支払督促との違い
督促状と支払督促の大きな違いは、書類の発行元や督促の段階の差です。支払督促は、支払いを請求している組織からではなく、裁判所から送られます。
また、督促状は期日までに支払いなどがなかった場合に送付する書類で、支払督促は強制執行実施の前段階として送付する書類です。支払督促を放置するといつでも差し押さえられてしまう状態となるため、督促状よりもさらに強制力のある書類だといえます。
■督促状などが届いたときの対応
手元に税金などの督促状や催告書が届いたときは、記載されている内容を確認し、事実であれば請求されているものをすぐに支払いましょう。すぐに支払いが難しい場合には、文書を送った相手に連絡し、自身の事情を伝えます。話し合いの結果、もしも当事者同士で解決が困難であれば、弁護士に相談して間に入ってもらっても良いでしょう。
催促や督促という言葉を理解しよう
催促とは、相手に対して物事の進行を早めるようにせかすことです。督促にも似たような意味があるものの、それぞれの言葉が持つ強制力の違いや使用されることの多いシーンなどが異なります。催促と督促はどちらも要求への法的拘束力がないものの、督促は強制力を感じさせる強い表現です。
相手に支払いなどの対応をせかす書類には、督促状や催告書、支払督促があります。それぞれに使われ方や意味の違いがあるため、その差を理解しておきましょう。また、督促状などが届いたときの対応もあわせて確認するのがおすすめです。
それぞれの言葉の表す意味を理解し、正しく言葉を使えるようになりましょう。
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