「順不同」とは?意味をご紹介
順不同(じゅんふどう)とは、一定の基準に沿った並び方ではないことを指す言葉です。順序不同(じゅんじょふどう)と表現することもあります。
【順不同】じゅんふどう
一定の基準によった並び方になっていないこと。順序不同。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
たとえば、イベントのポスターには、スポンサー企業の名前も記載することが一般的です。五十音順などのルールに沿って記載するのでもよいですが、アルファベット表記の企業や、途中参入する企業もあり、ルールどおりに並べるのは簡単ではありません。
しかし、ルールなしに企業名を羅列すると、「寄付額が多い順なのだろうか」「ネームバリューのある企業が先なのだろうか」と、あらぬ誤解を招く可能性があります。
そのようなときに使えるのが「順不同」の表現です。「順不同」と一言添えておけば、並び方に特別な意図はないことを示せるだけでなく、一定のルールどおりに並べる必要もありません。
「順不同」を使用するケース
順不同という表現は、次のケースで使われることがあります。それぞれのケースについて、具体的にご紹介します。
■個人や団体の名前をご紹介するとき
式典や会議など、さまざまなところで個人や団体の名前をご紹介します。五十音順やアルファベット順などのルールに沿って並べるのは手間がかかるだけでなく、関係者に「なぜ〇〇は△△よりも先なのか?」「なぜそのルールを選んだのか?」などの疑問を、抱かせる可能性があります。
すべての関係者に対して失礼にならないためにも、特定のルールを選ばずに「順不同」としておくほうが穏便です。とりわけ、五十音順を選ぶと、読み方を間違えているときは正しく並べられません。ミスを回避するためにも、順不同を活用しましょう。
また、紹介する個人・団体が少ないときは、それぞれに「様」などをつけても問題ありませんが、個人・団体が多いときにそれぞれに「様」などの敬称をつけると、冗長な印象になってしまいます。
とくに紙やウェブサイトなどに記載するときは、「様」などの敬称が並ぶと読みづらくなりがちです。注意書きとして「順不同」に「敬称略」も加えておくと、すっきりと見やすい文章が完成します。
■複数の答えがあるテストを実施するとき
テストの解答用紙に「順不同」と記載されていることがあります。たとえば、AからFまでの選択肢があり、答えが複数あるときなどには「順不同」と記載されているかもしれません。正しい答えがAとCとすれば、「A、C」と記載しても「C、A」と記載しても正解です。
順不同と記載されていないテストで、答えが複数あるときには回答者は書き方を迷う可能性があります。記載する順序が変わっても問題ないときは「順不同」と注記し、回答者の不安を減らしましょう。
「順不同」と類似する言葉
順不同と同じく、特定のルールにこだわらないことを意味する言葉はいくつかあります。たとえば、次の言葉は順序にこだわらないときに使えます。
ただし、それぞれニュアンスが異なるため、順不同と置き換えられません。各言葉の意味とニュアンスを説明します。
「無作為」
無作為(むさくい)とは、作為がなく、偶然に任せることを意味する言葉です。いくつかの選択肢があり、特定のルールを決めずに選ぶときなどに使われます。
・対象のエリアに居住している住民から無作為に500名を選び、世論調査を実施した。
・観客のなかから無作為に選ばれた5名に対し、司会者はステージに上がるように呼びかけた。
「任意」
任意(にんい)とは、その人の自由意志に任せること、もしくはその様子です。ルールが決まっていないときなどに使われる言葉です。
・明日の遠足では、制服を着用する必要はありません。任意の服装で集合場所に来てください。
・紙に任意の点AとBを書きましょう。次に、AとBを結んだ線分ABと垂直に交わる線Lを書いてください。
「ランダム」
ランダム(random)とは、無作為であることや任意であることを表す言葉です。英語ですが、「ランダムだ」や「ランダムに」「ランダムな」のように日本語の会話でも使います。
・私は、ランダムに並んだ数字から規則性を見つけるのが得意だ。
・課題図書のなかからランダムに1冊選んで読み始めたら、意外と面白かった。
「順不同」と相反する言葉
順不同とは異なり、一定のルールに沿って並んだ様子を示す言葉もあります。日常生活でよく使う言葉としては、次のものが挙げられます。それぞれのルールについて見ていきましょう。
「先着順」
先着順とは、到着した順を意味する言葉です。たとえば、イベントを開催し、「先着順100名様にオリジナルステッカーを差し上げます」などのように使います。
デパートなどの小売店では、「1,000円以上ご購入の方、先着順50名様にハロウィンクッキーをプレゼント!」のように条件付きで先着順にすることもあります。プレゼントの個数や参加人数が決まっているときなどに使われることが多いです。
「五十音順・アルファベット順」
五十音順とは、あいうえお順のことです。名前などを並べるときに使われることがあります。
また、アルファベットで記載された名前を並べるときには、アルファベット順を活用できます。ただし、五十音とアルファベットが混在しているときは順序を決めにくいため、順不同などを使いましょう。
ビジネスシーンでも“順不同”を正しく使おう
「順不同」とあらかじめ断っておくことで、順序によるトラブルを回避できます。とくにビジネスでは相手の立場を尊重することが重要視されるため、トラブル回避のためにも、順不同が使われることが多いです。
ただし、順不同にすることで、不快に感じる方もいるかもしれません。言葉で説明するときは、「誠に勝手ではございますが……」と、お詫びの言葉をセットにするようにしましょう。
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