モラルとはどういう意味?
まずは、モラルの基本的な意味や語源を紹介します。モラルを含む言葉について理解するためにも、基本知識をしっかりと押さえましょう。
倫理や道徳心を意味する
モラルが意味するのは、「倫理」「道徳心」です。良心のように自分の内側にある規範のことを意味する言葉で、外側から行動を制限するルールとは異なります。
モラル(moral)の語源はラテン語の「mores(モーレス)」とされ、地域や社会の習慣・ならわしである「習俗」「風習」という意味のある言葉です。
モラル(moral)
道徳。倫理。「モラルに欠ける」
[類語]道徳・倫理・徳・道・道義・徳義・人倫・人道・世道・公道・公徳・正義・規範・大義・仁義・モラリティー
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
モラルの類義語
続いて、類義語もチェックしましょう。いずれの言葉も、他から強制されるのではなく、自分の内面にあり行動の規範となるものという点で、モラルと共通しています。
●倫理:社会生活で守るべき道理であり、行動するときに規範とするもの
●道義:人が通るべき正しい道
●道徳:人間が従うべき正当な原理や、原理に従って行動できるよう育まれた人間の習慣
モラルの対義語
モラルの対義語は、「インモラル」です。英語では「immoral」と書き、「moral」に否定の接頭辞「im」が付いてできた単語です。社会倫理に反しており不道徳で、モラルがないことを意味します。
インモラル(immoral)
[形動]不道徳なさま。背徳的。「インモラルな行為」→アンモラル
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
また、道徳に背くことを意味する「背徳」も、モラルの対義語になります。
モラルが「ある」「ない」の意味
一般的な言い回しに、「モラルがある」「モラルがない」という使い方がありますが、どのような意味なのでしょうか? 理解しやすいよう、具体例を見ていきましょう。
モラルがあるとは
「モラルがある」のは、周りに誰もいなくても、自分の良心に従って行動することといえるでしょう。誰かの指示や厳しいルールが適用されなくても、自発的に判断してよりよく動きます。
たとえば、道端に落ちている財布を拾ったとき、中身をくすねたりせずきちんと交番に届けるのは、良心に従って行動した結果であり、モラルがある行動と考えられます。ものを盗んだり、人を殺したりしてはいけないというように公序良俗に反する行為をしないのも、モラルがあることのたとえの一種です。
モラルがないとは
「みんなやっている」「やってもばれない」という気持ちから、良心に従う行動を取らないのは「モラルがない」状態といえます。
ルールがあれば従うかもしれませんが、知っている人・注意する人が誰もいないときには、好き勝手な振る舞いをし始める可能性があるからです。
たとえば、ごみの日以外にごみを出すことや、順番待ちの列で追い越すこと、飲食店・スーパーなどで店員へ横柄な態度を取ることなどは、モラルがない行動の一例といえます。
モラルを含む言葉「モラルハラスメント」
「モラハラ」とも略される「モラルハラスメント」は、倫理・道徳に反する言葉や態度で、精神的なダメージを与えること。「モラル」に、いやがらせ行為を意味する「ハラスメント」を合わせた言葉です。
モラル‐ハラスメント(moral harassment)
暴力は振るわず、言葉や態度で嫌がらせをし、いじめること。精神的暴力。精神的虐待。モラハラ。
[類語]アカデミックハラスメント・アルコールハラスメント・エージングハラスメント・カスタマーハラスメント・ジェンダーハラスメント・スメルハラスメント・セクシュアルハラスメント・ソーシャルメディアハラスメント・ドクターハラスメント・パタニティーハラスメント・パワーハラスメント・マタニティーハラスメント・レイシャルハラスメント・ロケーションハラスメント・時短ハラスメント
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
職場と家庭という異なるケースで起こるモラルハラスメントについて、それぞれ紹介します。
職場でのモラルハラスメントとは
職場でのモラルハラスメントは、上司から部下・先輩から後輩などをはじめ、同僚同士・部下から上司など、立場に関係なく起こり得ます。たとえば、無視をしたり、これ見よがしにため息をついたり、本人に聞こえるように悪口を言ったりすることが挙げられます。
対人関係の中で起こるため、周りには個人同士のコミュニケーションの問題と映ることもあるでしょう。しかし放置しておくと、当事者の精神状態が不安定になってしまうだけでなく、企業全体に影響を及ぼすことも考えられます。