「泥酔」とは?基礎知識を簡単に解説
「泥酔」とは、お酒を飲んだときの酔いの程度が、正体をなくすほどにひどいことを指します。読み方は「でいすい」です。「泥酔して道端で寝てしまった」「泥酔してあのあとの記憶がない」などと笑い話のように話すことがありますが、実際にはこれは身体的に危険な状態です。
はじめに、泥酔とはどのような言葉かを簡単に解説します。詳しい意味や由来・語源、泥酔・急性アルコール中毒を防ぐ方法、泥酔した人への対処方法を確認していきましょう。
■意味は「正体をなくすほどひどく酔うこと」
【でい‐すい泥酔】
(名)スル《「泥」は、水がないとどろのようになるという虫の名》正体をなくすほど、ひどく酔うこと。「―するまで飲む」「―状態」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
泥酔の意味は、「正体をなくすほどにひどく酔っている様子」のことです。酔いの程度が泥酔までいくと、意識がはっきりとせず、何もわからなくなるほどの状態になってしまいます。
酔いの程度は、本来であれば脳内のアルコール濃度で決まるものです。しかし、脳内のアルコール濃度の測定は困難であるため、血中アルコール濃度で酔いの程度を判定しています。
この判断基準でいうと、泥酔とは血中アルコール濃度が0.31〜0.40%の状態を指します。一人でまともに立てず、支離滅裂なことを話しているような状態です。
▶︎参考:厚生労働省|e-ヘルスネット「血中アルコール濃度」
■泥酔の由来・語源
泥酔の由来・語源は、中国の古典である「異物志」だといわれています。泥酔の「泥(でい)」とは、土のことではなく、異物志に出てくる「空想上の虫」のことです。
泥(でい)は、水中でしか活動ができない骨のない虫で、異物志のなかでは南海にいるとされました。泥(でい)は、陸に上がって水がなくなると、酔ったような状態になってしまいます。この様子から、ひどく酔っている様子のことを泥酔と表現するようになりました。
■泥酔・急性アルコール中毒を防ぐ方法
先述のとおり、泥酔は大変危険な状態です。泥酔すると、昏睡状態になったり、吐いたものを気管につまらせてしまったり、急性アルコール中毒になるなどの危険性があります。もしも警察が泥酔者を発見した場合には、泥酔者を保護しなければならないと決められています。
泥酔や急性アルコール中毒を防ぐ方法の例は、以下のとおりです。
・アルコールの無理強いやイッキ飲みをしない、させない
・食事をとりながらお酒を飲む
・自分の適量やその日の体調を把握する
・お酒が飲めない体質であれば、周囲の人にも伝えておく
・アルコール度数の高いお酒は、水と交互に飲むなどの工夫をする
お酒を飲んだときに、体格や体内の水分量の違いから女性は男性よりも血中アルコール濃度が高くなりやすいといわれています。また、高齢者や体格の小さい人も同様に血中アルコール濃度が高くなりやすいため、注意しましょう。
■泥酔した人の対処方法
もしも周囲の人が泥酔した場合には、以下のような対処をすると良いでしょう。
・安全な場所に運ぶ
・窒息防止のために横向きに寝かせる
・衣服をゆるめて楽な状態にする
・体温が低下しないよう、毛布などをかける
周囲の人が泥酔した場合には転落や凍死、交通事故、窒息などの可能性があり、1人にすることは大変危険です。顔色が悪いなど「状態がおかしい」と感じたときは、早めに救急車を呼ぶようにしましょう。
▶︎参考:厚生労働省|e-ヘルスネット「急性アルコール中毒〈急性アルコール中毒の対処法〉」
泥酔と「酩酊」との違いとは?酔った状態の差
お酒を飲んだあとの酔った状態を表す言葉には、泥酔のほかに「ほろ酔い」「酩酊」などがあります。酔った状態は、「爽快期・ほろ酔い状態」から始まり、「酩酊期」→「泥酔期」→「昏睡期」へと移行します。
このような酔いの程度の判断基準は、血中のアルコール濃度です。アルコールが血液に溶け込み、脳に運ばれ、脳が麻痺していくことで酔いが進みます。
それでは、酔った状態の差を確認していきましょう。
1.爽快期・ほろ酔い
爽快期は、血中のアルコール濃度が0.02〜0.04%のときです。さわやかな気分になる・陽気になる・皮膚が赤くなる・判断力が少しにぶるなどの特徴があります。
その後、ほろ酔い期に入ります。ほろ酔い期は、血中のアルコール濃度が0.05〜0.10%のときです。「ほろ酔い気分になる」「脈が速くなる」「手の動きが活発になる」「体温が上がる」「理性が失われる」などの特徴があります。
2.酩酊期
その後、酩酊(めいてい)初期に移ります。酩酊初期は、血中のアルコール濃度が0.11〜0.15%のときです。「気が大きくなる」「おこりっぽくなる」「大声でがなりたてる」「立つとふらつく」などの特徴があります。
酩酊初期を過ぎると、酩酊期に入ります。酩酊期は、血中のアルコール濃度が0.16〜0.30%のときです。小脳まで麻痺が広がり、「千鳥足になる」「動きが緩慢になる」など、運動失調の状態になります。また、「同じことを何度もしゃべる」「呼吸が速くなる」「吐き気をもよおす」「おう吐する」なども特徴です。
3.泥酔期~昏睡期
泥酔期は、血中のアルコール濃度が0.31〜0.40%のときです。記憶の中枢をつかさどる海馬にまで麻痺が広がってしまい、「まともに立てない」「意識がはっきりしない」「言語がめちゃめちゃになる」などの特徴があります。
血中のアルコール濃度が0.41%以上になると、昏睡(こんすい)期に入ります。まひが脳全体に広がってしまい、死に至るほどの危険な状態です。「ゆり動かしても起きない」「大小便がたれ流しになる」「ゆっくりと深い呼吸になり、呼吸の回数が少なくなる」などの特徴があります。
▶︎参考:厚生労働省|e-ヘルスネット「血中アルコール濃度」
泥酔という言葉の意味を理解しよう
泥酔の意味は、「正体をなくすほどにひどく酔っている様子」のことです。意識がはっきりとせず、何もわからなくなるほどの状態で、血中アルコール濃度が0.31〜0.40%の状態を指します。
酔いの程度は、本来であれば脳内のアルコール濃度で決まるものです。しかし、脳内のアルコール濃度の測定は困難であるため、血中アルコール濃度で酔いの程度を判定しています。
泥酔や急性アルコール中毒を防ぐ方法は、「無理強いやイッキ飲みをしない・させないこと」「食事をとりながらお酒を飲むこと」「自分の適量やその日の体調を把握すること」などです。
また、酔いの程度を示す表現には、ほろ酔いや酩酊などもあります。
意味や関連語などを確認し、言葉を正しく理解しましょう。また、お酒を飲む際は、泥酔状態にまでならないように気をつけましょう。
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