面接時やスピーチの際に「あなたの信念は?」と聞かれたことはありませんか? 度々耳にする言葉ではありますが、改めて聞かれると、「そもそも信念とは一体何なのだろう?」と疑問に思うかもしれません。そこで本記事では、「信念」の意味や使い方、類語や英語表現を解説します。
信念とは?
「信念(しんねん)」とは、どのようなものを指すのでしょうか? 言葉の意味を辞書で確認していきましょう。
1 正しいと信じる自分の考え。「―を貫き通す」「固い―」
2 宗教を信じる気持ち。信仰心。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「信念」とは、「これが正しい」と固く信じて疑わない心のこと。「これを必ず最後までやり通して見せる」といったような強い決意のようなものです。一般的には、自分の夢やポリシーを語る時に使われており、ポジティブな考えであることが多いでしょう。
また、2つ目の意味として、「宗教を信じる気持ち」がありますが、現代ではあまり用いられることはありません。
使い方を例文でチェック!
「信念」は、「信念を持つ」「信念を貫く」などと表現します。どのように使うのが正しいのか一緒に確認していきましょう。
1:病に苦しんでいる人を救うという信念を持って、兄は医師になった。
その人自身が心の中で、固く信じていることが「信念」です。この例文からは、「必ず患者を治す」という、医師としての固い決意のようなものが感じられますね。「これだけは必ず守り通す」と自分と約束をして物事に取り組むと、仕事への向き合い方が変わるかもしれません。
2:祖父は生涯、ビジネスマンとしての信念を貫いた。
「信念を貫く」とは、「信念を最期までやり通す」という意味。一度決めたことを最期までやり抜くのは、よほど強い覚悟がないとできません。この例文の場合、働くことが単なるお金稼ぎではなく、祖父自身の生きがいや使命感になっていたと推測することができるでしょう。
3:彼女は将来ダンサーになるという、揺るがぬ信念を持っていた。
「信念」は、「揺るがぬ信念」と表現することもあります。決して周りの意見に流されず、自分の軸を持っている人に対して使われることが多いです。「どうせ無理だよ」という周りの意見に左右されず、自分の信念を貫くことで簡単なことではありません。意志を強く持って人生を切り開いていきたいですね。
類語や言い換え表現は?
「信念」と似た意味を持つ言葉には、「信条」「確信」「理念」などがあります。どれもビジネスで使われる機会のある言葉なので、正しい意味と違いについて押さえておくといいでしょう。
1:信条
「信条(しんじょう)」の意味は、以下の通りです。
1 堅く信じて守っている事柄。「独立自尊が私の―だ」
2 信仰の箇条。教義。「―を守る」
3 キリスト教会において、その信仰告白を基準化したもの。使徒信条・ニカヤ信条・アタナシウス信条などがある。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
固く信じて守っている考えや事柄のことを、「信条」と言います。「困った人に、手を差し伸べることを彼は信条にしている」というように、行動を伴っていることが特徴です。「条」という文字には、「物事の道理」「筋道」という意味を持つことから、正しい筋道に従って行動するというような意味合いになります。
(例文)
・兄は、誰に対しても誠実であることを信条にしている。
・部長は人を批判しないことを信条にしている。
2:確信
「確信(かくしん)」の意味は、以下の通りです。
[名](スル)固く信じて疑わないこと。また、固い信念。「勝利を―する」「―をもって言う」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「必ずこうなるはず」と固く信じることを、「確信」と言います。「ゴールを決めた時、勝利を確信した」というように、自分の考えに確固たる自信を持っている時に、使われる傾向があるようです。
(例文)
・先日のスピーチを聞いて、君の成功を確信したよ。
・「必ずあいつが犯人だ」と探偵は確信した。
3:理念
「理念(りねん)」とは、「ある物事について、こうあるべきだという根本の考えのこと」。企業には、経営理念というものがありますが、これは企業が活動する上で指針とするべき考え方のことを指します。
組織の存在意義を明確にし、共有することで社員全員が同じ目的を持って、働くことができます。「信念」が、個人的に固く信じていることであるのに対して、「理念」は同じ組織の人間と考えを共有する点が違いと言えるでしょう。
(例文)
・新大学設立に向けて、教育の理念を話し合った。
・憲法の理念に照らして考えてみよう。
英語表現
英語で、「確固たる信念を持つ」「信念を曲げない」などと言いたい時は、どのように表現したらいいのでしょうか? 「信念」を伝えたい時に、覚えておくと便利な単語を2つチェックしていきましょう。
1:conviction
「conviction」は、「信念」「確信」などの意味があります。固く信じていることとして、「信念」や「確信」という言葉に訳すことができるでしょう。
(例文)
・No matter what obstacles he faced, he never wavered in his convictions.(彼はどんな壁にぶち当たっても、信念を曲げなかった)
・It is our firm conviction that a step forward has been taken.(1歩前進したと、我々は確信しています)
2:belief
「belief」は、「信じること」「信念」「確信」などの意味を持つ単語です。「I have no belief in doctors. (医者を信用しない)」というように、単に「信じる・信じない」と言いたい場合にも使用できるので、「conviction」よりも使用範囲が広いでしょう。「have a firm belief」で、「確固たる信念を持つ」と表現できます。
・My sister had a firm belief that she would always be a doctor.(妹には必ず医師になるという確固たる信念があった)
・It is my belief.(これが私の信念です)
最後に
「信念」とは、文字通り、「これが正しいと固く信じる心のこと」。「信念を持つ」「信念を曲げる」などと表現します。「信念」は、個人が心の中で考えている事柄なので、外に向かって公言されることはあまりありません。
ビジネスシーンで自分の考えを発表する際は、「私は〜であると確信しています」「私は〜することを信条としています」という表現を覚えておくと役立つでしょう。自分の固い意志を伝えたい時の、参考にされてみてはいかがでしょうか?
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