当て推量
当て推量とは、確かな根拠もなく、自分の勘や思い込みで事実を推しはかることです。正確な情報がないという点で、憶測とよく似ています。
あて‐ずいりょう〔‐ズイリヤウ〕【当て推量】
確かな根拠もなく事実を推しはかること。憶測。あてずっぽう。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
当て推量が変化した言葉に「あてずっぽう」があります。当て推量が「あてずい」に略され、これが擬人化されて「あてずい坊」になり、さらに変化して「あてずっぽう」となったということです。
(例文)
・単なる当て推量で言ったのだが、本当のことだったため驚いている
・彼についてはさまざまな噂があるが、どれも当て推量にすぎない
忖度
忖度とは、他人の気持ちを推しはかることです。もともとは相手の気持ちに配慮するというポジティブな意味を持つ言葉ですが、近年は「相手の顔色をうかがう」「ご機嫌をとる」など、異なる意味で使われています。
そん‐たく【×忖度】
[名](スル)他人の心をおしはかること。また、おしはかって相手に配慮すること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
本来は良い意味の言葉であるものの、ネガティブな意味に捉えられることも多いため、使用する際は注意した方がよいでしょう。
(例文)
・部下が多くの仕事を抱えているため、忖度して業務内容を調整した
・落ち込んでいる友人の気持ちに忖度して、その話題は避けることにした
これに対し、忖度をネガティブな意味で使った例文は次のとおりです。
・彼は上司に忖度してお世辞ばかり言っている
ネガティブな意味合いで使うのは本来の意味と異なるため、注意してください。
憶測の対義語
憶測の対義語には、次のようなさまざまな言葉があげられます。それぞれ、言葉の意味と例文をみてみましょう。
・断定(だんてい):物事にはっきりとした判断を下すこと
「物的な証拠を入手できたため、あの証言は虚偽と断定された」
・特定(とくてい):特にそれだと指定すること
「その事件は大掛かりな捜査が行われ、今回の首謀者が特定された」
・熟考(じゅくこう):念を入れてよく考えること
「彼は十分に熟考を重ねたうえで今回の決断を下したため、今後も考えを変更することはないだろう」
・吟味(ぎんみ):物事を念入りに調べること
「寄せられた意見を十分に吟味して、最終的な判断をすることに決めた」
・確信(かくしん):固く信じて疑わないこと
「彼は確信をもっているため、前言を撤回することはなかった」
これらの言葉はどれも、根拠がない、あるいは正確な情報がないまま想像するという意味の憶測とは反対の意味を持ちます。
憶測の意味を正しく理解しよう
憶測とは根拠なしに、主観や思い込みで物事を判断することです。情報をもとに予想を立てる「推測」とは異なります。根拠のない思い込みとして、ネガティブな意味合いで使われることが多い言葉です。
よく似た言葉として、当て推量や忖度があげられます。忖度は本来の意味とは異なる使い方をされることも多く、使うときは注意しましょう。類義語や対義語も一緒に覚えておけば、言葉の意味をより深く理解できます。
記事も参考に、憶測の意味を正しく使用してください。
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