「オルタナティブ」の意味・使い方を解説
ビジネスシーンや日常会話で使われる「オルタナティブ」という言葉を正しく理解するためには、まずは言葉の基本的な意味を押さえましょう。オルタナティブの語源や意味、例文を紹介します。
元の意味は「代案・代わりの・二者択一」
「オルタナティブ」とは、英語の「alternative」を由来とするカタカナ語で、「オルタネイティブ」ともいわれます。英語での意味は「代案・代わりの・二者択一」で、日本で使われるカタカナ語でも意味は同様です。
オルターナティブ
《「オータナティブ」「オルタナティブ」とも》二者択一。また、代案。代替品。「オルターナティブテクノロジー」
出典:小学館 デジタル大辞泉
カタカナ語のオルタナティブは、多くの場合「代替品・代案」の意味で用いられます。たとえば、環境問題で「オルタナティブなエネルギー源」という場合は、従来のものに代わる新しいエネルギー源という意味です。
「二者択一」という意味では、「システムを導入するにあたって予算を考慮すると、機能性とコストのオルタナティブだ」のように使われます。しかし、カタカナ語のオルタナティブが二者択一の意味で使用されるシーンは、実際には少ないといえるでしょう。
「主流に代わる新しい何か」という意味も
オルタナティブは「代案・代わりの」を意味するだけでなく、「主流に代わる新しい何か」という意味も持つ言葉です。そのため、単に代案を提示するだけでなく、新しい提案やアプローチのような意欲的なニュアンスが含まれています。
カタカナ語としてのオルタナティブは「代替品・代案」という意味の中でも特に、こちらの意味を含んで使われる傾向がみられます。
使い方を例文でチェック
オルタナティブは形容詞と名詞の両方で使われます。ビジネスシーンや日常生活、環境問題の話題などで、オルタナティブがどのように使われるかを確認しましょう。
オルタナティブの使い方は以下の通りです。
【例文】
・近年はオルタナティブな学び方として、オンライン教育が広がっている
・環境に配慮した生活をするためには、オルタナティブな消費行動が求められる
・複数のオルタナティブの中から、自分に合ったものを選択する
ビジネスシーンで使う「オルタナティブ」
ビジネスシーンでは問題に対する解決策として、オルタナティブを含むワードを使用するシーンが多く見られます。その中で、投資と働き方について用いられる場合について解説します。
代替投資「オルタナティブ投資」
株式や債券のような従来の投資対象以外のものに投資することを、オルタナティブ投資といいます。具体的には、ヘッジファンド・マネージドフューチャーズ・商品ファンド・不動産などが挙げられます。
オルタナティブ投資による投資対象の多様化により、市場が下落しているときでも影響を受けにくい点に期待されています。
代替労働「オルタナティブワーキング」
オルタナティブワーキングとは、これまでの労働とは異なる価値観や方法で就業する働き方です。従来のように定時にオフィスで勤務するのではなく、働く時間や場所を自分で選べる労働方法を指します。
オルターナティブ‐ワーキング
代替労働。新しい就業法。従来の仕事とは異なる価値観と秩序をもち、仕事をする場所も時間も自分で選べる就業法。
出典:小学館 デジタル大辞泉
たとえば、オルタナティブワーキングとして、インターネットを活用して社外で仕事ができるリモートワークを導入すれば、通勤時間が削減でき、ワークライフバランスが向上するという考え方があります。特定の企業に属さず、個人で独立してフリーランスとして働くケースも、オルタナティブワーキングです。
オルタナティブワーキングは労働者だけでなく、企業にとってもメリットがあるといえるでしょう。リモートワークの実現により、広範囲から従業員を採用できるためです。またオフィススペースも最低限の広さで済むため、運営コストの削減にもつながります。
分野別に見る「オルタナティブ」
オルタナティブという言葉はビジネスシーン以外にも、医療・音楽・エネルギー分野などで使われています。それぞれの分野でのオルタナティブの使い方について紹介します。
医療分野の場合
医療分野では、代替医療を意味する「オルタナティブ医療」があります。オルタナティブ医療とは、西洋医学に基づいた代替医療を指し、鍼灸や健康食品など治療方法が多岐にわたる点が特徴です。
似た言葉で「補完医療」がありますが、こちらは西洋医学に基づく治療に加えて補足的に行われる療法を指します。ただし、オルタナティブ医療と補完医療は区別が難しいため、両者を合わせて「補完代替医療」ともいわれています。
だいたい‐いりょう
西洋医学に基づいた医療の代わりに用いられる療法。東洋医学・伝統医学・民間療法など。補完医療と合わせて補完代替医療と呼ばれる。代替医学。
出典:小学館 デジタル大辞泉
音楽業界の場合
音楽業界でのオルタナティブは、多くの場合「オルタナティブロック(alternative rock)」を指します。
オルタナティブロックは1980年代に登場し、従来の商業的なロックの流れに逆らうような、新しいスタイルとして発展しました。定義は明確にされていませんが、パンクロックやハードコアの流れを汲んだ、激しい曲調が多く見られます。
オルタナティブロックの他にも、オルタナティブカントリーやオルタナティブR&Bなど、多様なジャンルが存在します。どのジャンルも伝統的な音楽スタイルにルーツを持ちながらも、革新的なアプローチを取り入れている点が特徴といえるでしょう。
エネルギー関連の場合
エネルギー関連分野では、太陽光エネルギー・風力エネルギー・バイオマスエネルギーなどの代替エネルギーを指す「オルタナティブエネルギー」という言葉があります。「再生可能エネルギー」「新エネルギー」とほとんど同じ意味といえます。
これまでのエネルギーは、石油・天然ガス・石炭などの化石燃料や原子力エネルギーが一般的。近年は環境に配慮し、化石燃料への依存を減少させるために、オルタナティブエネルギーが注目されています。
また、資源を有効活用するためのオルタナティブエネルギーの開発や、リサイクル技術の向上などを「オルタナティブテクノロジー」といいます。
「オルタナティブ」の類義語と対義語
オルタナティブについて理解を深めるために、類義語や言い換え表現、対義語についても紹介します。言い換えたいときや、対する言葉で伝えたいときにも役立つでしょう。
オルタナティブに似た意味を持つ言葉
「代案・代わりの」を意味するオルタナティブには、「主流に代わる新しい何か」というニュアンスが含まれています。
オルタナティブに似た意味の言葉で言い換えるとき、形容詞では「新しい方法」「従来とは異なる方法の」と表現し、名詞では「代替案」「新方式」が挙げられるでしょう。
また、主流となる文化や価値観に反発する、独自の文化という意味の「カウンターカルチャー」「サブカルチャー」も、オルタナティブの類似表現です。
オルタナティブと反対の意味を持つ言葉
「主流でないもの・新しい選択肢」を指す、オルタナティブと反対の意味を持つ形容詞には、長年続いてきた習慣を表す「伝統的な」や、広く普及して普遍的という意味の「一般的な」が挙げられます。
名詞では「伝統的な・一般的な」と同様のニュアンスを持つ「主流」「標準」が、オルタナティブの対照的表現です。
オルタナティブが独自の方法や代替・新しい選択肢を意味しているので、確立されている方法や一般的な手段を指す言葉が反対の意味を持つといえます。
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