リリックとは?言葉の意味や由来を解説
リリックの意味や由来を知れば、音楽や詩の世界をより深く楽しめます。詳しい意味や使い方、例文などを見てみましょう。
「歌詞」を指す言葉
リリックとは、音楽用語で「歌詞」を指す言葉です。
リリック【lyric】
《ギリシャの竪琴 (たてごと) リラに合わせて歌う詩として発達したところから》
[名]
1 叙情詩。⇔エピック。
2 (流行歌の)歌詞。
[形動]叙情的なさま。リリカル。「—な歌詞」
小学館 『デジタル大辞泉』より引用
英語の「lyric」に由来し、元々は古代ギリシャの竪琴「リラ」に合わせて歌われた詩を意味していました。現代では、ポップスやロック、ヒップホップなど、あらゆるジャンルの歌詞を表す言葉として広く使われています。
リリックはメロディーと調和し、聴く人の心に感動や共感を呼び起こす力を持っています。社会への問題提起や、個人の内面を表現する手段として使われることも珍しくありません。
また、リリックは文化や時代を反映する鏡でもあり、1960年代のボブ・ディランの反戦歌から現代のラッパーたちによる社会批評まで、その時代の空気を映し出してきました。
リリックを理解すると、音楽をより楽しめます。歌詞カードを見ながら曲を聴き、新たな発見がないか探してみましょう。
リリックの使い方・例文
リリックの使い方は多岐にわたります。音楽業界では「彼女のリリックは詩的で美しい」など、歌詞の質を評価する際によく使われます。
また、「このアルバムのリリックブックを読んでみよう」といった場合、リリックブックが指しているものは歌詞集です。日常会話でも「あの曲のリリックが心に刺さった」と、歌詞の印象を語る際に使用します。
音楽以外の分野でも「彼の詩的なリリックは多くの人々の心を動かした」のように、詩や文学作品の言葉を形容する際に使われることがあります。
音楽における「リリック」と対極にあるのは?
音楽におけるリリックの対極にあるものとして、「インストゥルメンタル」が挙げられます。インストゥルメンタルは、歌詞のない純粋な楽器演奏のみの音楽です。
たとえば、クラシック音楽の多くはインストゥルメンタルに該当します。ジャズやロックなどのジャンルでも、歌詞のない楽曲が数多く存在します。これらは、言葉ではなく音だけで聴き手の感情を揺さぶります。
リリックとインストゥルメンタル、どちらが優れているというわけではありません。両者には異なる魅力があり、聴く人の気分や状況によってその価値は変化します。
リリックと付く言葉の意味は?
リリックは単体だけでなく、他の意味を持つ言葉と組み合わせて使用されることがあります。音楽シーンでよく使われる「リリックビデオ」や「リリックノート」の意味を見ていきましょう。
リリックビデオ
リリックビデオはミュージックビデオの一種であり、歌詞を視覚的に表現した動画のことです。ミュージックビデオとの違いは、歌詞が主軸になっているかどうかです。
音楽に合わせて歌詞を画面上に表示し、メッセージや世界観を映像で表現することで、曲の魅力を引き出します。聴衆が歌詞を理解しやすくなり、まるで歌の世界に入り込むような感覚を味わえるのが特徴です。
リリックビデオによって歌詞を把握すると、その曲の世界観をより深く楽しめます。近年では、YouTubeなどの動画プラットフォームの普及により、リリックビデオの制作が増加しました。
リリックノート
リリックノートは、主にラッパーと呼ばれるアーティストが韻を書き留めるためのノートで、創作過程には欠かせないツールとなっています。
ときにはメロディーのアイデアやコード進行なども同時に記録することがあります。まるで料理人のレシピノートのように、アーティストの創造性を支える大切なものなのです。
最近では、デジタル版のリリックノートアプリも登場し、スマートフォンやタブレットで手軽にメモできるようになりました。 これらのアプリには、韻を踏む機能や、共同編集機能など、便利な機能が搭載されています。
リリックノートは、自分だけのラップや歌を作りたい人、好きな曲の歌詞を書き留めたい人などにもおすすめのツールです。
リリックに関連する言葉もチェック
リリックと併せて覚えておきたい言葉が、「ライム」や「ポエム」などです。これらの意味や使い方が分かると、リリックを語る際により適切な表現をしやすくなります。それぞれの意味を見ていきましょう。
ライム
ライムは、リリックの重要な要素の一つです。言葉の語尾や母音などを合わせて韻を踏む技法で、特にラップやヒップホップで多用されます。
例えば、「方向」と「咆哮」、「墓場」と「宝」のように、音の響きが似ている言葉を組み合わせることで、テンポの良さを生み出します。
ライムを使用するメリットは、リリックの音楽性と記憶への残りやすさを高められることです。使い方は言語や文化によって異なりますが、日本の短歌や俳句でも、メッセージを効果的に伝える技法の一つとして使用されます。
ポエム
ポエムは、リリックの親戚のような存在です。両者とも言葉を通じて感情や思想を表現しますが、ポエムはより自由な形式を持ちます。
リリックが音楽に合わせて作られるのに対し、ポエムは必ずしも音楽を必要としません。ポエムの魅力は、その多様性にあります。短い俳句から長大な叙事詩まで、形式はさまざまです。
言葉の選び方や配置によって、読み手の心に直接訴えかけます。たとえば、谷川俊太郎の「生きる」という詩は、シンプルな言葉で人生の本質を鋭く捉えています。
ポエムは、日常生活にも活用可能です。大切な人への手紙や自分の気持ちを整理するための日記など、言葉で心を表現する際に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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