週末婚の意味や定義
結婚スタイルも生活の形も、夫婦の数だけバリエーションがある! 働く女性の選択肢のひとつとしてメリットの多い「週末婚」は、お互いに自由な生活を望むカップルの間で支持率の高いスタイル。これから考える人に向けて、知っておきたいポイントを紹介します。
週末のみ同居する夫婦のこと
「結婚したら夫婦同居」は一般的なことで、週7日同じ家で暮らすのが普通のパターン。一方で「週末婚」は「週末の1〜2日だけ」一緒に生活するというもの。恋人時代だったら、週末だけ一緒にいるのはよくあるパターンですが、入籍した後でも、その生活スタイルが続く状態をさします。
もともとは、子どもをもつ人が再婚をするときに、新しい生活に慣れるために始まったスタイルなのだとか。転勤や単身赴任にともなう週末婚も徐々に広がり、さらに夫婦の形の多様化、働き方改革などで、週末婚経験者も増えてきました。
週末婚が広がったきっかけはドラマ?
週末婚に限らず、イレギュラーな結婚スタイルがドラマに端を発して広がることは多くあります。2016年『逃げるは恥だが役に立つ』で一気に知られた「契約婚」「いきなり婚」、『ブスの瞳に恋してる』(2006年、2019年)で話題になった「0日婚」など…。
こうしたドラマの歴史で見ると、「週末婚」という言葉が生まれたのは古く、1999年に放送された、ずばり『週末婚』というタイトルの番組でした。当時のリストラ問題も絡み合い、現実世界にありそうな描写が満載。週末婚を提案するのが女性側というのも、新しい流れを感じさせました。
週末婚が向いている夫婦とは
前述のドラマ『週末婚』では、通常の同居婚をしているのがキャリア女性で、週末婚を選んだのが普通のOLだったところがミソ。週末婚は、経済的に恵まれているとか、格別自立心が強い女性ばかりが望むわけではないのです。では、週末婚が合うのは、どんな夫婦なのでしょうか?
自由な暮らしを望んでいる
結婚によるつながりは欲しいけれど、ひとりの時間が欲しい。「ひとり時間」の中身はさまざまだとしても、週末婚のよさはここに集約されるようです。
「平日はSNSでつながっている恋人同士、週末は夫婦。カップルとしてのいいとこどりをした、時間の使い方をしてます」(代理店/女性)
という体験者の声も。
さらにそのほかのメリットは以下の章で見ていくとして、週末婚を「してみたい」と考える人の割合は女性のほうが男性よりも多いのが特徴。「週末婚をしてみたい」男性は10.3%に対して、女性は23.4%(婚活支援サービス パートナーエージェント調べ)。生活スタイルの柔軟性が大きいのは、女性のほうなのかもしれません。
週末婚のメリット
では、新たなライフスタイルを選択するときには、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。体験者の声も交え、検証してみましょう。
キャリアを優先できる
「夫が地方転勤になったのを機に週末婚を始めました。私はそれまでの職場と住まいを継続しています」(税理士/女性)
「勤務時間が夫婦で異なるので、平日は別居のほうが自分の仕事リズムがくずれない」(音楽関係/男性)
夫婦それぞれの仕事時間、食事タイミングや睡眠時間などが異なると、肝心の仕事パフォーマンスにも影響が出てくる…。そして、それに気づくのは結婚して同居を始めてからだったりするもの。そうしたことにわずらわされず、自分の仕事やキャリア構築に集中したい人には、週末婚はメリットが多いといえそうです。
2人の関係に新鮮さが続く
「平日はLINEやFacetimeで会話。週末は会ってそれぞれ本を読んだり、たわいもない会話をしたり。それでも会うと新鮮です」(代理店/女性)
というように、相手と過ごす時間の価値を再確認する人も多いのが週末婚。
「子どもができるまで、という条件つきで始めてみました。週末に会う時間は恋人でいられます」(接客業/女性)。
とかく結婚後は「恋人より家族になる」といわれる夫婦関係ですが、新鮮な関係の継続のひとつの方法として、週末婚は有効な手段といえます。
それぞれの生活スタイルを維持できる
独身時代やひとり暮らし歴が長かった人ほど、結婚後に「相手のスタイルに合わせる」ことを負担に感じてしまうもの。とくに、帰る時間や夕食の時間、寝る時間が異なる夫婦では、そうしたことをきっかけに不満が生じやすくなります。さらに、働き方改革や人生100年時代の流れを考えれば、夫婦がずっと同じ生活スタイルをキープするとも限りません。
「夫は東京で会社を経営。私は平日の半分を地方の実家で親の介護。週末に東京の家で“夫婦再会”するのが、楽しみです」(パートタイム/女性)。
生き方も仕事のしかたも、多様化が当たり前の今。長い人生のそのときどきで、夫・妻それぞれに最適な生活スタイルをキープするという上でも、週末婚は選択肢のひとつなのです。
週末婚の注意点
生活上・メンタル上ではメリットが多そうな週末婚ですが、実践する上では気をつけなければならないことも。これから考えている人、すでに実践中の人も、専門家のアドバイスを参考に後悔のない週末婚を。
生活費など経済的な負担が大きい
「ふたりで同居するよりも、支出は確実に増えます。どちらかに頼るのではなく、夫と妻それぞれの家計が独立していることが、実施の前提になります」
と話すのは、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。さらに、お互い離れているぶん「夫が浪費しないかのチェックも大事」だと言います。始めてわかる週末ごとの交通費(離れていればなおさら)、それぞれでかかる光熱費や食費を考え、「ひとりあたり」「夫婦で」どれくらいかかるかを試算してみることは、重要だといえます。
参考:『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(井戸美枝・著)