【目次】
・嫉妬の正体とは
・嫉妬の発作を抑えるコツ
私たちは、日々、嫉妬したり、嫉妬されることにより、苦しかったり、不愉快な気分になったりするもの。一体嫉妬の正体とは何なのでしょう。心理カウンセラーの大嶋信頼先生に、嫉妬について解説していただきました。
心理カウンセラーが教える〝嫉妬の正体〟とは
Q.嫉妬の正体を教えてください
心理カウンセラー大嶋信頼先生(以下大嶋先生):他人が自分よりもよい境遇で羨ましい、自分の好きな人が、ほかの人に気持ちがむくのを恨み、憎むことを嫉妬といいます。
嫉妬の感情はあまりにも醜くて、なかなか直視できないものです。しかし、人間が嫉妬してしまうのは、トイレに行きたくなるのと同じくらい、当たり前のこと。なぜなら、嫉妬は、動物的な〝発作〟。だから、コントロールがなかなか難しいのです。
Q.どういうとき嫉妬が起こるのですか?
大嶋先生:嫉妬するには、実は条件があります。それは、相手が自分より格下ということです。格下と思っている相手が、自分よりも優れたものをもっていると思うから、嫉妬が起こるのです。
普通の人は、優劣の錯覚という、自分は優れていると感じる機能が脳についているため、どこにいても〝自分は平均よりも上〟と思っています。特に、日本は、世界的にみても、中間層が多く、教育の場でも平等と教えられているので、〝自分は普通よりも上〟と思いがち。これがあるせいで嫉妬の発作を起こしやすくなっています。
逆にいうと、とびぬけて優れている人に対しては、嫉妬の発作はおきません。例えば、メジャーリーグで活躍したイチロー選手に嫉妬する人がほとんどいないのはこのためです。
Q.嫉妬によってどんなデメリットが起きますか?
大嶋先生:端的にいうと、嫉妬が起きると、一瞬にして〝破壊的な人〟になってしまいます。
「あの人、全然たいしたことないのに!」
「あの人、女の武器を使ってうまくやったんじゃないの?」
「あの人だけ、ずるい!」
「妻である私を出し抜いて、小娘がうちの旦那に手をだしやがって!」
などと、本人さえも自覚していなかった、醜い気持ちがわいてきて、その感情をおさえることができなくなります。それほど嫉妬は、一瞬にして、人を変貌させる力をもっているのです。
Q.嫉妬を抑えられないと、どうなってしまいますか?
大嶋先生:例えば、夫に浮気をされて、その浮気相手が、年下で自分よりも格下と思われる女性だったとします。そうなると、もう大変。ただでさえ自分は妻で、立場も上。そして連れ添った時間が長く、夫を献身的に支えてきた。となると、嫉妬の化身となるのは当然のこと。
しかし、だからといって、絶対許さないとばかりに、浮気相手に攻撃したり、暴走するとろくなことは起きません。そんな妻をみた夫は、ますます妻に愛情がさめて、浮気相手のもとに逃げたくなってしまうでしょう。
心理カウンセラーが教える〝嫉妬の発作を抑えるコツ〟
Q.嫉妬が起きたとき、抑える方法を教えてください
大嶋先生:実は、簡単で、〝今、嫉妬の発作が起きている〟と自覚することです。本当は嫉妬している自分を認めたくないものですが、そこを、ちゃんと認めてあげる。そして、そんな自分を責めないことが重要です。
嫉妬しているときは、脳の中に過剰な電流が流れている状態なのです。だから〝発作〟と名付けているのですが、嫉妬は人間ならだれでも起こる当たり前のこと。誰かに対して〝批判的、否定的、そして怒りが止まらない〟という状態になっていたら、〝これが嫉妬の発作なのかもしれない〟と思うようにすることが、発作を止めるステップになります。
また嫉妬が起きているときは、能面のような顔になっていることも。そんなときも、あ、私、今、嫉妬の発作を起こしてるのかもと考えると、おさまりやすくなります。
一番いけないのは、嫉妬してる自分も許せない、と自分を責めてしまうこと。そうなると、ますます嫉妬の沼から抜け出せなくなり、こんな私にしたのも、あいつのせいだ、などと、より相手への嫉妬の気持ちが止まらなくなります。嫉妬するのは、人として当たり前と、嫉妬を自覚して、何もしないことが、最適な対処法です。
嫉妬が起こるのは、人間として当たり前ということ、そして、それは一時的な発作だからちょっとしたコツで対処できるとわかりました。嫉妬と上手に折り合うことができると、生きやすくなれそうですね。
他人の成功に顔がひきつる、パートナーの交友関係にイライラ、「どうせ私は…」と自分を責めがちな方に。ちょっとした刺激で現れる〝醜い感情〟にもう苦しまないテクニックが満載。
心理カウンセラー
大嶋信頼
心理カウンセラー/株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役/米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。
著書にシリーズ累計30万部突破の『消したくても消せない嫉妬・劣等感を一瞬で消す方法』『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』『「すぐ不安になってしまう」が一瞬で消える方法』 (以上、すばる舎)、『無意識さん、催眠を教えて』(光文社)、『憂うつデトックス』(ワニブックス)、『催眠ガール』(清流出版)など多数。
イラスト・写真/Shutterstock.com 取材・文/宮原まりこ