夫側の親族から浴びせられた壮絶ないびりの数々
Kさんは、30代半ばで8歳年上の夫と結婚。夫は地元で2代目経営者として事業をしていて、親戚ぐるみで働いていたために、義母や夫の姉夫婦も近居という環境で結婚生活がスタートしました。
「結婚が決まるまでは、夫の親にも義姉にも会ったことはなく、結婚が決まってからも1度挨拶で顔を合わせたのみ。だから、親族ぐるみで事業をしているわりには、ドライな一族なのかなって安心していたんです」
ところが、結婚式を終えた直後から夫側の親族の態度が急変。結婚後も自分の仕事を続けていたKさんに対して、義母と義姉が一斉に文句を言い出すところから、“嫁いびり”が始まります。
「私は昔からの夢だったネイリストとして独立していましたが『くだらない仕事は早く辞めろ』とか『他人の指を綺麗にするなんてみっともない仕事を、これ以上続けるな』とか、仕事そのものをバカにした発言を毎日のように電話やLINEで送られました。それだけでなく、そのうちに私の“妻としての姿勢”がなっていないと怒り出すようになり、義母と義姉で結託して『育ちの悪い嫁』『息子(弟)がかわいそう』などと言い出し、私を追い詰めるように…。一挙手一投足に文句を言い出し、私のメンタルはどんどん疲弊していきました」
毎日仕事で忙しくしている夫には、義母や義姉からのいじめをなかなか打ち明けられなかったというKさん。しかし、黙っていてはエスカレートするだけだと覚悟を決め、夫にこれまでの出来事を打ち明けます。ところが…!
頼りの夫までもが洗脳されてしまい…
「頼みの綱だった夫からは同情してもらえるどころか、怒鳴り飛ばされてしまいました。夫いわく『いつか君から、母親や姉の話が出ると思っていた。母親や姉から、君が僕の見ていないところでどれだけひどい妻なのかをずっと聞いていた。君の話は自分に都合よく脚色していて、母親や姉から聞いている話と全く違う。どちらが悪いかは明白だ』とのこと。つまり、義母や義姉は、私がいつか夫に相談するのを見越して、すでに手を打っていたのです…」
誤解を解こうと試みるも、夫はすっかり洗脳されてしまっていて、まったく話にならなかったそう。ときすでに遅しで、Kさんは完全に孤立してしまいます。
「いつか夫だけはわかってくれるはず、と期待していましたがダメでした。義母と義姉は生理的に私のことが嫌いらしく、とにかく離婚させたかったみたい。私は和解をしたかったのですが、最終的に夫は義母と義姉に私と離婚するよう説得され、向こうから離婚を切り出されてしまいました」
離婚をしたくなったKさんは、夫に何度も話し合いを求めたものの、夫の離婚の意思は固かったそう。結局、Kさんに対してまとまった“生活支援金”を支払うから、とにかく別れてくれと夫から懇願され、Kさんは渋々ながらも離婚届にサインをしたそうです。
「本当は離婚したくなかったですし、義母と義姉がいなければ、夫とは平穏な結婚生活を続けられていた自信もあります。だけど、夫と一緒に事業をしている親族から目の敵にされ続けたら、やっぱり勝つ術はありませんでした。どうやら、義母も義姉も最初から私との結婚は反対していたそうで、結婚した瞬間から“招かれざる嫁”だったようです」
交際中には当人同士だけで完結できても、結婚となると相手の親族が深く関わってくることによって、関係性が壊れてしまうことも。いわゆる「毒姑」だけでなく「毒小姑」までが加わってしまえば、妻が孤軍奮闘しても最終的には押しつぶされてしまうのも現実でしょう。ドラマや映画であれば、救世主が現れたり妻に有利になるような出来事が起きたりしますが、そうはならないのが現実なのです。
取材・文/並木まき
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