子どもにも「ショートスリーパー」は存在します
寝る時間が遅い割には、朝もそこそこ起きられる。日中も昼寝することなく、元気に遊んでいる子ども。とはいえ短時間睡眠では成長面も心配になるし、正直大人時間も欲しいから、早く寝てもらいたいのが親の本心ではないでしょうか。スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんに、「子どものショートスリーパー」についてお話を伺いました。
そもそも「ショートスリーパー」の定義とは?
「アメリカ国立睡眠財団によると、6〜13歳の望ましい睡眠時間は9〜11時間とされています。なので、【ショートスリーパー】と考えるには、まず9時間以下の睡眠を繰り返していること。そこに加え、短時間睡眠でも〝生活に支障なく、機嫌良く過ごせている〟ことが条件となります。なので、朝起きられなかったり、日中眠くなる、週末に寝溜めをしてしまうような状態は【ショートスリーパー】とは言えません」
睡眠時間が少ないと、将来〝肥満〟になる!?
「皆さんすでにご存知かもしれませんが、子どもの睡眠の役割を今一度おさらいします。
<1>心身の成長を促す
<2>心身の疲れをとる・コンディションを整える
<3>記憶を整理する
主にこの3つの役割を担っています。睡眠時間が足りないと、成長の遅れ、集中力の低下、イライラする、落ち着きがない、キレやすい、疲れやすい、がんばれない、などに加えて、将来、肥満や高血圧などの生活習慣病を発症するリスクが高くなると言われます。中には、ADHD(注意欠陥多動性障害)の疑いがもたれた子どもが、睡眠習慣を改善したところADHDではなかったことが判明するケースも。そのくらい、睡眠不足は心身への不調をきたすということですよね」
夜型な子どもをどう改善していく?
「ショートスリーパーの子どもは存在しますが、その数は決して多くはなく、大抵は【夜型】に傾いているといった状態ではないでしょうか。人間は元々、昼間活動し夜休む、という生活をしてきました。しかし、ここ100年くらいで夜に灯がある生活が当たり前になりました。便利にはなりましたが、その分夜更かしができるようにも。また、日本やアメリカの論文では、【親の生活習慣が子どもに影響する】とも言われています。つまり、親が夜型の生活をすることで、子どもも夜型になってしまうのです。改善方法としては【親が早く寝る生活をする】というのがファーストステップになります。
一方、睡眠時間が少なくても元気いっぱいのショートスリーパーですが、こちらは親の生活を変える必要はありませんが、夜のデジタル機器の取り扱いに注意しましょう。夜遅くまでYouTubeやゲームをやるのは自律神経が乱れます。できれば、成長ホルモンの分泌がピークを迎える22時以降は、寝る方向にシフトするといいかと思います。
ショートスリーパーは疲れ知らずかもしれませんが、骨や筋肉を形成するのに必要な成長ホルモンは睡眠によって得られます。寝る時間は早めに設定できるといいですね」
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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Twitter: @hakoniwasalon