【目次】
バルセロナ五輪の優勝チームの礼節
デューク大学バスケットボールチームのヘッドコーチ、マイク・シャシェフスキーはかつて、1992年バルセロナオリンピックで金メダルを獲得した「ドリームチーム」のアシスタントコーチを務めたが、そのときにこんな体験をしたという。ドリームチームにはスーパースターが多数、参加していたが、なんといっても最高のプレーヤーは、マイケル・ジョーダンだった。
マイケル・ジョーダンは、青をシンボルカラーとするノースカロライナ大学チャペルヒル校の出身である。デューク大学のライバルだ。そういう理由もあり、シャシェフスキーは、ジョーダンが自分に対してどういう態度を取ってくるか興味を持っていた。
コーチである自分にはたして敬意をもって接してくるのか、そうでないのか。シャシェフスキーは自分もある程度の名声を勝ち得ているとは思っていたが、スーパースターであり、生ける伝説でもあるマイケル・ジョーダンとは比較にならないこともよく知っていた。
最初の練習が終了したあと、ジョーダンは、ソフトドリンクを飲んでいたシャシェフスキーに歩み寄ってきた。自分がデューク大学の関係者であることについて何か言うつもりなのでは、とシャシェフスキーは思った。ところがジョーダンの言葉は意外なものだったので驚いた。
「コーチ、30分ほど、単独での動きを練習したいと思っているんですけど、付き合っていただけますか?」