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2022.12.11

【コンプライアンス】ってどういう意味?わかりやすく解説

コンプライアンスとは、法令や社会通念など「守るべき」とされているものを守ることを意味する言葉です。この記事ではそれらを守ることでどのようなメリットが得られるのか、また守らないとどのようなことに繋がるのかを解説します。業務や業界ごとのコンプライアンスについても紹介するので、ぜひご覧ください。

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コンプライアンスとは守るべきものを守ること

コンプライアンスとは、守るべきものを守ることを意味する言葉です。法令遵守の意味で用いられることがありますが、実際のところは法令だけでなく、道徳や倫理といった「人間が生きていく上で守るべきとされているものすべて」を守ることを指します。

コンプライアンスのアルファベットを配置したイラスト

例えば、交差点で見知らぬ人が倒れたとしましょう。そのまま通り過ぎたとしても、何かの法律に違反しているわけではないため、罰せられることはありません。

しかし、人間としての基本的な道徳観は欠如している行為といえます。大丈夫ですかと声をかけ、救急車を呼ぶなり、何かのアクションを起こすことは当然のことといえるでしょう。

このように人間として生きていく上で当然のことを守ることをコンプライアンスといい、コンプライアンスを守っていることを「コンプライアンス遵守」と呼びます。つまり、コンプライアンスとは、法令遵守よりもさらに広い範囲を含む言葉です。

■コーポレートガバナンスとの違い

コーポレートガバナンスとは、企業経営を監視すること、もしくはその仕組みを指す言葉です。例えば社外取締役を置いて会社の透明性を向上させることや、社内ルールを取り決めて、経営者の一存で運営方針を決めるのではなくルールに則った方法で運営していることは、コーポレートガバナンスが保たれた状態といえるでしょう。

つまり、コーポレートガバナンスがあることで会社がより健全なものとなります。コンプライアンスは従業員や経営陣全体が健全な存在になるために不可欠ですが、コーポレートガバナンスは会社自体が健全になるために不可欠なものなのです。

コンプライアンスを守る意味

コンプライアンスを守る意味は、人として当然の行いだからです。多くの人々が暮らす世の中において、人間としての倫理観や道徳観に欠如した行為を行うと、他者に迷惑をかけたり不快な思いをさせたりすることにもなりかねません。

チェック項目を確認し合う人たちのイラスト

また、コンプライアンスを守ることは、企業に所属する社会人としても大切なことです。従業員や経営陣がコンプライアンスを守らないと、所属する企業にダメージを与えることもあります。

■コンプライアンス違反は社会的信用の失墜を招く

企業がコンプライアンスを守らないと、社会的信用を失うことになりかねません。

例えば利益を過少に見せかける行為を何年も行っていたとしましょう。国税庁の調査から粉飾決算をしていた場合、税金を正しく支払うだけでなく、追徴課税などのペナルティも支払うことになるため、経済的なダメージを受けることになります。

しかし、ダメージはそれだけではありません。粉飾決算をしていた企業ということで「信用できない企業だ」というイメージが生まれることになるでしょう。

■コンプライアンス違反が倒産につながることも

社会的信用を失うことで、顧客や取引先が離れていく可能性もあります。

例えば「無農薬野菜だけを使ったジュース」を製造していた飲料メーカーが、実際は無農薬以外の野菜も使ってジュースをつくっていたということが農家側の告発などにより判明したとしましょう。

消費者からの信用を失うだけでなく、「このメーカーは信用できない」と消費者離れを引き起こし、売上が激減して倒産に追い込まれるかもしれません。コンプライアンス違反は、会社の命運を左右するともいえるのです。

■コンプライアンス違反が起こる理由

コンプライアンス違反が起こる理由としては、社員一人ひとり、経営者一人ひとりがコンプライアンスに対する意識が低いということを挙げられます。また、コンプライアンス違反が起こっても、それを指摘し、修正する仕組みがない企業も、コンプライアンス違反が起こりやすいといえるでしょう。

経営陣が間違いを隠蔽する体質の企業も、コンプライアンス違反が起こりやすいと考えられます。社員が間違いを指摘しようとしても、「隠せ」と上司から隠蔽を命じられるケースもあるでしょう。

業務別!コンプライアンスをわかりやすく解説

さまざまな場面でコンプライアンスが求められています。コンプライアンスを守ることで企業は健全性を保つことができ、また、社会的信用や顧客、取引先などの大切なものを守ることにもつながるでしょう。

コンプライアンスのチェック項目に携わる様々な人たちのイラスト

業務ごとにどのようなコンプライアンスが求められているか解説します。ぜひご自身の業務を振り返り、コンプライアンスに沿って行動しているかチェックしてみてください。

■会計におけるコンプライアンス

会計面では正確に申告することがすなわちコンプライアンス遵守につながります。しかし、コンプライアンス違反が行われ、国税庁の調査などで明るみに出ては、紙面をにぎわせることが少なくありません。

利益を過少に申告する粉飾決算や、取引先への不払い、売上を水増しして申告して金融機関から融資を受け取るなど、さまざまな会計面のコンプライアンス違反が行われることがあります。

いずれも「税金を減らしたい」「利益を増やしたい」「補助金を受け取りたい」などの欲求から生まれた行為ですが、違法な方法で実施したことに問題があるといえるでしょう。

■情報管理におけるコンプライアンス

情報管理においても、コンプライアンスが求められています。顧客の個人情報や取引先との機密情報はもちろんのこと、従業員の個人情報なども念には念を入れて慎重に扱わなくてはいけません。

情報管理についての意識が低いと、会社の情報をフリーWi-Fiなどでやり取りして漏洩させてしまうことにも繋がります。普段から情報管理を厳しく徹底し、適切に扱う重要性をすべての社員が意識する必要があるでしょう。

■労働環境におけるコンプライアンス

労働環境についてもコンプライアンスは求められています。長時間にわたる残業や残業代の不払い、パワハラやセクハラが横行する職場などは、いずれもコンプライアンス違反です。

特にハラスメント行為に関しては、かつての価値観と現在の価値観は大きく異なります。すべての従業員と経営陣が何がハラスメント行為になるのか正しく理解し、コンプライアンス違反を犯さないように意識する必要があるでしょう。

■投資におけるコンプライアンス

投資においてもコンプライアンスがあります。例のひとつとして「インサイダー取引」が挙げられるでしょう。インサイダー取引とは、会社の株価に重大な影響を与える事実を知り、その事実が公表される前に取引を行うことを指します。

例えば会社が大規模な合併を行い、業界内でも最大手になることが分かったとしましょう。まだ公表されていないのに合併先の株式を購入し、株価上昇に備える行為はインサイダー取引に該当し、コンプライアンス違反とみなされます。

業界別!コンプライアンスをわかりやすく解説

業界によっては求められるコンプライアンスが異なることがあります。また、一般のユーザーなどの業界外から、特定の行為をするように求められることも少なくありません。

チェックリストにチェックを入れる様子のイラスト

どのような行為がコンプライアンス遵守になるのか、また、しばしば起こるコンプライアンス違反にはどのような行為があるのか、次の4つの業界について見ていきましょう。

・製造業
・医療・看護
・地域社会
・国際社会

■製造業におけるコンプライアンス

製造業においては、製造する商品の信頼性に関わるコンプライアンスが求められます。特に問題視されるのは産地偽装や性能偽装などの偽装行為です。

例えば「国産」といいつつ海外産であったり、「10万回の耐性テスト済み」と謳いつつ1,000回しか耐性テストを実施していなかったりといったコンプライアンス違反が行われることがあります。

■医療・看護におけるコンプライアンス

医療や看護の業界においても、厳しいコンプライアンスが求められます。例えば患者のプライバシーに配慮することや漏洩しないこと、患者からインフォームドコンセントを得た上で治療方針を決めることなどは、医療・看護において不可欠なコンプライアンスです。

しかし、他の患者もいる待合室で「〇〇さん、高血圧のお薬まだありますか?」と大声でいう医者や、「同級生の〇〇さん、この前、心臓外科で見かけましたよ」と気軽に話しかける看護師なども少なくありません。当然ながら、いずれもコンプライアンス違反の行為です。

■地域社会におけるコンプライアンス

企業や個人は、地域社会の一員としての自覚を持ち、コンプライアンス遵守に努めていかなくてはいけません。例えば汚染水処理をせずにそのまま河川に流したり、夜間に騒音を立てたりする行為は、コンプライアンス違反です。

すべての企業・個人は地域社会に対して強い責任を感じ、すべての地域住民が健康で快適に暮らせるように配慮した行為を行わなくてはいけません。

■国際社会におけるコンプライアンス

国際社会においても、高いコンプライアンス意識を持った行動が求められています。例えば他の国の内政に干渉したり、産業スパイを送り込んだりする行為は、コンプライアンス違反です。

国家としての信用を失うだけでなく、国民に対しても迷惑を掛けることになります。高い倫理観を持ち、国際社会の一員として誠実な行動を心掛けましょう。

一人ひとりがコンプライアンスを意識しよう

ルールの確認をする男性とチェックリストのイラスト

コンプライアンスはすべての人が持つべき行動基準ともいえます。会社においても同様です。従業員だけでなく経営陣も、高い倫理観と道徳観を持ち、コンプライアンスを意識した言動をしていかなくてはいけません。

また、コンプライアンスは時代と共に変化するので、その時代に合った倫理観や道徳観を積極的に身につけることも大切です。定期的にコンプライアンス研修を受けるなど、正しい価値観を身につける努力を行いましょう。

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