「誠に感謝申し上げます」の意味
まずは、「誠に感謝申し上げます」の意味を確認しましょう。
意味
言葉を分解して意味を確認していきます。
「誠に」
副詞。間違いなくその状態であることを強調する語。本当に。真実に。げに。じつに。しんに。
次に「感謝」をチェックします。
「感謝」
ありがたいと感じて礼を述べること。また、ありがたいと感ずる気持。
最後に「申し上げます」を調べます。
「申し上げる」
他動詞。(「言う」の謙譲語)目上の人に向かって、うやうやしくいう。言上(ごんじょう)する。上申する。元来は、公的に身分格差が大きい場合などに用いられた。現在では「申す」が、「言う」などの丁重な表現に多用されるようになったため、言う対象を敬う気持を強く表わすのに用いられる。
(以上引用すべて、小学館『日本国語大辞典』より)
細かく分解してそれぞれの意味を確認しました。分解したことで、「誠に感謝申し上げます」におかしな点が見つかりました。「誠に」は「副詞」に分類されます。副詞は動詞・形容詞のような「用言」を修飾する言葉です。
「副詞」
文の成分として用言を修飾する語。「ますます寒くなった」の「ますます」の類。自立語で活用がない「用言」
自立語で活用のあるもの。動詞・形容詞。形容動詞を含める説も。
(『角川類語新辞典』より)
以上のことから「誠に」が、名詞である「感謝」を修飾するのは文法として誤りだと分かりました。「申し上げる」という動詞を修飾しているとも考えれますが、違和感を覚える人もいるため「誠に感謝申し上げます」は使用しない方が無難でしょう。
ビジネス等で使う時の注意点
上記で述べたように「誠に感謝申し上げます」に違和感がある人もいるので、「感謝申し上げます」をビジネスで使う際の注意点について、一緒に見ていきましょう。
「申し上げます」の意味の中に、「目上の人に向かって言う」という文言がありました。このことから、使用対象は上司や目上、取引先の方と限定した方が良さそうです。もしも、同僚や部下に「感謝申し上げます」という言葉を日常的に使用したら、少し丁寧すぎる人という印象を与えるかもしれませんね。
お世話になった上司や目上、取引先の方に感謝を述べる際に「感謝申し上げます」を使用することは、間違いではありません。会話の中で使用する時には、続けて「ありがとうございます」と何も考えず言ってしまうこともありえます。しかし「感謝申し上げます」自体がすでに最大限のお礼を表現しているので、続けて「ありがとうございます」と使用するのは、しつこい印象を与えかねません。二重表現になりますので、このような使い方は避けた方がいいでしょう。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
「感謝申し上げます」の類語や言い換え表現を紹介します。
「深謝申し上げます」
「深謝(しんしゃ)」
1. 心から感謝すること。2心からわびること。(小学館『デジタル大辞泉』より)
「深謝」が「感謝」と同じ位置に使われていますが、文字通りより深い「感謝」を表しています。「感謝」だけでは足りない気持ちのときに、この表現を使うと良いかもしれません。ただし、少し仰々しいので使う相手には注意が必要です。
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「心から感謝申し上げます」
「心から」
副詞。こころから。心の底から。心底(しんてい)から。(小学館『デジタル大辞泉』より)
「心から」と「感謝」で上記の「深謝」と同じ意味になります。。