ビジネスにおけるコンセンサスの意味
コンセンサスの意味は、ビジネスや株・FXなどの経済関連の話、医療現場など、使われているシーンに応じて変わります。ビジネスの場面では、以下のふたつの意味でよく使われています。
1.複数人の合意・意見の一致
2.根回し
ビジネスシーンにおけるコンセンサスの使い方を詳しく説明します。
1.複数人の合意・意見の一致
ビジネスでよく使われるひとつ目の意味は、「複数人の合意や意見の一致」です。これは、全員の意見が一致している場合と複数人で一致した場合の両方で使われています。しかし、会議などでコンセンサスという言葉を使う場合には全会一致での合意を指すため注意が必要です。
会議には、「コンセンサス方式」と呼ばれるやり方があります。この方式で決議をおこなう会議では、参加者全員の合意が必要です。国際関係の会議ではよく用いられる会議の方式で、WTO(世界貿易機関)でも採用されています。
2.根回し
ビジネスでよく使われるふたつ目の意味は、「根回し」です。先述したコンセンサス方式の会議では、ひとりでも反対した場合、会議で案は採用されません。しかし、何の情報交換もないまま議決を取っても、誰ひとりとして反対意見がない全会一致の状態にすることは難しいでしょう。そのためこの方式の会議では、事前に意見交換して着地点を見つけておくことが一般的です。
このようなことから、参加者全員の意見の一致を目指して事前に根回しをすることも、コンセンサスの意味として使われています。
〈コンセンサスの使い方と例文〉
ビジネスの場面で使うコンセンサスの意味は2通りあるため、使い方や意味の捉え方には注意が必要です。以下に例文をあげるので、チェックしていきましょう。
【例文】
・「事前にA社からコンセンサスを取っておくように」
「相手側の合意が必要なので同意を取っておいて」という意味で使われます。コンセンサスは基本的に合意を取る相手が複数人の場合に使われることが多く、会社や部署単位で使います。もしも合意を得る相手がひとりであれば「アグリーメント」が使われることもあるので、覚えておきましょう。
【例文】
・「あの件について、Bチームからコンセンサスを得ました」
提案した内容について、事前の合意が得られたという意味です。
【例文】
・「会議前に、○○課のコンセンサスを得ておいて」
こちらは会議で全員に向けて説明する前に、個別で相談してうまくことが運ぶようにという意味で使われます。根回しをするという意味合いです。
【例文】
・「次回の会議はコンセンサス方式で実施します」
次の会議は全員の合意を得られた場合のみ案が採択されるという意味です。
そのほかのシーン別コンセンサスの意味とは
コンセンサスは、いわゆるビジネスシーン以外でも以下のような使い方がされています。
・株やFXなどで多くの人が目安にする、経済に関連した「証券アナリストの共通認識」
・医療や看護のシーンにおけるコンセンサス
それぞれの意味について、詳しくチェックしていきましょう。
■株やFXなど経済関連の「証券アナリストの共通認識」
企業などのビジネスシーン以外で使われるひとつ目のコンセンサスの意味は、株やFXなど経済に関連する「証券アナリストの共通認識」です。証券アナリストとは、企業分析のプロのことを指します。
彼らが企業の業績予想をした結果の平均を出したものを証券アナリストの共通の認識=コンセンサスと言い、プロの投資家も参考にする指標です。株価とコンセンサスを対比させる「コンセンサスグラフ」は、トレンドの見極めに役立つものです。
■医療や看護におけるコンセンサス
企業などのビジネス以外でコンセンサスが使われているふたつ目のシーンは、医療や看護の場です。医療や看護のシーンで使われているコンセンサスの意味は、医療従事者共通の認識です。たとえばある病気に関連する症例や基本的な治療方法など、医療従事者達の中で共通している認識をコンセンサスと呼びます。
「医学的コンセンサス」は、最先端の科学的知識と根拠に基づいて専門家が議論し、その時点における総意を発表したものです。これは、診療のガイドラインとは違ったものとして捉えられています。
また、治療方針についての合意としてコンセンサスが使われることもあります。治療方針は、医師ひとりだけで決められるものではありません。看護師などのほかのスタッフへの相談はもちろんのこと、患者やその家族に対しても治療方針を説明して本人たちの希望を確認し、合意を得る必要があります。
コンセンサスの意味を知り正しく使おう
今回は、コンセンサスについて詳しく解説しました。この言葉はビジネスや経済関連、医療など、さまざまなシーンで違った意味で使われているものです。また、同じようなシーンであっても異なる意味で使われるケースもあります。
シーンごとのコンセンサスの意味を理解して、正しく使えるようにしましょう。
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