子どもの感受性はとても豊か
子どもは、毎日の生活の中でたくさんの刺激を感じ、感受性を育てています。子どもの感受性を豊かにするために、周りの大人にできることはどのようなことでしょうか。まずは、感受性の意味を整理してみましょう。
そもそも「感受性」とはどんな意味?
感受性とは、周りの刺激や印象を感じ取る能力のことをいいます。一般的に、刺激や印象を感じ取りやすい性質を「強い・豊か・高い」、感じ取りにくい性質を「弱い・乏しい・低い」などと表現することが多いでしょう。
表情の変化で瞬時に気持ちを察する、テレビ番組や音楽に感情移入しやすい・涙しやすい人は感受性が強いといえます。感受性が強い人は気配りや思いやりに長けている点が魅力です。しかし、感受性が強いあまりに人の気持ちに過剰な反応をしたり、気にしすぎてしまったりする場合もあります。
言い換え表現は「感性」
「感受性」の言い換え表現は「感性」です。「感」は心の動き、「性」は生まれつきの本能を指し、物事を心に深く感じ取る働きのことをいいます。
かん‐せい【感性】
1.物事を心に深く感じ取る働き。感受性。
かんじゅ‐せい【感受性】
1.外界の刺激や印象を感じ取ることができる働き。
それぞれの言葉を辞書で見てみると、「感性」の項目1において、「感受性」とも言い換えられています。言葉の意味を詳しく見ていくと、「感受性」に対し「感性」は、「より心の深いところで感じ取る」というような意味です。似ている言葉であり言い換えも可能ですが、ニュアンスは少し異なることが分かります。
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感受性豊かに育てる方法とは?
子どもの感受性を豊かに育てるには、五感を使ったコミュニケーションが大切です。
日常生活の中で、子どもは日々さまざまなことを感じ取っています。周りの大人にできることは、その手助けをすることです。
本の読み聞かせ
本の中でも絵本の読み聞かせは、親子間のコミュニケーションを取る上でも有効な方法です。読み聞かせは、脳が活性化することにより、感情や情動の発達が促されるといわれています。肌のぬくもりや匂いを感じながら親に読んでもらうことで安心し、情緒の安定にもつながるでしょう。
本の読み聞かせにより、子どもは想像力を高め、これまで知らなかった世界や言葉に触れることができます。登場人物の気持ちを想像し心の変化を知ることは、日常生活の中で相手の気持ちを察する力としても役立つのです。
参考:はじめてみませんか 絵本の読み聞かせ|子ども読書の情報館
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五感を刺激するいろいろな経験
見る・聞く・触れる・匂いをかぐ・味わうといった自然の中で五感を使う経験は、子どもの感覚を養う貴重な機会です。さらに、それぞれの感じ方を親子で共有することで、人によって感じ方の個人差を知ることになります。
コロナ禍により、「子どもにいろいろな経験をさせてあげられない」という悩みを抱えている人も多いですが、できるだけ子どもの「やりたい」気持ちを奪わないことが大切です。子どものいうことをすべて聞くことは難しいでしょう。しかし可能な範囲内で、「今日は何がしたい?一緒に二つまでやってみよう!」と子どもに楽しみを見つけさせることが大切です。子どもの視点から、大人も新しい発見が得られるかもしれません。
子どもとたくさん会話をする
日常生活の小さな出来事も、子どもにとっては貴重で大きな経験です。生活の中にあるたくさんの変化に、子どもと一緒に目を向けてみましょう。その変化を言葉にして伝え合うことで、子どもは考える力を培います。
例えばスーパーの買い物で、「どうして赤色じゃないトマトがあるのかな?」と子どもに問いかけてみると、大人には考えもしなかった発想が聞けるかもしれません。
子どもには「感じる」「考える」「行動する」という三つのサイクルがあります。周りの大人に必要なのは、サイクルの結果ではなくプロセスを見ることです。子どもが何かを感じているということを理解し、時には待つことも大切です。
感受性を育てるおすすめの習い事
「感受性豊かな子に育ってほしい」という思いから、子どもの習い事を検討している人も多いのではないでしょうか。
感受性を育てるおすすめの習い事を、三つの系統に分けてご紹介します。
音楽系
音楽系の習い事の中でも、ピアノはとくに人気があります。指先の器用さや脳の活性化を期待している親も多いようです。作曲家の感性や曲に込めた思い、メッセージなどを想像するだけでなく、ピアノを通じて聴く人に伝える「表現力」も培われます。ピアノは教室数の多さから、先生や場所選びという選択肢が多い点もポイントです。
その他、バイオリンやリトミックなどもおすすめです。いずれも、感受性の向き方が音楽という形で目に見える点が魅力といえるでしょう。リトミックは赤ちゃんから通うことができ、親も一緒に参加することが可能です。密なコミュニケーションが取れるため、愛着の形成にも効果があるといわれています。
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アート系
これからはAIの時代になるといわれており、自分で課題を見つけ、答えのないものに対して自らが主体となって取り組む力が求められます。コンピューターと共に仕事をする機会が今よりも増えたときに、人間に求められるのは「コンピューターに何をさせるか」を考えるクリエイティブな力です。
知識を得るだけでなく、得た知識をうまく活用する力を身に付けるには、工作などの造形教室がおすすめです。創造性が引き出され、創造する力を育むことができます。
モノとモノを組み合わせて何かを作り出すためには、感性と主体性が必要です。アート系の習い事が、それらを引き出す手助けになるかもしれません。
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運動系
けがをしにくい強い体作りや、体幹・柔軟性・バランス感覚を培うためには、年齢に合った運動が大切です。基礎能力を上げる効果もあるため、将来スポーツをやるときの下地作りとしても役立つでしょう。
運動には、筋力だけでなくリズム感や表現力も必要です。団体競技になれば、周りとの協調性も求められます。バレエ・チアダンス・日本舞踊などは華やかなイメージもあり、人気のある習い事です。最近ではリボンやボールなどを使う新体操も人気を集めています。しかし、世間のイメージや親の欲目でなく、子どもにとって適切な種目を選ぶことが大切です。
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親のその言動が子どもの感受性を低くする?
つい口にしてしまう親の言動が、子どもの感受性を低くしてしまっている可能性もあります。子どもは否定的な言葉に敏感で、話を聞かない親の姿も見ています。
親が子どもにできることはどのようなことでしょうか。
否定的な言葉を使う
子どもにとって「ダメ」「違うでしょう」といった言葉は、非常に刺激が強いもの。自己否定されたような気持ちになり、自由な発想に制限がかかってしまいます。非常識なことに対しては注意することも大切ですが、あまりに親の考えを押し付けすぎると、子どもは「何をしても怒られる」と考えるようになります。これからどんどん伸びてゆく可能性のある感性も、鈍ってしまうでしょう。
否定的な言葉で子どもの言動を抑えるのではなく、ありのままの感情や感性を受け止めましょう。自分に自信を持つことができると、発想もより自由になります。
子どもの話を聞かない
時間に追われ心に余裕がないと、つい子どもにも強く当たってしまいがちです。時には、「~するべき」「早くしなさい」などと強い口調で指示してしまうこともあるでしょう。価値観の押し付けや自分の話に耳を傾けてもらえない経験を積み重ねてゆくと、子どもは自分に自信が持てなくなり、次第に感情を押し込めてしまいます。伸びてゆくはずの感受性も失われかねません。
子どもには1人1人違った個性があります。一般的な型にはめるのではなく、「何をどう思っているのか」に耳を傾け、目の前にいる子どもの感覚を大切にしましょう。
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