「上意下達」とは上の意向を下に伝えること。読み方は?
「上意下達」とは上の地位にある者が意向を下の者に伝えることです。下に対して異論をはさむ余地を与えず、命令として伝えるというニュアンスがあります。
【上意下達:じょういかたつ】
上位の者や上層部の命令・意向を、下に伝えること。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
上意下達という四字熟語で注意しなければならないのは、読み方を間違えないことです。「下」は「げ」ではなくて、「か」と読みます。つまり正しい読み方は「じょういかたつ」です。
「上意下達」の語源
上意下達の語源は日本の中世における命令の仕方です。律令制が取り入れられてから、「譜」や「牒」などの公文書による命令が一般化しました。そののち、命令の手続きが簡略化されて、奉書によって上からの命令が下に伝達されるようになりました。
江戸幕府では将軍の意向を「上意」と呼び、奉書によって命令を下すことが「下達」であるため、「上意下達」という言葉が広まっていった経緯があります。
「上意下達」の使い方と例文
上意下達はビジネスの場面でよく登場する言葉です。組織のあり方を表す言葉として、一般的に広まっているからです。どのような場面で使われるのか、例文で確認しましょう。
【例文】
・ライバルのA会社では【上意下達】が徹底しているため、大胆な事業戦略を迅速に実行している
・【上意下達】が必要な時もあるが、従業員のモチベーションを高めるために、現場の声も大事にしてほしい
上意下達の対義語は下意上達
上意下達の対義語は「下意上達(かいじょうたつ)」です。上と下という漢字がそのまま入れ替わっているので、わかりやすい対義語といえるでしょう。「下意上達」の意味は下の者の意見が上の者に届くことです。
【下意上達:かいじょうたつ】
下の者の気持ちや意見が上位にある人に届くこと。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
会社における下意上達とは、現場の声が経営陣に伝わることを意味しています。会社のあり方として、上意下達と下意上達を対比して使うケースも少なくありません。続いては、それぞれのメリットとデメリットを解説しましょう。
上意下達
上意下達することのメリットは、意志決定が迅速であることです。会社のトップが決定して、下に命令を下すことにより、決定した内容が組織全体にすみやかに伝わります。また上の決定にブレがない場合には、社内で一体感が形成されることも期待できるでしょう。
一方デメリットは、部下が上からの命令に依存しすぎて指示待ちが常態化してしまうおそれがあることです。上意下達を徹底する場合には、部下の自主性や主体性を損なわせないような配慮が必要になります。
また命令の内容によっては下からの反発が起こる場合もあるので注意が必要です。