下意上達
下意上達することのメリットは下からの意見が上に届くことによって、現場の声が経営に反映されるようになることです。現場ならではのアイデアが活かされることもあるでしょう。トップが下の声に耳を傾ける状況があると、社員のモチベーションの向上も期待できます。
反対にデメリットは現場の声を聞くのに時間がかかり、意志決定が遅くなってしまうことです。また現場の人間の能力によっては、現場の視点に基づいた発想や提案が出てこない、不平不満に終始するなどのケースも考えられます。
下意上達を重視する場合には、現場の人間が適切な提案をできる能力と、ポジティブな姿勢を持っている必要があります。つまり人材に左右されるので、適所適材が特に重要になるでしょう。
上意下達の類語4つ
上意下達にはいくつかの類語があります。組織で使われることの多い言葉であり、会社や団体など、組織の種類によって使い分けされているケースも考えられます。ここでは「トップダウン」「お達し」「下達」「示達」という4つの類語をご紹介しましょう。
いずれもビジネスシーンで使うことが多い言葉なので、ニュアンスを正しく理解しておきたい語句です。例文も掲載するので、参考にしてみてください。
トップダウン
「トップダウン」は上意下達とほぼ同じ意味の言葉です。組織の上層部が決定を下して、下がその決定に従うことを意味しています。英語でもこの言葉が使われているため、外資系の企業でも使われることの多い言葉です。
【例文】
・ワンマン社長による【トップダウン】で会社の方針が決定されることが、我が社の良いところであり、悪いところだ
・会社の大胆な改革を行うためには、時には経営陣による【トップダウン】も必要になる
お達し
「お達し」とは上の者からの指示や命令のことです。江戸時代に上級官庁から下級官庁への法令や指令など「お達し」と呼んでいて、現在でもそのまま使用されています。国や官庁からの指示や法令に使われることもありますが、一般の組織でも使われています。
【例文】
・経費削減は上からの【お達し】なので、しっかり守るようにしてください
・先ほどメールでお伝えしたことはさる筋からの【お達し】なので、内密にお願いします
下達
「下達(かたつ)」とは上の者の指示を下の者に伝えることです。上意下達とほぼ同じ意味で、上意という頭の漢字が省略されたものと考えていいでしょう。
【例文】
・社長の意向を各部署にしっかり【下達】してください
・今回の軍事作戦では侵入先に先発している部隊の全員に、正確なミッションを【下達】することが成功の鍵を握っています
示達
「示達(じたつ)」の意味も上意下達とほぼ同じで、上の者から下の者に指示や命令を下すことです。やや硬い表現となり、公的な文書で使われることが多い言葉です。
【例文】
・逃走中の銀行強盗の映像を転送するので、近隣の交番に【示達】してください
・A国で内乱が起こり治安が悪化しているため、至急帰国するようにとA国に赴任している外交官への【示達】があった
上意下達の読み方と意味を知って正しく使おう
上意下達とは上の者の命令や意向を下の者に伝えるという意味です。正しい読み方は「じょういかたつ」。「じょういがたつ」と間違えるケースが多いので、注意が必要です。
会社の経営方針や組織の運営方針に関わる言葉であるため、ビジネスのさまざまな場面で登場します。言葉の意味を理解するとともに、上意下達のメリットとデメリットを把握しておくといいでしょう。正しい意味と読み方を理解して、適切に使ってください。
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