「絵に描いた餅」の意味と由来
【絵に描いた餅:えにかいたもち】
《どんなに巧みに描いてあっても食べられないところから》何の役にも立たないもの。また、実物・本物でなければ何の値打ちもないこと。画餅(がべい)。
〈補説〉「絵に描いたよう(素晴らしい、また、典型的であるさま)」と混同して「絵に描いたような餅」とするのは誤り。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「絵に描いた餅」の基本的な意味は「役に立たないこと」です。三国志時代の歴史書に由来する言葉で、「画餅(がべい)」と表現することもあります。似た表現に「絵に描いたような」がありますが、絵に描いた餅とは意味が異なるため混同しないようにしましょう。ここでは、絵に描いた餅の正しい意味や由来、「絵に描いたような」との違いについて解説します。
「絵に描いた餅」の意味とは
「絵に描いた餅」は、役に立たないことを意味する故事成語です。そのほかにも、無駄なことや実現不可能なことを指す言葉としても使われます。絵に描かれた餅は、どんなに巧みに描かれていたとしてもただの絵であり、実際に食べることはできません。そこから、実際には役に立たないことを表す際に使われるようになりました。漢字を変えて「画に描いた餅」としたり、「画餅」と省略して表現することもあります。
由来は三国志時代の歴史書
「絵に描いた餅」は、上述の「画餅」に由来する言葉です。では、そもそも「画餅」の語源は何かというと、三国志時代の歴史書『魏書』に由来するという説があります。
由来となったのは、魏書の中に登場する「名は地に画きて餅を作るが如く」という文です。これは「地面に描いた餅は食べることができない。それと同じように、名声や評判は役に立たないものである」という意味です。役に立たないものを例える際に、当時の高級品であった餅が使われたことから、「画餅」という言葉が誕生しました。その後、日本では「絵に描いた餅」という表現に形を変えて広まったとされています。
「絵に描いたような」という表現との違い
「絵に描いたような」は、まるで絵のように美しいものや素晴らしいもの、理想的なものを指す言葉です。または、典型的な状態であると伝える際にも使われます。例えば「絵に描いたような家庭」は、誰もが理想とする典型的な家庭という意味です。それに対し、「絵に描いた餅」は役に立たない、実現不可能といったマイナスのイメージをもつ言葉です。「絵に描いた餅のような家庭」というと、実際には実現しないような家庭という意味になり、「絵に描いたような家庭」とは全く異なる表現であることがわかるでしょう。
「絵に描いた餅」の使い方と例文
「絵に描いた餅」は、過去について話す際にも未来について話す際にも使える表現です。日常会話に限らず、ビジネスシーンでもよく登場するため、正しい使い方を覚えておくと便利でしょう。ここでは「絵に描いた餅」の使い方を例文とともに解説します。
実現しなかったこと
「絵に描いた餅」は、過去に実現しなかったことについて述べる際に使えます。主にビジネスシーンで使われることが多い用法です。
例文
・進行中の企画は絵に描いた餅で終わってしまった。
・絵に描いた餅にならないようにしっかりと計画を立てた。
または以下の例文のように、役に立たなかったことを「絵に描いた餅」と表すケースも多くあります。
例文
・せっかく作った資料が、急な変更で絵に描いた餅になってしまった。
不可能であること
「絵に描いた餅」には実現する可能性が低いという意味があるため、不可能であることを表す際にも使えます。どちらかというと、「実現するのが難しそうである」というよりも「現実とかけ離れすぎていて不可能である」というニュアンスが強いといえます。
例文
・ブラック企業では、働き方改革は絵に描いた餅だ。
・彼の主張は絵に描いた餅で、理想論に過ぎません。
・企画としては素晴らしいものの、現実味がないので絵に描いた餅です。
「絵に描いた餅」の類義語・対義語
「絵に描いた餅」には関連する言葉がいくつかあります。例えば、類義語は「机上の空論」や「取らぬ狸の皮算用」、対義語は「不言実行」や「明日の百より今日の五十」です。
関連する言葉について知っておくと、「絵に描いた餅」の意味をさらにイメージしやすくなるでしょう。ここでは、「絵に描いた餅」の類義語や対義語について詳しく解説します。