「梨の礫」とは返事が返ってこない様子を示す言葉
「梨の礫(なしのつぶて)」とは、連絡をしたのに返事が返ってこない様子を示す言葉です。「電話をかけても出ない」「留守番電話にメッセージを残したのに返事が来ない」などの状態を表現する際に用いられます。
また「手紙を書いたのに返信が来ない」「電話やメールでも連絡が来ない」というときにも用いることができるでしょう。「梨の礫」は相手にとって失礼に当たる行為なので、連絡が来たときは極力早い返事を心掛けましょう。
【梨の礫】なしのつぶて
投げられた礫のように、便りをやったのに返事のないこと。「梨」は「無し」に掛けたもの。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「梨の礫」の「つぶて」とは小石のこと
「礫(つぶて)」とは小石のことです。投げられた小石に限定して用いることも少なくありません。例えば紙を丸めて小石のような形にしてから投げつけることを「紙礫(かみつぶて)を投げる」「紙礫を打つ」などと表現することがあります。
なお「礫」は「れき」とも読むことが可能です。れきと読むときは、単に小石の意味でも用いますが、地盤工学の定義では粒径が2mm〜75mmの岩石の破片を指します。
「梨の礫」の由来は、投げた小石は戻ってこないことから
小石を投げると元に戻って来ません。その様子に由来し、こちらからアクションをしたのに返事がないときに「梨の礫」と表現します。
なお、「梨」は果物の梨を意味する漢字ですが、「梨の礫」と表現するときには果物を指しているのではありません。返事が無いの「無し」にかけた言葉遊びの一種、あるいは語呂合わせだと考えられています。
「梨の礫」の対義語は「二つ返事」
「梨の礫」の対義語には、すぐに承諾するという意味の「二つ返事(ふたつへんじ)」を挙げられます。快く承諾すること、もしくは「はいはい」とすぐに返事をすることを表しています。
例文
・テレビの調子が悪いので、弟に様子を見て欲しいとお願いした。弟は二つ返事で引き受けてくれた。
・納期が迫っているので難しいかと思ったが、ダメもとでイラストレーターさんに依頼したら二つ返事で承諾してくれ、本当に助かった。
「梨の礫」の使い方を例文でご紹介
「梨の礫」を使った例文を紹介します。どのようなシチュエーションで使うことができるのか、理解を深めていきましょう。
例文
・一人暮らしをしている息子に小包を送ったが梨の礫だ。連絡がないのは良い便りともいうから、元気で暮らしているのだろう。
・買ったばかりの洗濯機がうまく作動しない。メーカー保証を受けようとメーカーに連絡をしたが梨の礫だ。もう2度とこの会社の製品は買わない。
英語で表現するなら
「梨の礫」を使った英文をご紹介します。日本語独特の表現のように感じられますが、梨の礫の意味である「返事が返ってこない様子」が伝わればいいのですから、難しい言い回しをする必要はありません。
例文
彼に三度も便りを出したがなしのつぶてだ
I wrote to him three times, but I haven’t heard a word in reply.
(引用〈小学館 プログレッシブ和英中辞典〉より)
例文では「haven’t heard a word in reply」で「一言も返事がない」と言うことで梨の礫を表現しています。
また、聞く、聞こえ(てく)るという意味の「hear(小学館 プログレッシブ和英中辞典調べ)」も≪from≫と組み合わせて(メール・電話などで)連絡をもらうという意味でよく使われる言葉。例えば「I sent an email to friend , but I haven’t heard from him」なら「友人にメールしたけれど、梨の礫なの」という意味になります。
「梨の礫」の類語を例文を使ってご紹介
「梨の礫」と同じく、返事がないという意味で用いる表現がいくつかあります。それぞれどのように用いるのか、詳しく見ていきましょう。