「比翼連理」の基礎知識
「比翼連理」という言葉は、愛情深く仲の良い男女関係または夫婦を表す言葉です。漢字を見ても意味が推測しにくい表現であるため、正しい知識を付けておくといざという時に役立ちます。
「比翼連理」の意味や読み方、由来、気を付けたいポイントをご紹介します。
・「比翼連理」は仲睦まじい夫婦を表す言葉
・由来は『長恨歌』
・「肥沃連理」は誤用
「比翼連理」の読み方
一見しただけでは仲の良い夫婦を表す言葉には見えない「比翼連理」ですが、自信を持って読めるでしょうか?
正解は……「ひよくれんり」でした!
この後ご紹介する「比翼連理」の言葉の成り立ちにも関係してきますが、「比翼連理」の読み方は「比翼」と「連理」に分けると少し難易度が下がりますね。
「比翼連理」は仲睦まじい夫婦を意味する
「比翼連理」とは、愛情深く仲睦まじい男女関係を意味します。男女関係のなかでも、「比翼連理」は一般的に結婚している夫婦や婚約中のカップルを指して使われます。
【比翼連理】ひよくれんり
比翼の鳥と、連理の枝。夫婦の仲のむつまじいことのたとえ。男女の深い契り。
息の合った仕事上のパートナーとの関係を、「比翼連理」と表現してしまうとあらぬ誤解を招く恐れがあります。詳しくは「比翼連理」の使い方のポイントを参考にしてみてください。
「比翼連理」の由来は『長恨歌』
「比翼連理」の「比翼」とは、中国の伝説上の鳥を意味します。伝説上の鳥「比翼の鳥」は、雄鳥と雌鳥がそれぞれ目と翼を片方ずつしか持っていないとされています。
その特徴から、空に羽ばたくためには雌雄が一対となって飛ばなければなりません。協力し合って空を飛ぶ様子から、仲睦まじい男女の様子を形容する言葉となっています。
一方で「連理」とは、2本の樹木が合わさって1本の大木に見える様子を表します。「連理」も「比翼」と同様2本の木が支え合って立っている様子から、夫婦や男女の深い契りを意味するようになりました。
「比翼連理」とは、「比翼」と「連理」という男女の睦まじさを表す2つの言葉を組み合わせてできた言葉です。「比翼連理」は中国の詩人である白居易が残した『長恨歌』に登場しています。
仲睦まじい夫婦になりたいとの想いが込められた「天にあっては願わくば比翼の鳥となり、地にあっては願わくば連理の枝とならん」の一節が「比翼連理」の由来です。
「肥沃連理」の表記は誤用
「ひよく」と聞くと、栄養が豊富な土地を意味する「肥沃」が連想されるかもしれませんね。「比翼」は中国の伝説上の鳥であまり一般的に使われる表現ではないため、音だけを聞いて「肥沃連理」と誤解してしまう可能性があります。
あらかじめ「比翼連理」の意味や成り立ちを知っておくと、誤用に惑わされることもなくなるでしょう。
「比翼連理」の類義語・対義語
仲睦まじい夫婦を表す「比翼連理」の類義語と対義語をご紹介します。
類似表現と相対する表現を知ることで、「比翼連理」の理解度もグッとアップするはずです。読み方が難しい表現も多いため、一緒におさらいしましょう。
類義語は「偕老同穴(かいろうどうけつ)」「琴瑟相和(きんしつそうわ)」
「比翼連理」の類似表現として、次の3つの言葉をご紹介します。
・偕老同穴(かいろうどうけつ):夫婦の仲が睦まじく、契りが固いこと
・琴瑟相和(きんしつそうわ):仲睦まじい夫婦のたとえ
・おしどり夫婦:いつも一緒に行動するような仲睦まじい夫婦
どれも夫婦仲の良さを強調する表現で、「比翼連理」の言い換えとして使えるでしょう。「琴瑟相和」に関しては、「琴瑟(きんしつ)相和(あいわ)す」と表現されることもあります。
【琴瑟(きんしつ)相和(あいわ)す】
「詩経」小雅・常棣から琴と瑟との音がよく合う。夫婦仲が非常によいたとえ。
対義語は「犬猿の仲」
「比翼連理」の対義語には、仲睦まじい様子と正反対の言葉が並びます。
・犬猿の仲(けんえんのなか):犬と猿のように仲が悪いさま
・不倶戴天(ふぐたいてん):恨み、怒りが深いさま、またその間柄
「犬猿の仲」は、使用頻度が高く不仲を表す耳慣れた表現であるでしょう。「不倶戴天」は、犬猿の仲よりも深刻な状況で使われる場合が多いでしょう。「不俱戴天」は読み方が難しい表現であるため、気を付けましょう。
【不倶戴天】ふぐたいてん
「礼記」曲礼の「父の讐(あだ)は倶(とも)に天を戴(いただ)かず」から
ともにこの世に生きられない、また、生かしてはおけないと思うほど恨み・怒りの深いこと。また、その間柄。「―の敵」
「比翼連理」の使い方のポイントと例文
「比翼連理」は、理想的な男女仲を表現する際に使える表現です。ご紹介する2つの使い方のポイントをマスターすれば、「比翼連理」を使いこなせるようになります。
1.仲の良い夫婦や恋人を指して使う
2.ビジネス関係の男女には使えない
また、「比翼連理」を使った例文もご紹介します!自然な流れで新しい表現を使いこなすヒントになるはずです。