【目次】
・「偕老同穴」の意味や読み⽅とは?
・海綿「カイロウドウケツ」とはどんな生きもの?
・使い⽅を例⽂でチェック
・類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
・「偕老同穴」の対義語はある?
・英語表現とは?
・最後に
「偕老同穴」の意味や読み⽅とは?
「偕老同穴」という言葉を、初めて聞いたという人も少なくないかもしれません。あまり見聞きしませんが、ある場面では「偕老同穴の契り」という慣用句でよく使用します。どういう場面で使うのか、成り立ちやこの四字熟語を由来に名付けられた生き物に関することを含めて紹介していきます。
読み⽅と意味
「カイロウドウケツ」と読みます。中国の故事成語から来ていて、夫婦が共に生きて老い、同じお墓に葬られるという意味から、夫婦仲が睦まじいことを表す言葉です。「偕老同穴」には慣用句があり、「偕老同穴の契り」と言います。結納や結婚式のスピーチで好んで使用される言葉です。幸せな門出に相応しい慣用句ですよね。お祝いの席でスピーチを頼まれた時に使えますので、覚えておきましょう。
「偕老同穴」の成り立ち
中国最古の詩集とも言われる『詩経』。その中に出てくる「子 (し) の手を執 (と) りて子と偕 (とも) に老いん」という節から「偕老」を、「穀 (い) きては則 (すなわ) ち室を異にすとも、死しては則ち穴を同じうせん」という節から「同穴」を抜き出し繋げた四字熟語だと言われています。
直訳は「妻の手を取り老いるまで共にいる」と「生きている時は別々の部屋で暮らしていたとしても、死んだら同じ墓穴に入る」となります。
海綿「カイロウドウケツ」とはどんな生きもの?
実はある話題のゲームにも出てくるので「カイロウドウケツ」という名の生物がいるということを、知っている方もいるかもしれません。天然のスポンジとしても世界中で使われている海綿動物の一種で、あるエビと共生関係にあることから名づけられているのです。
カイロウドウケツは深海生物で、中が空洞の円筒形をしていて、「ドウケツエビ」の住まいとなることが多いようです。ドウケツエビは雄雌のつがいで、カイロウドウケツの中に住むと一生共に外に出ることなく過ごすために、「偕老同穴」から名前が付けられたと言われています。水族館で見ることも可能で、また家庭用鑑賞生物としても販売されているようです。
使い⽅を例⽂でチェック
それでは、どんな時にどのような表現で「偕老同穴」は使えるのかを紹介していきます。
1:「新郎新婦は互いに、偕老同穴を誓いました」
結婚式のスピーチでも使われる「偕老同穴」ですが、ここでの意味合いは、一生添い遂げること誓うとなります。少々硬い表現になりますので、年齢層や立場によっては「偕老同穴」よりも柔らかいニュアンスを選んでも良いでしょう。
2:「私達は、偕老同穴の契りを結んだ」
「偕老同穴」は自分たちの関係にも使うことは可能です。ただし、基本的には夫婦の間柄を指す言葉になりますので、恋人同士の時には使うことはやめましょう。そして、この例文のように「偕老同穴」は「偕老同穴の契り」という言い回しをよく使います。この場合は、一生夫婦円満であることを約束するという意味合いになりますね。
3:「私の祖父母は、偕老同穴のような夫婦だ」
お祝いの席で使うイメージが強いのですが、仲の良い夫婦を掲揚する時にも活用できます。特に長年連れ添ったご夫婦を表すのに最適な言葉と言えるでしょう。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
次に、どのような類語や言い換えがあるのか、確認していきましょう。
1:「比翼連理」
「ヒヨクレンリ」と読み、中国の詩人白居易が、玄宗皇帝と楊貴妃について歌った『長恨歌』の1節から作られた四字熟語です。『源氏物語』の「桐壺」にも出てきますね。
「比翼」は目と翼が一つずつしかない中国の伝説上の鳥で、1羽では生きられずつがいで生活しています。「連理」は2本の木が完全に密着して繋がってしまう様子を言い、京都の下鴨神社をはじめ、各地で「連理の枝」「連理木」として祀られたりしていることで有名です。夫婦仲が良い時の表現として使われるため、「偕老同穴」に非常に近い言葉と言えるでしょう。
2:「鴛鴦之契」
「鴛鴦之契」は「エンオウノチギリ」と読みます。「鴛鴦」はオシドリ、「鴛」はオス、「鴦」はメスの意味です。「おしどり夫婦」と表現するくらい、夫婦仲の良さを表す鳥ですね。こちらも中国の故事からきた言葉で、あるある仲の良い夫婦が悲劇的な理由で亡くなった後、鴛鴦がつがいでお墓の上で泣いたことが由来と言われています。こちらも夫婦仲の良さを例える言葉です。
3:「関関雎鳩」
「偕老同穴」と同じく『詩経』から生まれた言葉で、「カンカンショキュウ」と読みます。「関関」は水鳥が睦まじく鳴く声の例えで、「雎鳩」は水鳥のミサゴのことです。ミサゴはつがいで仲良く鳴き交わうことから、夫婦仲睦まじいことを表します。昔の中国の王朝・周の文王夫婦の仲の良さを読まれた「関雎」の1節から作られた言葉です。周の文王の徳でどの家庭も夫婦円満になるということから、「関雎之化(かんしょのか)」という表現も存在します。
「偕老同穴」の対義語はある?
さて、夫婦円満を表現する「偕老同穴」には、対義語はあるのでしょうか。夫婦仲の悪さを表す言葉に「不俱戴天」という表現があります。「フグタイテン」と読み、「同じ天の下では共にいられない」ほど仲が悪いことという意味です。「不俱戴天の仇」「不倶戴天の敵」などという使い方をします。
英語表現とは?
英語には「偕老同穴」にあたる言葉はありませんので、意味から意訳する必要があります。一番近いのは「おしどり夫婦」という意味の「lovebirds」でしょうか。他にも「soulmate(深い絆で結ばれた二人)」や「a happy married couple(幸せな結婚生活をしているカップル)」などがあります。「soulmate」はカタカナで「ソウルメイト」となり、日本語でも最近定着しつつある言葉ではないかと思います。
もし英語で「偕老同穴の契り」を表現するのであれば、「We pledge that we are going to be happy married couple.(私たちは偕老同穴であることを誓う)」となるでしょう。
ちなみに生物の「カイロウドウケツ」の英語名はロマンティックで、「Venus’s flower basket(ヴィーナスの花かご)」と言います。
最後に
今回は「偕老同穴」について解説しました。大変縁起の良い四字熟語で、意味を知るといつか使ってみたくなりますね。日常で使う機会は少ないですが、いざという時に覚えておくと便利な言葉ですので、覚えておきましょう。
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