「パパの血だけだったら、もっとよかったのにねぇ」が口グセの義母
優奈さん(仮名・39歳女性)は、5歳年上で会社を経営する夫と暮らしています。結婚当初には、義母との関係は「そこそこいい」と思っていましたが、孫が産まれてから義母が本性をあらわにし、嫁姑問題に苦悩を抱えています。
「義母は、いわゆるハイスペック男性である息子が、私のような女性と結婚したことが気に入らなかったみたいです。うちには年子の娘と息子がいますが、義母は孫たちも息子のように立派に育てたいからと英才教育を希望しています。一方、私は高卒です。若い頃は本気で芸能界に行きたかったので、高校を卒業してからタレントになるために夢に向かって頑張っていました。結局、タレントとして成功することはなく、20代半ばでベンチャー企業に就職。そこの取引先だった夫と出会い、結婚に至りました。
義母は、私のそんなキャリアが気に入らないようで、『パパの血だけだったら、もっとよかったのにねぇ』『ママがあんな人だから、あなたたちはかわいそうねぇ』などと、私の悪口を子どもたちに吹き込むので困っています」
タレントを目指していただけあって、容姿端麗な優奈さん。結婚後は「良き妻」として多忙な夫を支えることに努め、人並み以上の暮らしをさせてくれている夫には常に感謝の気持ちも忘れておらず、「自分で言うのもなんですけど、“尽くす妻”だと思います」とのこと。しかし義母は、優奈さんの妻としての努力を認めることなく、キャリアや華やかな見た目を理由に「無能な妻」のレッテルを貼ってくるそうです。
夫に相談するも頼りにならず…解決の糸口はなし
「見た目のせいで義母に嫌われるのはよくありませんから、ネイルやブランド物を身につけるのをやめ、地味な外見に徹したこともありました。けれど義母の態度は変わることなく、孫に私の悪口を言い続けました。子どもたちは、当然ながらそんな義母を『怖い』と思っていますし『ママは、いつもおばあちゃまにいじめられている』と感じているようです」
子どもたちが小学校に上がっている今、義母の意地の悪さを子どもたちも見抜き、義実家には寄り付かないようになってしまったそう。義母はそれも気に入らないらしく、孫たちにLINEを通じて優奈さんの悪口を伝えることもあるのだとか。やまない嫌がらせに我慢の限界を迎えた優奈さんは、夫に相談するも、夫は「俺は関係ないから勘弁して。そんなに嫌なら無視すれば?」と、あまり親身になってくれないことにも憤りを感じています。
「本当は、義実家ともっといい関係を築きたいのですが…。義母のせいで、義実家側の親族とも距離を置かれてしまっていて孤独です。友人たちには『そういう義母は変わらないから、諦めてあなたも距離を置けばいいんじゃない?』と言われますが、私は今の状況を改善していきたい。けれど、このままの状況がいつまで続くのか先が見えないので、毎日気分が重く、何をしても気持ちが晴れることがありません」
意地の悪い発言を繰り返す義母が、孫に与える影響は決して小さくありません。過激な悪口が増えるほど、子どもたちの成長にも悪い影響を及ぼしかねませんし、最愛の母親を敵視する存在が身近にいることを悟り、心が傷つく子どもも珍しくありません。「理想の親族関係」が築けないことに苦悩を抱える女性の多くは、完璧を求めすぎている傾向も。親族関係においてすべてが理想通りに進むのは奇跡だと割り切り、守るべきものの優先順位をつけ、義母との関係を適切なレベルまで落とせれば、苦悩が和らぐかもしれません。
取材・文/並木まき
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