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「一陽来復」とは「冬が終わり春が来ること」
「一陽来復」とは「冬が終わり春が来ること」という意味があります。読み方は「いちようらいふく」です。辞書では、以下のように解説されています。
〈一陽来復〉
1 陰暦11月。または、冬至。
2 冬が去り春が来ること。新年が来ること。
3 悪いことが続いたあと、ようやく物事がよい方に向かうこと
「冬が終わり春が来る」という意味のほかにも「陰暦11月、または冬至」「悪いことが続いたあとに物事がいい方向に向かうこと」という2つの意味があるため、注意しましょう。「一陽来復」の「一陽」とは、陽の気のことを指しています。「来復」とは、巡り巡って来るという意味があります。
「一陽来復」の由来は古代中国の書物『易経』から
「一陽来復」の由来は、古代中国の書物『易経』にあります。『易経』とは、周の時代からあったとされる書物で、占いの理論と方法を解説した本です。
その中に「地雷復」という項目があり、「一陽来復」は「旧暦5月の夏至に陰が初めて生じてから冬至になり、7ヶ月経って陽が戻ってきた」という意味で用いられました。陰と陽の考え方は、古代中国が元になっており、冬至は陰が極まる日とされていました。冬至を過ぎると、その後日が伸びる一方なので再び陽が来ると言われていたのです。
つまり、春がくる嬉しさを書物に書いたことがきっかけになったのです。この意味が転じて、「悪いことが過ぎ去ればいい方向に向かうこと」の意味でも使われるようになりました。
縁起を担いで「一陽来福」と書くこともある
縁起を担いで「一陽来福」と書くこともあります。読み方は、同様に「いちようらいふく」です。良い状況に転じる期待を込めて、福の字が使われています。
しかし、本来であれば「復」の表記が一般的です。そのため、中にはこれは間違った表記だと判断する方もいます。「福」を使いたい特別な理由がない限りは、スタンダードな方を使うようにしたほうが無難でしょう。
「一陽来復」の使い方と例文
「一陽来復」の使い方は、春が訪れる様子や、悪いことが続いた後にいい方向に向く様子を言い表すときに使われます。また商売人に人気という「一陽来復」のお守りを指す場合にも使われます。
以下で、例文を見てみましょう。
〈例文〉
・寒い冬が終わったので、【一陽来復】の春が来るだろう。
・最近は仕事もプライベートもうまくいかない。【一陽来復】を願う。
・冬至が終わったので、【一陽来復】のお守りをもらいに行く。
「一陽来復」の類義語3つ
ここからは、「一陽来復」の類義語を3つご紹介します。
1.苦しい状況が過ぎて楽になる「苦尽甘来」
2.危機から脱して立ち直る「起死回生」
3.失敗から立ち直る「捲土重来」
いずれも「一陽来復」の3つ目の意味にあたる、「悪いことが転じていい方向に向かう」という意味の類義語なので、使う際にはニュアンスの違いに注意しましょう。以下でそれぞれ解説していきます。
苦尽甘来(くじんかんらい)
「一陽来復」の類義語1つ目は、苦しい状況が過ぎて楽になる意味がある「苦尽甘来」です。苦しいことがあった後は、いいことが訪れる意味合いを持っているため、「一陽来復」の類義語とされています。
どのような使い方をするのか、例文を使って見ていきましょう。
〈例文〉
・苦しい下積み時代を経験したおかげで、【苦尽甘来】の毎日を送れている。
・毎日元気に頑張っていればいずれ【苦尽甘来】となると母は言っていた。
起死回生(きしかいせい)
「一陽来復」の類義語2つ目は、危機から脱して立ち直る意味がある「起死回生」です。読み方は「きしかいせい」です。辞書では以下のように解説されています。
〈起死回生〉
滅びかけているものや絶望的な状態のものを、立ち直らせること。
ビジネスシーンでもよく用いられ、ピンチな状況を立て直す場面でよく使われています。
以下で、例文を見てみましょう。
〈例文〉
・営業成績が悪いので、【起死回生】の策を練る。
・【起死回生】のチャンスだったにもかかわらず、失敗してしまった。