「呉越同舟」の読み方や意味とは?
まずは、「呉越同舟」の読み方や意味、由来となった出来事など、基本的なことから学んでいきましょう。
読み⽅と意味
「呉越同舟」は、古代中国に由来した言葉。日本でも比較的知られている故事成語(故事をもとにしてできた言葉)で、「ごえつどうしゅう」と読みます。「呉越同舟」の意味は、仲の悪い者同士が、同じ目的のために協力しあうという意味で、人同士だけではなく、企業同士や国家同士にも使える言葉です。
「呉越同舟」の「呉越」は、紀元前に中国にあった「呉」と「越」という国の名前です。中国の歴史が好きな人は、「呉越同舟」という言葉を、身近に感じるのではないでしょうか。
語源・由来
「呉越同舟」は、なぜ、仲の悪い者同士が同じ目的のために協力しあうという意味を持つのでしょうか。その理由は、中国の春秋戦国時代(春秋時代、戦国時代)にさかのぼります。春秋戦国時代というのは、秦(しん)の始皇帝が中国を統一する少し前の時代。日本では縄文時代から弥生時代にあたります。
「呉越同舟」は、軍事理論書として有名な、『孫子(そんし)』という兵法書の中に見られる話です。その内容は、「敵同士であっても、乗り合わせた舟が嵐に合い、同じ危機に直面すれば、協力することになる」というものです。このことから、「敵対する者同士でも、利害や乗り越えないといけない危機が一致すれば、互いに協力しあうものだ」という意味で使われるようになりました。以下では、この内容をもう少し詳しく、書き下し文を交えて解説します。
書き下し文
まずは、故事成語「呉越同舟」の語源となった箇所の書き下し文と、それに対応する現代語訳を見ていきましょう。「漢文なんて読んだことはない」と思われるかもしれませんが、実は中学校で習っているはず。英語とは違って、日本語と中国語には「漢字」という共通の文字があります。習った記憶は薄れていても、漢字の意味をたどれば、なんとなく意味がわかるものです。
敢問、兵可使如率然乎(あえて問う、兵は率然のごとくならしむべきか)
現代語訳:あえて問おう、軍隊を率然(常山の蛇)のように動かせることができるか
曰、可(曰く、可なり)
現代語訳:(言うことには)可能だ
夫呉人與越人相惡也 當其同舟而濟、遇風、其相救也、如左右手(それ呉人と越人と相悪むも、その舟を同じくして済り風に遇うに当たりては、その相救うや左右の手のごとし)
現代語訳:そもそも呉の人と越の人は、お互いに憎み合っているが、同じ舟に乗り合わせて大風が吹いたなら、そこでお互いに左右の手のように連携をとり、助け合うであろう
使い⽅を例⽂でチェック
難しい解説が続きましたが、次ではイメージしやすいように、「呉越同舟」を使った例文で確認していきましょう。