「依怙贔屓」とは自分のお気に入りの肩を持つこと
「依怙贔屓」とは、自分のお気に入りや関係者の肩を持って不公平に扱うことです。漢字は難解ですが、「えこひいき」と読み、よく見かける言葉といえるでしょう。
「依怙贔屓」という言葉は幅広い年齢層で使われており、意味もきわめて明解な言葉です。
【依怙贔屓:えこひいき】
自分の気に入ったものだけの肩をもつこと。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「依怙」はもともと頼るという意味のある言葉ですが、日本では「不公平」というニュアンスで使われることが多くなっています。次の章で、「依怙贔屓」の語源についてくわしく解説します。
「依怙贔屓」の語源は仏教語の「依怙」
「依怙贔屓」という言葉の語源は仏教語の「依怙」です。「依怙」には本来、「頼りにして寄りかかる」という意味があり、仏教語として使われる場合には「仏が頼ってくる人たちに目をかけて助ける」というニュアンスを持ちます。
法華経の中にも「依怙心相移故云々」という語句が出てきます。この目をかけて助けるという意味の「依怙」に「気に入った人を特に引き立てること」という意味の「贔屓」という言葉が合わさって「依怙贔屓」となりました。
この四字熟語がいつから使われているのは定かではありません。しかし、江戸初期の1662年に書かれた織田信長の一代記「信長記」に「御心緒万機に暁、第一無欲にして、御心に依怙贔屓おはしまさず」という記述があるので、江戸時代にはすでに使われていたと考えられます。
「依怙贔屓」の使い方と例文
「依怙贔屓」とは会社はもちろんのこと、学校や各種団体、サークル、スポーツのチームやグループから商業サービスの会員まで、さまざまな場面で使われる言葉です。人が集うところでは「依怙贔屓」が起こる可能性があるということでしょう。
集団の中で特定の人に目をかける、自分に関係のある人の肩を持つなどの不公平な行為に対して、「依怙贔屓」という言葉を使います。
【例文】
・【依怙贔屓】はいけないことですが、「贔屓にされている」とお客さまに感じてもらうことで、リピーターになってもらうことが期待できます。手厚くサービスしましょう。
・娘のクラスの担任教師は【依怙贔屓】が激しいという評判が立っています。
「依怙贔屓」の類義語3つ
「依怙贔屓」にはいくつかの類義語があります。ひいきの仕方にも、さまざまな種類があるからでしょう。
ここでは、身内や関係者をひいきにする「身びいき」、商売などでお得意さんをひいきにする「愛顧」、相手によって対応の仕方を変えて、不公平な扱いをする「分け隔て」という3つの類語について例文つきで説明します。
身びいき
「身びいき」とは身内や知人など、自分の関係者をひいきにすることです。「身贔屓」とも書きます。
【例文】
・県のバスケットボールの選抜チームのメンバーに自分の学校の生徒ばかりを優先的に選ぶのは、【身びいき】が過ぎるのではないですか?
・自分と同じ県の出身力士はつい【身びいき】して応援してしまいます。
・社長の親戚ばかりが重要なポストについていて、【身びいき】が激しいので、当社の将来が心配です。