愛顧
「愛顧」とは、目をかけて引き立てるという意味です。芸人や商人を引き立てる場合にもよく使われます。ビジネスメールでもよく使われる言葉なので、覚えておくといいでしょう。
注意しなければならないのは、「愛顧」は目下の者を引き立てる場合に使う言葉であることです。「ご愛顧」と丁寧語として使う場合には、逆に引き立てられている側が、引き立てている側に対して、感謝の意を示す場合に使われます。
【例文】
・これからも我が社の宅配サービスを【ご愛顧】のほど、よろしくお願いいたします。
・日頃より格別の【ご愛顧】をあずかり、誠にありがとうございます。
分け隔て
「分け隔て」とは相手によって対応の仕方を変えて不公平な扱いをすることです。例えば教育の現場でよく耳にする言葉かもしれません。
【例文】
・教育者に求められるのはすべての生徒と【分け隔てなく】接することです。
・年齢の【分け隔てなく】、あらゆる世代が参加できて、楽しんでもらえるイベントの運営を目指しています。
・海外で医療関係のNGOに従事している彼はすべての国のすべての人に対して、【分け隔てなく】医療を提供することを目標に活動している。
「贔屓」を使った四字熟語2つ
「贔屓」という漢字を使った四字熟語で代表的なものは2つあります。1つ目は多くの日本人に知られている言葉であり、日本の歴史に登場する悲劇的な英雄にちなんで生まれた「判官贔屓(ほうがんびいき)」です。
もう1つは「依怙贔屓」と並ぶ難読漢字である「贔屓偏頗(ひいきへんぱ)」です。この2つの言葉の意味を解説するとともに、それぞれの使い方や例文も紹介します。
判官贔屓(ほうがんびいき)
「判官贔屓」とは、弱者や敗者に同情して、応援する感情のことです。一般的な読み方は「ほうがんびいき」ですが、「はんがんびいき」とも読みます。判官とは、兄である源頼朝にねたまれて滅んでしまった平安時代の武将である源義経のことです。
【例文】
・カルガリーオリンピックに出場したジャマイカのボブスレーチームが映画の題材になるほどの大人気となったのは【判官贔屓】によるものだと思われます。
・小兵の力士に人気が集まるのは【判官贔屓】の心理によるところもあるでしょう。
贔屓偏頗(ひいきへんぱ)
「贔屓偏頗」とは「依怙贔屓」と同じ意味の言葉です。「ひいきへんぱ」もしくは「ひいきへんば」と読み、偏頗には偏っていて不公平なさまという意味があります。
「贔屓偏頗」という言葉は一般的にはあまりなじみがなく、難しい言葉なので、現在の日本で日常的に使われることはほぼありません。江戸時代の1665年刊行とされている「仮名草子」の「浮世物語」の中に、次のような一節があります。
「老(おとな)、出頭、奉行になしては贔屓偏頗の私ありて」
いつの時代にも「依怙贔屓」があったことがうかがえますね。
「依怙贔屓」の読み方と意味を知って正しく使おう
「依怙贔屓」はえこひいきと読み、自分の気に入った者や身内、関係者だけに肩入れすることです。不公平な扱いをするというニュアンスの言葉ですが、「依怙」はもともと仏教語が語源とされています。
「依怙贔屓」は江戸時代にはすでに使われていた言葉と考えられ、古くから人間の集まるところには、「依怙贔屓」が存在していたということになります。
「依怙贔屓」はさまざまな場面で使われる言葉です。読み方を覚えて、正しい使い方をしましょう。
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