「諸刃の剣」との意味とは?
「諸刃の剣」は、「もろはのつるぎ」と読みます。役に立つものも使い方によっては有害なものになるという意味です。「諸刃」は両面の刃という意味があり、両方に刃のついた剣を使えば、相手を切ると同時に自分も傷つけることを例えにしています。
【諸刃の剣】
《両辺に刃のついた剣は、相手を切ろうとして振り上げると、自分をも傷つける恐れのあることから》一方では非常に役に立つが、他方では大きな害を与える危険もあるもののたとえ。両刃の剣。
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
「諸刃の剣」には2通りの意味があり、どちらの意味も把握しておけば、「諸刃の剣」を適切な場面で正しく使うことができるでしょう。
ここでは、「諸刃の剣」の意味と言葉の由来についてご紹介します。
2通りの意味がある
「諸刃の剣」には、「効果はあるが危険も伴う」という意味と、「利益はあるが損害を被る可能性が高い」という意味の2通りがあります。効果は高いが副作用もある医薬品などは、前者の意味で使われることが多いでしょう。効果よりも危険性の方を強調するときに使われる言葉です。
「利益はあるが損害もある」という意味は、主に投資などで使われます。株式投資などは高い利益が期待できるものの、損失が出る可能性も否定できません。高い利益を得るためには、リスクも覚悟しなければならないことを伝えるために「諸刃の剣」が使われます。
「諸刃の剣」の語源
「諸刃」とは両端に刃がついているという意味で、そのような形をした剣が言葉の語源です。片方だけに刃がある通常の武器であれば自分に危険はありませんが、「諸刃の剣」で戦えば自分を傷つける可能性があります。
相手を倒すことはできても、自分も同じぐらいの打撃を受けるということです。高い成果を得るためには、危険を覚悟しなければならないという意味合いで使われます。
「諸刃の剣」の例文
「諸刃の剣」を使った例文をご紹介しましょう。「諸刃の剣」には2通りがあることはお伝えしましたが、意味ごとの例文を見ることでより理解が深まります。
ここでは、「効果があるが危険もある」という意味の例文と、「利益はあるが損害も伴う」という意味の例文をそれぞれご紹介します。「諸刃の剣」を理解するため、ぜひ参考にしてください。
1.「効果はあるが危険もある」という意味
「効果はあるが危険も伴う」という意味で使う場合、危険に対する警告の意味合いが強くなります。例文を見てみましょう。
【例文】
・あの会社で新しく開発された医薬品は難病に効く画期的な薬とされているが、副作用が強いという【諸刃の剣】の側面も忘れてはならない
・技術の進化で人類は多くの恩恵を受けてきたが、人類を滅ぼす化学兵器も生み出すなど【諸刃の剣】といえるだろう
2.「利益はあるが損害も伴う」という意味
「諸刃の剣」は、「利益を得るためには損害も伴う」という意味でも使われます。この意味で「諸刃の剣」を使う場合、損害を覚悟するというニュアンスがあるでしょう。
【例文】
・彼は試合でいつも大胆な作戦をとるが、失敗したときのダメージが大きい【諸刃の剣】といえるだろう
・あの会社はかなり成長が期待されているため、株を購入しておけば大きな利益を得ることが期待できる。しかし【諸刃の剣】として株価が上がらないという覚悟も必要だ
「諸刃の剣」の類語
「諸刃の剣」にはよく似た言葉があります。「諸刃の剣」とほぼ同じ意味で使われる「両刃の剣」や「諸刃の刃」のほか、ニュアンスが似ている言葉として「ハイリスクハイリターン」「一長一短」などがあげられます。
類語も知っておくことで、さまざまな場面で使い分けができるでしょう。ここでは、「諸刃の剣」の類語についてご紹介します。
【類語1】ハイリスクハイリターン
「ハイリスクハイリターン」は、高い収益が得られるものは損失の可能性も高いという意味です。主に投資の場面で使われます。
「ハイリスク」のリスクは危険という意味ではなく、損失と収益の振り幅のことです。リターンが大きければ、それだけ収益と損失に振れる幅が大きく、ハイリスクとは大きな収益と大きな損失のどちらの可能性もあることを意味します。
高い収益を得るためには、損失も覚悟しなければならないという意味合いで使われます。
【例文】
・短期間で資産を形成するには、【ハイリスクハイリターン】の銘柄を狙うことも必要だ