仕事でもプライベートでも、話を「どう伝えるか」が結果を左右することはありませんか? 「起承転結」のポイントを押さえておくことで、相手の心に響くプレゼンテーションやメールができるようになりますよ。本記事では、「起承転結」の力を活用して、言葉を磨き、説得力を高める秘訣をお伝えします!
「起承転結」とは?意味や由来を解説
「起承転結」は「きしょうてんけつ」と読む四字熟語です。日本で生まれたテクニックではなく、漢詩の構成方法に由来するとされています。
「起承転結」はわかりやすく伝える文章術のこと
「起承転結」とは、話や文章、物語をわかりやすく伝えるためのテクニックを指します。まずは辞書でどのように説明されているかを確認しましょう。
【起承転結:きしょうてんけつ】
1.漢詩、特に絶句の構成法。第1句の起句で詩意を言い起こし、第2句の承句でそれを受け、第3句の転句で素材を転じて発展させ、第4句の結句で全体を結ぶ。起承転合。
2.物事の順序や、組み立て。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「起承転結」には、「物事の順序や、組み立て」という意味があるように、ビジネスや日常生活で活用することで、上手にコミュニケーションをとることができます。特にプレゼンテーションや報告書、日常会話でも「起承転結」の構成を意識することで、よりスムーズに自分の意見を伝えることができるでしょう。
「起」「承」「転」「結」の4つ意味
「起承転結」は、文章を4つのパートに分け、内容を順番に整理して伝える手法です。「起」は、読者に前提や背景を説明する部分です。「承」は本題への導入で、メインの出来事の前に何があったかを話します。「転」は、伝えたいメインの内容で、この部分がストーリーの中心になります。
「結」は、結末をまとめ、ストーリーの締めくくりを行います。特に「転」の部分に重点を置き、話を展開させるのが効果的です。
「起承転結」は漢詩に由来する
「起承転結」の考え方は日本で生まれたものではなく、中国の漢詩に由来します。漢詩にはさまざまな種類があり、特に短い「絶句」と呼ばれる漢詩の構成方法に「起承転結」が用いられていました。
「絶句」は文字数が限られているため、内容を簡潔にまとめて効率よく伝えることが重視されていました。そこで、構成をスムーズにするために文章を「起句」「承句」「転句」「結句」の4つに分けたことが、「起承転結」の始まりとされています。
「起承転結」は多くの物語に使われている
「起承転結」は話を面白く伝える効果があるため、さまざまな物語に用いられています。例えば、有名な童話『シンデレラ』もその一つです。「起」では物語の前提として、シンデレラが継母や義姉にいじめられていることや、舞踏会に参加できないことが語られます。
「承」は魔法使いが登場し、魔法をかけてもらったシンデレラが舞踏会で王子様に出会う場面です。「転」では魔法の効果が切れ、シンデレラは王子様の前から姿を消して元の生活に戻ります。「結」では王子様がシンデレラを見つけ出し、二人が結ばれて物語はクライマックスを迎えます。
「起承転結」の使い方
「起承転結」は作文やプレゼン、論文などで使えるテクニックです。「起承転結」にどんな効果があるのかを理解したうえで取り入れてみましょう。
「起承転結」を使って文章を書く方法
文章を書く際、「起承転結」を用いると簡潔にまとめることができます。たとえば、ビジネスメールでは「起」で相手に挨拶をし、「承」で状況を説明し、「転」で提案をし、「結」で感謝や締めくくりを述べるという構成が役立ちます。例文も載せるので、文章を書く際の参考にしてみてくださいね。
「起」
テーマや問題提起を示し、読者の興味を引きつけます。文章の冒頭部分で、これから話す内容が何であるかを明確にし、読者に期待感を持たせるのが目的です。
【例文】
・企業が成長するために、どのような戦略が今求められているのでしょうか? 特にデジタル化の進展が重要視されています。
「承」
「起」で提示したテーマや問題に対して、具体的な説明や背景情報を提供し、読者に理解を深めてもらいます。ここでは、事実やデータ、理論的な背景を示すことで、主張を支える土台を作ります。
【例文】
・ある調査によると、デジタル技術を導入した企業の売上は、そうでない企業に比べて20%高いことがわかりました。
「転」
矛盾点やリスク、あるいは別のアプローチを提示して、従来の考え方やアプローチに疑問を投げかけます。ここでの展開により、次の結論への道筋が見えてきます。
【例文】
・しかし、すべての企業が成功するわけではなく、デジタル化の失敗例も多く見られます。
「結」
これまでの展開を振り返りながら、結論を明確に示します。また、今後の課題や提言を加えることで、読者に行動を促すこともあります。
【例文】
・デジタル化の成功には、技術だけでなく、組織全体の変革が必要です。計画的に進めることが重要といえるでしょう。
プレゼンでは「結論」から
プレゼンでは、「起」でテーマと結論を初めに示し、「承」で内容を掘り下げながら説明を加えていきます。「転」に当たる部分では聞き手の不安や疑問を解消し、「結」ではまとめとして最初に述べた結論を再度伝えます。「起承転結」を意識したプレゼンは聞き手が内容をつかみやすいため、提案が通りやすくなるでしょう。
論文では「転」を省く
論文では、「起承転結」から「転」を省き、「序章(起)」・「本論(承)」・「結論(結)」で構成します。「転」を入れない理由は、論文は物語のようにドラマティックにする必要がないためです。なお、わかりやすく伝えるためには、本論で根拠となる説明や証拠を複数提示するのがポイントです。