耳朶とは「耳の下に垂れ下がるやわらかな部分」のこと
耳朶とは、耳の下に垂れている柔らかい部分を指します。ピアスやイヤリングをつける部分というとイメージしやすいでしょう。よく耳にするのは「みみたぶ」という呼び方で、耳朶における読み方の1つでもあります。
【耳朶】みみたぶ・じだ
耳の下に垂れ下がったやわらかな部分。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
日本では七福神の大黒天や恵比寿など、神様の耳朶がふっくらしていて垂れている姿が伝えられてきました。そのため、耳朶が大きく厚いいわゆる「福耳」の人は福運が巡ってくると言い伝えられています。このように、耳朶は福の言い伝えが残る部位なのです。
■耳朶の読み方は「みみたぶ」か「じだ」
耳朶の読み方は「みみたぶ」もしくは「じだ」です。前述の通り、よく聞く読み方は「みみたぶ」のほうで、誰もがイメージしやすいでしょう。
しかし、漢字表記で目にすることは少なく、読み仮名がないと分からないかもしれません。耳という漢字から、耳の部位だと想像はしやすいのですが、覚えておくと便利です。
また「じだ」はあまり聞き慣れないですが、後ほど紹介する耳朶を使った慣用句では、じだという読み方をします。このように、漢字は同じでも2つの読み方がある言葉だと理解しておきましょう。
■耳朶が含まれる例文
耳の柔らかく垂れた部分の耳朶ですが、文章に含める際にはその状態や耳朶にまつわる行動を表現する際に使います。
普段の生活では「みみたぶ」として会話の中に出てくることが多いでしょう。具体的な例文は、以下の通りです。
・弟に耳朶を引っ張られ、僕は泣きそうになった
・彼の耳朶は分厚く、誰が見ても福耳でうらやましい
・人生で初めてピアスを開けて耳朶がずきずき痛む
・彼女は緊張する場面になると耳朶を触る癖がある
・耳朶につけたお気に入りのイヤリングを褒められ気分がいい
耳朶を使った3つの慣用句
耳朶を使った慣用句として次の3つが挙げられます。
・耳朶に残る
・耳朶を打つ
・耳朶に触れる
いずれも耳の機能に由来しており、聞こえ方を表現した言葉です。良い意味でも悪い意味でも使われるため、具体的な意味を理解しておく必要があります。ここからは、耳朶を使った慣用句を例文とともに、その意味について詳しくご紹介します。
耳朶に残る
耳朶に残るとは、自分の聞いた声や音が耳にこびりついて忘れられなくなる状態です。同じ意味を持つ「耳に残る」という言葉があり、こちらのほうが馴染みがあるでしょう。繰り返し聞いていた音や一回でも強く印象に残った声など、さまざまな場面で使えます。
また、耳朶に残るというと嫌な音や話が残ることをイメージしがちですが、感動した音楽やお気に入りの音なども対象です。
そのため、良いものを聞いた時も悪いものを聞いた時も活用できます。具体的な例文は、以下の通りです。
・あのとき聞いたさざ波の音が耳朶に残っている
・上司の機嫌が悪いときの声が耳朶に残り、おびえながら仕事をしなければならない
・耳朶に残ったあの歌声を探して、ようやく歌声の持ち主にたどり着いた
耳朶を打つ
耳朶を打つとは、ある音が大きく聞こえたことを意味します。大きく聞こえたという表現は物理的に大きな音だけでなく、その状況で印象に残って大きく聞こえた場合も含まれます。
そのため、実際にはかすかな音であっても本人が気付いた音であれば耳朶を打ったと表現できるのです。
もう一つの意味として「耳打ちをする」があります。相手の耳元でこそこそ話をする際は、耳朶を打つを使います。具体的な例文は、以下の通りです。
・先程の大きな雷は、私の耳朶を打つ轟音だった
・耳朶を打つチャイムの音が鳴り響き、眠りから覚めた
・秘密にしておきたいことを耳朶を打って友人に打ち明けた