表面的には仲良し家族。しかし妻の胸中は複雑で…
41歳の美祐さん(仮名)は結婚8年目。同年齢の夫と、2人の子どもと共に暮らしています。表面的には仲のいい家族に見られることが多い美祐さん一家ですが、美祐さんご自身は夫に対して愛情も信頼も消えてしまっていて、今の生活をこのままずっと続けていいものか悩んでいると言います。
「夫は結婚前から自分で事業をしていて、仕事へのやる気はある人。けれど、いろんなことに手を出しすぎるのと見栄を張る癖があって、実態は借金まみれです。外から見ると、そこそこ裕福な仲良し家族に見えていると思いますが、内情は火の車。子どもたちの教育費ですら、自転車操業で賄っている状況です」
夫が大成するのを期待して耐えた8年間
夫を「勢いだけはいい人」と評価する美祐さん。いつかは大成するかもしれない、と期待して夫のお金の使い方や借金にもあまり口出ししないようにしてきたそうですが、8年間を共に過ごしてみて「大成する可能性は低そうだ」と諦めを抱いているのだそう。
「夫を見ていると、一生同じような感じで借金まみれの自転車操業をしていくんじゃないかって気がするんです。健康で働けるうちはそれでもいいかもしれないけれど、もう私たちは40代。ぼちぼち将来のために蓄えがないと不安な年齢です。でも、うちには貯金なんてありません。
経営者をしている夫は、付き合いにもかなりのお金を使います。私はそんなことよりも堅実に足元を見て生活してもらいたいけれど、夫には理解してもらえません」
「見ている方向が違いすぎる」ことに不安しかない日々
そんな夫との将来について「今すぐの離婚というわけではないけれど、どこかで見限って、私は私で自分の老後を考えたいと思っている」と打ち明けた美祐さん。そのタイミングがいつなのか、について答えが出ずに悩んでいるとのことです。
「結婚してから、私はパート程度の仕事しかしたことがありません。でも夫と離婚をするなら、自分でも稼げる力をつけておかなくてはいけないので、そろそろフルタイムで仕事をしたいと考えています。子どもたちも手がかからない年になったので、私がフルタイムで働いても、もう大丈夫かなというのもあって。
夫は経営者である身分が気に入っているようですが、私から見ると経営者より会社員が向いているように思いますね。でも、夫にそう言っても全く聞き入れてもらえません。
8年間過ごしてきて気づいたのは、夫婦なのに見ている方向が違いすぎるなということ。夫は“その時が良ければそれでいい”、“何かあればその時に考えればいい”って感じの生き方に見えるけれど、私は違う。きちんと備えがないと不安です。今は、口だけの夫をどのタイミングで見限るべきか、ばかり考えています。私が仕事を始めて軌道に乗れば、自ずと答えが出てくるのでしょうか。
本当は、夫が私の考えを少しでも理解してくれて、もう少し安定した結婚生活を送るよう協力してくれればよかったのですが、それが叶わない以上は、どこかで別々の道を選ばないといけないなって思うのです」
不倫や暴力などの出来事がなくても、夫婦で見ている方向が違いすぎると、離婚を考える決定打になりがちです。美祐さんの夫には借金もあることから、将来への不安が大きくなっても無理はありません。安定した生活に対して夫が非協力的である場合には、妻がひとりで安定を求め空回りをするケースも多々。離婚は最終的な選択肢ですが、妻が疲弊して心が壊れてしまわないうちに、なんらかの答えが出せればベターです。
取材・文/並木まき