「翻車魚」の読み方や由来とは?
まずは、「翻車魚」の読み方や、なぜ漢字表記で「翻車魚」となるのか、解説していきます。
■読み方
「翻車魚」は「マンボウ」と読みます。漢字では「翻車魚」の他に「曼波魚」と表されることも。ユニークな姿で水族館の人気者の「マンボウ」がなぜ「翻車魚」という漢字で表されるのか、詳しく説明します。
■由来
「翻車魚」の由来はどのようなものでしょうか。「翻車魚」という表記は中国が由来です。水をくみ上げるための水車や、ひっくり返った車輪という意味から当てられた漢字だと考えられています。
日本での「翻車魚」は、「満方」、「円魚」が由来という説が有力です。「満」も「円」も丸いものを指す漢字で、「翻車魚」の姿の特徴を表しています。また、「万宝」という漢字から「翻車魚」になったという説も。
「翻車魚」の学名である「mola mola(モラモラ)」は、ラテン語では「石うす」や「丸い体つき」を意味しています。国や文化圏を超えても、「翻車魚」の特徴ある姿がその名前に使われているということは、興味深いですね。
「翻車魚」ってどんな魚?
ここからは、あまり知られていない「翻車魚」の生態や特徴を見ていきましょう。
ユニークな体つきと、おちょぼ口で、水族館の人気者「翻車魚」。特徴的な姿で、目にしたら「翻車魚」だということが一目でわかる人が多いと思いますが、その生態や特徴については、一般的にはあまり知られていません。
「翻車魚」は、フグ目マンボウ科マンボウ属に分類される魚類です。マンボウ属は、「翻車魚(マンボウ)」、「ウシマンボウ」、「カクレマンボウ」の3種に分類されていて(2017年時点の分類)、日本近海では「翻車魚(マンボウ)」と「ウシマンボウ」を見ることができます。
「翻車魚」は、地方名では「浮木(ウキ、ウキギ、ウキキ)」とも。これは、海面に浮かぶ姿を木が浮かんでいる様子に例えたことから名付けられたようです。
「翻車魚」の体は、横から見ると円盤型、正面から見ると紡錘形です。通常魚が持っている尾びれと腹びれがなく、背びれと尻びれが長く発達して、体の後部から上下に突き出た形が特徴的。
体の後端にある尾びれのような部分は、背びれと尻びれの一部が変形したものと考えられていて、「舵びれ」、「橋尾」とも呼ばれます。「翻車魚」は、この舵びれを使って舵をとります。のんびりしているイメージですが、エサをとる時には素早く泳ぐことも。
「翻車魚」の生息域は熱帯と温帯の沖合で、日本の沿岸にやってくるのは夏から秋にかけて。定置網にかかることもあるようで、地域によっては「翻車魚」を食べる習慣があります。
「翻車魚」が見られる水族館
「翻車魚」を見てみたいと思ったら、水族館に行くのが近道です。ですが、「翻車魚」はデリケートな生き物で、展示している水族館は限られています。また、閉館や譲渡などもあり、過去には展示していたが、現在は展示していないという施設も多いというのが実情。「翻車魚」目当てなら、その都度、展示があるかないかを調べてから訪れることをおすすめします。
ここでは、現在「翻車魚」が見られる国内の水族館を、いくつか紹介しましょう。
海遊館(大阪府)
海遊館は、大阪市の南港にある8階建ての世界最大級の水族館で、ジンベイザメを展示していることで有名です。「翻車魚」は、海中では、クラゲやイカなどのやわらかい生き物を食べて生活しており、海遊館では、イカ、アジ、エビのミンチにビタミン類などを混ぜた特製のお団子をエサとして与えています。また、「翻車魚」が水槽の壁にぶつかるのを防ぐために、透明なフェンスを設置。「翻車魚」が怪我をしないように対策されています。