「天手古舞」読み方と意味、語源
日本語には、いろいろな当て字があります。よく知られているものとしては、「頓珍漢」という言葉。「とんちんかん」と読みますが、発音が特徴的です。「とん」「ちん」「かん」は鍛冶屋の相槌の音を表したもので、打つ音が揃わないことから、「ものごとのつじつまが合わないこと。間の抜けた言動をする」という意味になります。
「天手古舞」も、発音が特徴的。このほかにも「我楽多(がらくた)」や「滅茶苦茶(めちゃくちゃ)」などがあります。それでは「天手古舞」の読み方と言葉の意味、語源について一緒に見ていきましょう。
読み方と意味
「天手古舞」は「てんてこまい」と読みます。よく使う言葉なので知っている人も多いのではないでしょうか。
辞書に記載されている言葉の意味は、下記のとおり。
あわててさわぐこと。忙しくてあわただしく立ち働くこと。(<小学館デジタル大辞泉>より)
声に出して騒ぎたくなるような忙しさ。「もう天手古舞の忙しさだ!」と言いながらあわただしく立ち働いている姿が目に浮かびます。
言葉の由来
「天手古舞」の言葉の由来は、2つあるといわれています。ひとつめの説は「天手古舞」の「天手古(てんてこ)」は当て字で、祭囃子や里神楽などの太鼓の音から来ているという説。太鼓の音に合わせて踊る様がせわしなく、忙しくしているように見えることから「てんてこ舞い」と名づけられました。
そして、もうひとつの説は、祭りの際に、山車や神輿を先導するのに華やかな衣装を着た女性が舞うことを「手古舞(てこまい)」と呼んだことから、それが転じて「天手古舞」になったともいわれています。
使い⽅を例⽂でチェック
「天手古舞」の言葉の使い方を例文でチェックしてみましょう。
ゴールデンウイーク初日の裏方は天手古舞の忙しさだった
ゴールデンウイークは、特に初日がたくさんの人出が予想されます。イベントなどのスタッフは、初日ということもあり、目が回るほどの忙しさであろうことがうかがえる一文です。
次から次へと仕事がたくさん入ってきて、わたしは天手古舞だ
ある一定の時期に仕事が集中するときがありますよね。例えば経理の部門では決算の時は仕事が集中します。さらに決算日という締め切りがあるので、常に何かに追われているような気さえする忙しさを表した例文です。
天手古舞なのは、普段からちゃんとしていないからだ
「天手古舞」になるのは、ついつい今日はいいや、となって先送りすることが一因かも?今日できるものは今日やってしまうなど、「天手古舞」にならないように仕事を溜めずこなしていきましょう。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
「天手古舞」は「忙しい時にあわててさわぐさまや、あわただしく立ち働くこと」を表す言葉。同じように忙しくて大変だという意味の言葉はたくさんあります。言葉の意味を理解して、忙しさの表現もそれぞれ意識して使い分けてみるのもよいかもしれません。
忙殺
「忙殺(ぼうさつ)」とは、「非常に忙しいさま」を表します。本当に殺されるわけではなく、強調の意味で使われています。他にも「悩殺」や「必殺」なども強調された言葉。基本的には受け身の状態を表すので、誰かが原因で忙しくなっているという意味で使われます。
例文:社長の思い付きで始めた仕事で忙殺されている